角川書店 角川文庫 スペードの女王

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昭和五十一年二月二十五日 初版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和33年(1958年)に雑誌「大衆読物」に掲載された短編「ハートのクイン」を、昭和35年(1960年)に長編化した横溝正史の長編小説「スペードの女王」。
片瀬の沖で発見された若い女の首無し死体。その変死体の左の内股の付け根には、今は亡き彫り物名人・彫亀の手による“スペードのクイーン”の刺青があしらわれていたが、身体の同じ場所に、彫亀の同じ図柄の刺青を施された若い女がもう一人いた。しかも、その女は行方不明。殺されたのはどちらの女なのか...?
横溝正史お得意の「顔の無い死体」ものの作品ですね。どことなく「黒猫亭事件」を思い起こさせるストーリーの作品ですが、こちらではヘロインの密輸組織や政財界のフィクサー的な人物も絡んできて、まるで刑事ドラマのような展開を見せます。しかし終盤、意外な真犯人が判明する際の手応えはやはり本格探偵小説ならではのもので、最後まで楽しく読めました。角川文庫には昭和51年(1976年)に収録されました。
画像は昭和51年(1976年)に角川書店より刊行された「角川文庫 スペードの女王」です。赤い籐椅子に腰かけている、“スペードの女王”と思しき女。背景に二人の女の顔が重なるように描かれているのが暗示的ですね。小説を読み終えてこの表紙画をもう一度見ると、その構図の巧みさに唸らされること必至です。

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