ひばり書房 ヒットコミックス38 蔵六の奇病

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1982年11月25日発行
発行所 (株)ひばり書房

昭和57年(1982年)にひばり書房より刊行された「ヒットコミックス38 蔵六の奇病」です。
「蔵六の奇病」は昭和46年(1971年)に少年画報社からオリジナル初版が刊行され、その後、昭和51年(1976年)にひばり書房に引き継がれた短編集で、少年向け漫画雑誌「少年画報」に掲載された「蔵六の奇病」「水の中」「はつかねずみ」「百貫目」の4編が収録されています。
全身に七色の吹き出物が出来る奇病に侵された農夫、蔵六の数奇な運命を描いた表題作「蔵六の奇病」。交通事故で四肢を失った少年とその母親の、恐ろしくも切ない関係を描いた「水の中」。可愛いはずのペットのはつかねずみがモンスター化し、家を乗っ取られてしまった家族の悲劇を描いた「はつかねずみ」。子供たちによる“強盗”“カニバリズム”といった漫画表現的にタブーな題材を扱いつつ、美しい兄弟愛の物語に昇華させた「百貫目」など、日野日出志作品の中でも特に鬱展開の作品が揃っている本巻。個人的にはやはり、「ある地獄絵師の告白 地獄変」と並んで日野日出志の最高傑作と称される「蔵六の奇病」に圧倒されますね。どんなに身体が奇病に蝕まれても、どんなに村人たちに迫害されても、自らの身から出た膿を絵具にして、ひたすら美しい絵を描くことに執着する蔵六。本当に美しいものとは何か、本当に病んでいる者は誰か。作者の問いかけが、読んでいる私たちの心に鋭く突き刺さります...

#ホラー #漫画 #日野日出志 #ひばり書房

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