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角川書店 角川文庫 支那扇の女
昭和五十年十月三十日 初版発行
昭和五十二年四月三十日 八版発行
発行所 株式会社角川書店
昭和32年(1957年)に雑誌「太陽」に短編で掲載され、昭和35年(1960年)に長編化された横溝正史の長編小説「支那扇の女」。
東京の高級住宅街・成城のとある家で、老女と女中が惨殺された、血生臭い二重殺人事件を描いた作品ですね。自らを“毒殺魔”の生まれ変わりと称する夢遊病の女、精神的な加虐嗜好を持つ男、旧家にまつわる過去の因縁話など、登場人物やシチュエーションに如何にもな“横溝正史らしさ”が横溢している作品で、小品ではありますが、登場人物の印象が二転三転したのちに明かされる事件の真相に至るまでの読み応えはなかなかのものだと思います。本書には表題作の他に短編「女の決闘」が併録されています。角川文庫には昭和50年(1975年)に収録されました。
画像は昭和52年(1977年)に角川書店より刊行された「角川文庫 支那扇の女」です。「Portrait of Viscountess YAGI」の文字が入った貴婦人の肖像画。まさに劇中に登場する、“毒殺魔”八木子爵夫人をモデルにして描かれたという絵画「支那扇の女」をモチーフにした表紙画ですね。明治に遡る因縁話である本作に相応しく、古色蒼然たる趣で仕上げたタッチが実に素晴らしいです。
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