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Ricoh GR III
フィルム時代のGRシリーズについてはRicoh GR1sにメモしたとおりですが,21世紀に入るとGRシリーズもデジタル化されます。2001年に登場したフィルムのGRシリーズ最後のGR1vから4年を経て,2005年10月にGR DIGITALが登場します。リコーではズームレンズ付きのコンパクトデジタルカメラをCaplioシリーズとして,単焦点の28mm相当の画角をもつレンズは高級機としてGRというラインナップで販売する戦略を考えていたようです。 https://muuseo.com/MOR/items/33 初代GR DIGITALは2005年10月に当時としては大きめのセンサーである1/1.8型813万画素を載せて登場します。この頃,私自身はリコーのCaplio R1 (2004年発売開始)を使っていましたし,フィルムのGR1sも持っていた(あまり使っていなかったけど)のでGR DIGITALにはあまり食指が動きませんでした。2年後の2007年11月に第二世代としてGR DIGITAL IIが登場します。センサーはごくわずかに大きくなって1/1.75型(1000万画素)に置き換えられます。さらに2年後の2009年8月に第三世代のGR DIGITAL IIIが登場し,センサーもさらにほんのわずか大きくなって1/1.7型(1000万画素)になります。「GR史上最高画質」が謳われていて,そりゃ,そうだ,と冷静に眺めてました。2011年11月には第四世代かつGR DIGITALシリーズとしては最後のモデルであるGR DIGITAL IVが登場します。センサーはおそらく基本的な変更はなく,この形としては十分な成熟に達したと思われます。 2013年4月に登場した第五世代のGRはもはやDIGITALが当たり前になったこともあってか,「ただの」GRを名乗って,かつセンサーをこれまでの1/1.7型CCDセンサーからAPS-CサイズのCMOSセンサーに変える,という大きな変更が行われました。またしても,「GR史上最高の写り」を標榜しての登場でしたが,そりゃそうだよな,という感じで正しく冷静に見てました。2015年7月にはWiFiなどを搭載して時代の要求にあうようにアップグレードされたGR IIが登場します。ほぼ2年ごとに更新されてきたデジタル版のGRシリーズはGR IIの後,長い沈黙の期間に入ります。新型の噂もないままに3年ほどが経過したころに「GR再始動」がアナウンスされます。かなり引っ張って2019年3月にようやくAPS-Cセンサー搭載としては第三世代,GR DIGITALから数えて第七世代のGR IIIが登場します。 GR IIではホコリが入ってホコリが写ってしまう,というようなトラブルも少なくなかったようですが,それに対応するために(ホコリ対策だけじゃないけど)センサーシフト方式の手振れ補正が採用されました。GR IIIでは内臓ストロボは廃止になりましたがサイズはGR IIに比べて小さくなりました。当然ながらこの時代のデジカメらしく,液晶タッチパネルや速いレスポンスなど,機能を限界まで取捨選択してスナップシューターとして必要なものだけに絞って小型軽量を実現しています。GR IIIは発売後も比較的高値安定を維持し,発売後2年以上経過してもマップカメラのランキングで10位以内に時折顔を出すということで売れ続けているようです。 GR IIIも発売からぼちぼち丸3年が視野にはいってきた2021年10月に突然GR IIIxという亜種が発売されることがアナウンスされました。GRシリーズ伝統の28mm (35mm換算)のレンズを40mm F2.8と少し標準域に寄せたレンズに変更しての登場です。カメラ界隈の噂にもまったくのぼっていないところで突然の登場に意表をつかれました。 レンズ交換式カメラに標準レンズをつけておいて,GR IIIやFujifilmのX70のような28mm固定焦点のコンデジを持っていけば全て事足りてしまう,というような気がしています。APS-Cセンサーのコンデジでは画質においてレンズ交換式カメラに劣るところは何もありません。凄い時代になったものです。 https://muuseo.com/MOR/items/30 #カメラ #レンズ一体型 #AF #GR #Ricoh #18.3mm #F2.8 #広角 #単焦点 #APS-C #デジタル
レンズ一体型カメラ Ricoh 4群6枚MOR
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HEXANON AR 35mm F2
Hexanon 35mm F2は小西六の最初の一眼レフカメラKonica F以来,最後までラインナップされていたレンズです。ネット上の情報によると,Konica Fマウントで1960年に登場したものの1965年のARマウントへの変更後もKonica Fマウントのまま放置され,Autoreflex T3が登場する1973年頃にようやくARマウント版が登場したようです。Konica Fマウント版はほとんど幻のレンズといってよいと思われます。 ARマウントの35mm F2は最初,金属製の距離環をもつEE版として登場し,その後,他のレンズと同様にゴム巻きの距離環に変更され,AE版に更新されます。Konica Fマウント版ほどではないにしても,ARマウント版も生産数はかなり少ないようで,eBayやヤフオク!をパトロールしていてもほとんど見かけません。eBayに出品されているものはかなり高い値付けのものが多いようです。レアだからといって高値でも売れるわけでもなく,なんだか微妙な位置付けのレンズです。写りは,ズミクロンのようだ,という人もいるようですが,私のように感性が鈍い人にはそのあたりのことはあまりわかりません。 手元の個体は,金属ローレットのついたEE版です。外観は結構きれいですが,ヘリコイドの動きは少し引っ掛かりを感じることがあるので必ずしも調子がよいわけではありません。数が少ないので状態の良いものを見つけること自体が難しいのでしょうがないんだろう,と思っています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #35mm #F2 #広角 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
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HEXANON AR 24mm F2.8
Hexanon AR 24mm F2.8はコニカが市場に投入した広角レンズのなかでは最後の焦点距離でした。登場したのはAutoreflex T3の頃ということなので1973年ころだと思われます。1960年に小西六最初の一眼レフカメラとしてKonica Fが登場して以来,10年以上も24mmの画角のレンズがラインナップされていなかったというのはすこし興味深いものがあります。21mmはARマウントに移行した1965年頃には市場投入されていたようなので,24mmは中途半端な画角ということで先送りにされていたのかもしれません。 24mm F2.8は最初はEE版が登場しますが,すぐにAE版に置き換えられます。これらはいずれも最小絞りはF16でした。その後,最小絞りがF22で,より小型で軽量になったバージョンが登場します。最後のバージョンはTokinaによるOEMという噂があるようです。ただ,OEMレンズについても設計はコニカがやっていたと囁かれています。最小絞りがF16のバージョンもかなり数は少ないようですが,F22のバージョンはさらに少ないようです。F22のバージョンが登場したのは1982年頃のようでコニカが一眼レフから撤退をするまでに十分な期間がなかったことも数が少ない理由だと思われます。 このレンズには28mmと兼用の角形フードが用意されていました。かぶせ式でフィルター枠の外側からネジで締め付けて固定するタイプですので,向きをきちんと考えて固定しないと,簡単にケラれてしまいます。フード本体は金属製でその内面には植毛がされていて丁寧な作りのものです。 手元の個体は最小絞りがF16のAE版で24mm F2.8の中では一番多く流通したものだと思います。ちょうどこのレンズを入手した時に偶然にもとても状態のよい専用フードがヤフオク!に出品されていたので思わず入手してしまいました。下手をするとHexanonの普及タイプのレンズとかわらない値段ですが,それほど多く出回るものでもないのでしょうがないと言い訳をしています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #24mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ AR KonicaMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:2.8 f=35mm
このレンズは1962年に登場したようです。ネット上の情報には「Konica FSとともに1962年に登場した」との説がありますが,FSはFと同じ年,1960年の終わり頃に発売されているのでちょっと違う気がします。1962年にはFSの後継機であるFPが発売されていますので,このレンズの発売が1962年だとすればFPの登場と前後して発売された,と考える方が自然であるように思います。まぁ,今となってはよくわからないし,わからなくてもまったく困らない話なのですが。 コニカFマウントレンズのなかでは35mmがもっとも広角なレンズでした。高級路線まっしぐらであったKonica Fと同時に発売された35mmは上位の開放F値がF2のレンズでした。35mm F2はARマウントに移行後もよく写ると言われているようですが,あまり見かけません。ARマウントでさえも見かけないくらいなので,当然のことながらKonica Fマウントの35mm F2は見たことがありません。F2.8はコニカFマウントの第一世代ではなく2年遅れでの登場ですが,ARマウントに移行後も最後まで残っていました。 Hexanon 35mm F2.8のレンズ構成は典型的なレトロフォーカス型で,3群4枚のテッサーの前に2群2枚を付け加えてバックフォーカスを長くとり一眼レフカメラに適合させた構成です。これは1950年に世界ではじめてレトロフォーカス型レンズを商品化したP. ANGENIEUX PARISのRETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5とほとんど同じ構成です。ただし,アンジェニューはF2.5ですが,小西六はF2.8で明るさは少し控えめです。 Type R1のレンズ構成を見るとすぐわかるとおり,第一群が飛び抜けて大きな径を持っています。1950年当時はこの構成は大発明だったわけですが,その後,レトロフォーカス型の光学系も少しずつコンパクトになっていきます。Hexanon 35mm F2.8はType R1から遅れること12年での登場ですが,レンズ構成が大きく進歩したような印象はうけません。実際,F2.8という暗めのレンズなのにずいぶんとデカいです。和製アンジェニューなどと呼ばれたりすることもあるようですが,これは褒め言葉として受け止めるべきなのかどうか,微妙です。 Hexanon 35mm F2.8のARマウント版はそれほど珍しいものではありませんが,コニカFマウント版はあまり見かけません。コニカFマウント版には,プリセット絞りのものと自動絞りのものがあります。Hexanonに詳しいサイトでは,どちらのバージョンも最短撮影距離は30cmとされています。しかし,手元の個体は自動絞りバージョンで最短撮影距離は60cmです。そのため,ひょっとすると,絞り方式以外にも光学設計のバリエーションが存在するのかもしれません。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #35mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:2 f=50mm
1960年の終わり頃(12月?)に廉価版として登場したKonica FS用のセットレンズとして50mm F2は登場します。ちょっとはっきりしないのですが,このレンズの登場は1962年のようで,FSの登場時期と一致していません。Konica Fのセットレンズは52mm F1.4でしたから当初FSも52mm F1.4をセットレンズとしていたものの価格を下げるために後から50mm F2が投入されたのかもしれません。しかしながら,1962年の秋にはKonica FPが登場し,そのセットレンズは52mm F1.8に変更され,50mm F2はディスコンになります。このようなことから50mm F2がFSにセットされて販売された期間がどのくらいだったのか,今ひとつ判然としないのですが販売期間が極めて短かったこと,単体では販売されていな可能性が高いこと,は容易に想像されます。結果として,このレンズはコニカFマウントレンズのなかでもかなりレアなレンズです。とは言え,コニカFマウントのレンズ自体の数がそれほど多くはないので,52mm F1.8以外はいずれのレンズもそれなりにレアであると言えるかもしれません。 もうひとつ,この50mm F2について特筆すべき点は,コニカの一眼レフ用のレンズとして,ARマウントレンズも含めて50mm F2というスペックのレンズは後にも先にも存在していない,ということです。50mm F2なんていかにも廉価版レンズの王道をいくスペックでいくらでもありそうなのですが,コニカの一眼レフに関して言えば,1962年頃にそれほど多くない数が販売されたこのレンズが50mm F2というスペックの唯一のレンズなのです。 ネット上の情報によるとこのレンズのバリエーションは距離環がfeet表示のものとmeter表示の二種類だけのようです。販売期間が短かったことを考えるとそれ以上のバリエーションがあったとはちょっと考えにくいので,実際,仕向地ごとのバリエーションしか存在しなかったものと思われます。やたらと細かい違いのバリエーションが多いコニカ(小西六)にしては珍しいパターンです。 この個体はヤフオクでたまたま見つけたので入手しました。やや高い値付けでしたが,次にいつ見つけられるかわからない,ということもあって入札しました。レアなレンズであることは間違いありませんが,古い時代の廉価版レンズだし,そもそも使い道があるのかないのかわからないコニカFマウントだし,でなんとも微妙な値付けでした。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #50mm #F2 #標準 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:1.8 f=52mm
1960年に登場した小西六の最初の一眼レフカメラコニカFはニコンFよりも高価な高級機でした。そのため同じ1960年の終わり頃に廉価版であるFSが投入されます。SはスタンダードのSということのようです。Fのキットレンズは小西六渾身の52mm F1.4でしたが,FSでは50mm F2がセットされます。その後,FSの改良版(?)として1962年にFPが登場すると,セット用のレンズは50mm F2から52mm F1.8に変わります。 1965年には小西六はコニカFマウントを捨ててARマウントに変えますが,52mm F1.8はARマウントになっても継続してセット用の標準レンズとして供給されます。1973年にAutoreflex T3のセットレンズとして50mm F1.7が登場すると,ついにその座を明け渡して市場から消えていきます。しかし,52mm F1.8は10年あまりにわたって供給が続けられたため,コニカの一眼レフ用のレンズとしては目にすることが最も多いレンズのひとつです。ARマウント版の52mm F1.8は以下で紹介しましたが,ここで紹介するのはコニカFマウント版です。 https://muuseo.com/MOR/items/1 ARマウント版では途中から自動露出に対応したEE仕様のものが登場しますが,基本的に,ARマウント版とFマウント版は同じ光学系のまま,大きな変更はされていないようです。ネット上の情報によると,Fマウント版の52mm F1.8には3種類あるようですが,仕向地ごとに銘板の表示が異なっていただけのようですので大きな違いはなさそうです。また,最初期のモデルは距離環のfeet表示の数字が黄色だったようですが,途中からオレンジ色に変更されています。feet表示が黄色っぽい個体は確かに見たことがあるような気もするのですが,オレンジ色が退色しただけ,あるいは写真のホワイトバランスが悪いだけ,のようでもあって,今ひとつはっきりしません。手元の個体はfeet表示の文字がオレンジ色のバージョンです。 コニカFマウントレンズのためのミラーレスカメラに使えるマウントアダプターはまったくないわけではないですが,最近は販売されているのを見たことがありません。このレンズを何らかのカメラにマウントする最も確実な方法は小西六純正のFマウントレンズをARマウントカメラに装着するためのマウントアダプタを用いることです。このアダプタは極めてレアものであるというだけでなく,Konica Lens Adapterというまるで特徴のない当たり前な名前がついているおかげで,検索してもほかのアダプタばかりヒットしてしまって容易には見つけられません。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #52mm #F1.8 #標準 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR