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ひばり書房 ヒットコミックス38 蔵六の奇病
1982年11月25日発行 発行所 (株)ひばり書房 昭和57年(1982年)にひばり書房より刊行された「ヒットコミックス38 蔵六の奇病」です。 「蔵六の奇病」は昭和46年(1971年)に少年画報社からオリジナル初版が刊行され、その後、昭和51年(1976年)にひばり書房に引き継がれた短編集で、少年向け漫画雑誌「少年画報」に掲載された「蔵六の奇病」「水の中」「はつかねずみ」「百貫目」の4編が収録されています。 全身に七色の吹き出物が出来る奇病に侵された農夫、蔵六の数奇な運命を描いた表題作「蔵六の奇病」。交通事故で四肢を失った少年とその母親の、恐ろしくも切ない関係を描いた「水の中」。可愛いはずのペットのはつかねずみがモンスター化し、家を乗っ取られてしまった家族の悲劇を描いた「はつかねずみ」。子供たちによる“強盗”“カニバリズム”といった漫画表現的にタブーな題材を扱いつつ、美しい兄弟愛の物語に昇華させた「百貫目」など、日野日出志作品の中でも特に鬱展開の作品が揃っている本巻。個人的にはやはり、「ある地獄絵師の告白 地獄変」と並んで日野日出志の最高傑作と称される「蔵六の奇病」に圧倒されますね。どんなに身体が奇病に蝕まれても、どんなに村人たちに迫害されても、自らの身から出た膿を絵具にして、ひたすら美しい絵を描くことに執着する蔵六。本当に美しいものとは何か、本当に病んでいる者は誰か。作者の問いかけが、読んでいる私たちの心に鋭く突き刺さります... #ホラー #漫画 #日野日出志 #ひばり書房
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ひばり書房 ヒットコミックス54 恐怖列車
1983年9月16日発行 発行所 (株)ひばり書房 昭和58年(1983年)にひばり書房より刊行された「ヒットコミックス54 恐怖列車」です。 昭和51年(1976年)に少年向け漫画雑誌「週刊少年アクション」に連載された中編作品「恐怖列車」、昭和50年(1975年)に少年向け漫画雑誌「少年キング増刊KINGオリジナル」に掲載された短編作品「狂人時代」と「地獄小僧」の最終2話が収録された作品集です。 楽しい旅行の帰りの列車がトンネルの中で突然停電し、その時を境に周囲の人間たちの様子が一変してしまった3人の少年少女の恐怖を描いた表題作「恐怖列車」。日野日出志としては異色のギャグ漫画「狂人時代」。そして、コミックスに収録し切れなかった「地獄小僧」の最終2話とかなり変則的なラインナップの本巻。個人的には傑作長編「地獄小僧」の最終2話を読むためのコミックスだと思っていますが、ある意味、あの「地獄の子守唄」と表裏を成しているともいえる「狂人時代」もお勧めです。 #ホラー #漫画 #日野日出志 #ひばり書房
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ひばり書房 ヒットコミックス17 地獄小僧
1987年2月16日発行 発行所 (株)ひばり書房 昭和62年(1987年)にひばり書房より刊行された「ヒットコミックス17 地獄小僧」です。 昭和51年(1976年)に少年向け漫画雑誌「少年キング増刊KINGオリジナル」に連載された日野日出志の長編作品「地獄小僧」を、ひばり書房ヒットコミックスレーベルで収録したコミックスです。 ある日突然、交通事故で不慮の死を遂げた少年・円間大雄。彼の死を悲しむ両親は、死者を生き返らせる方法があるという怪しげな乞食の口車に乗ってしまい、蘇生の儀式を決行してしまいますが、蘇ったのは腐乱死体同然の、世にもおぞましい化け物の姿でした... 物語は二部構成になっていて、化け物と化した大雄少年の苦悩、そして円間家の呪われた血統が明かされる「大雄少年編」が前半、再度死んだ大雄少年の目玉が下水に落ち、そこから生まれた地獄小僧が各地を彷徨い、人間や物の怪と関わる姿を描いた「地獄小僧編」が後半となっています。“吸血鬼”や“フランケンシュタインの怪物”といったゴシックホラーの世界を日野日出志流に翻案した感がある前半も良いのですが、異形の者への哀しみや共感に満ち溢れている後半が如何にも日野日出志作品らしいテイストでお勧めです。(但し、ヒットコミックス版「地獄小僧」の最終2話は、別タイトルの「恐怖列車」に収録という変則的な収録となっています) #ホラー #漫画 #日野日出志 #ひばり書房
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ひばり書房 ヒットコミックス40 幻色の孤島
1983年4月16日発行 発行所 (株)ひばり書房 昭和58年(1983年)にひばり書房より刊行された「ヒットコミックス40 幻色の孤島」です。 「幻色の孤島」は昭和47年(1972年)に虫プロ商事の虫コミックスからオリジナル初版が刊行され、その後、昭和51年(1976年)にひばり書房に引き継がれた短編集で、「ぼくらの先生」「お~いナマズくん」「かわいい少女」「幻色の孤島」「つめたい汗」「猟人」「人魚」の7編が収録されています。 得体の知れない動物や植物が跋扈する孤島で暮らす記憶喪失の男の、夢とも現実ともつかない奇妙な体験を描いた表題作「幻色の孤島」。動物が大好きで心優しく、生徒全員から“大仏先生”と慕われている教師の誰にもいえない裏の顔を描いた「ぼくらの先生」。伝説の大ナマズと少年の心温まる共生関係を描いた異色のファンタジー「お~いナマズくん」。昭和42年(1967年)、虫プロ商事から発行されていた漫画雑誌「COM」に掲載されたデビュー作「つめたい汗」など、本巻に収録されている作品の作風は実に多彩で、改めて日野日出志ワールドの奥深さを感じます。 ちなみにひばり書房版には時期によってタイトルが「幻色の孤島」ではなく「ぼくらの先生」になっているバージョンのものがありますが、中身は同じです。 #ホラー #漫画 #日野日出志 #ひばり書房
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ひばり書房 ヒットコミックス249 地獄絵師の告白 地獄変
1988年5月6日初版発行 発行所 (株)ひばり書房 昭和63年(1988年)にひばり書房より刊行された「ヒットコミックス249 地獄絵師の告白 地獄変」です。 昭和57年(1982年)にオリジナル初版が刊行された描き下ろしの長編作品「地獄絵師の告白 地獄変」は、血の色とその美しさに取り憑かれた地獄絵師が自らの血塗られた半生を語るという、短編「地獄の子守唄」のセルフリメイクともいうべき作品で、他の短編のストーリーも織り交ぜて長編化されています。昭和の子供たちに強烈なトラウマを植え付けた、メタ構造を巧みに利用した最後のオチはほぼ「地獄の子守唄」と同じなのですが、そこに至るまでの物語がまさに“一大地獄絵巻”といった感じで描かれていて、この作品を日野日出志の最高傑作に挙げる方も少なくありません。この「地獄絵師の告白 地獄変」は日野日出志が漫画家生命を賭けて挑んだ作品だそうで、そんな気迫がコマの端々からも伝わってくる、物凄い作品です。私は中学生の頃、本屋で迂闊にもこの本を立ち読みしてしまい、打ちのめされ、しばらくの間、心の中に“ざわざわ”としたものが残りました... #ホラー #漫画 #日野日出志 #ひばり書房
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ひばり書房 ヒットコミックス226 地獄の子守唄
1988年10月6日初版発行 発行所 (株)ひばり書房 昭和63年(1988年)にひばり書房より刊行された「ヒットコミックス226 地獄の子守唄」です。 昭和40年代からグロテスクで退廃的、それでいてどこか叙情的な怪奇の世界を独特のタッチで描き続けてきたホラー漫画の巨匠、日野日出志。そのカルト的な人気は日本国内だけにとどまらず、欧米諸国でも多くの作品が翻訳出版されているほどですが、そんな日野日出志の作品といえば昭和50年代から60年代初めにかけてひばり書房のヒットコミックスレーベルで刊行された作品群を思い出す方も多いのではないでしょうか。マイナー出版社のレーベルゆえ本屋の漫画コーナーでは端っこのほうへ追いやられていた印象がありますが、それでも日野日出志の作品群が放っていた禍々しいオーラは、怖いもの好きの子供たちの心を捉えて離しませんでした。 「地獄の子守唄」は、オリジナル初版が昭和46年(1971年)に刊行された短編集で、「蝶の家」「七色の毒蜘蛛」「白い世界」「博士の地下室」「どろ人形」「地獄の子守唄」の6編が収録されています。いずれ劣らぬ傑作揃いですが目玉となるのは、やはり表題作「地獄の子守唄」ですかね。日野日出志の分身的な怪奇漫画家の血塗られた半生を描いた作品ですが、メタ構造を巧みに利用した最後のオチが昭和の子供たちにトラウマを植え付けた、何とも罪深き作品です。 #ホラー #漫画 #日野日出志 #ひばり書房
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