美女と液体人間 完全盤

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 その筋の人なら知らぬ者のないS.L.C.=サウンドトラック・リスナーズ・コミュニケーションズから「東宝特撮映画音楽全集」の記念すべき第1弾として発売されたもの。この作品を1発目に持ってくるだけでも驚きなのに、他には『ガス人間第一号』だの『マタンゴ』だの『白夫人の妖恋』だのというマニアックなアイテムを揃え、すべて1作品1アルバム、堂々「完全盤」と銘打ってのリリースが凄い。
 それはさておき、中でも佐藤勝が音楽を担当したこの1958年作品、極めて完成度が高い。佐藤勝は、伊福部昭に次いで多くのゴジラシリーズの音楽を手がけた人で、かの名曲「メカゴジラのテーマ」の生みの親であり、黒澤明や岡本喜八監督作品でも活躍した、我が国を代表する作曲家である。
 この作品では、まず、液体人間関係の気色悪い曲がいい。使っている楽器はミュージック・ソウ……びよんびよん伸びる鋸ですね。「お~ま~え~は~あ~ほ~か~」のノコギリ、で「あぁ、あれか!」と膝を叩いた方、あなた、関西人ですね?そうです、横山ホットブラザースが使っている楽器です。「ブラザーズ」じゃなくて「ブラザース」ですよ。ここんとこが重要です。
 そして何より、主役の白川由美がクラブの歌手という設定なので、クラブ用のBGMが充実、背景音楽としてのジャズが素晴らしい!コンボでスイング!そんじょそこらのジャズ・アルバムを聞いてる暇があったら、これを聞きたまえ!また、ジャズ・シンガーで、大橋巨泉の初代奥さんであるマーサ三宅が白川由美の吹き替えで歌ってたりするので本格的。佐藤勝だけでなく、昔の作曲家さんは(進駐軍との関係なのか)ジャズ畑の人が多いですから、サントラファンとジャズファンは重なると思うんですが、いかがでしょうか。

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