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Eokochaspis piochensis
Eoptychopariaとも呼ばれていた初期のPtychopariida(科)の仲間ですので、Ptychopariida(科)系の先祖と思われます。Piche shaleの中でもComet Shale Memberと呼ばれる層から産出される様です。平面的で短めの頬棘以外に目立った棘も無く、眼も確認できない特徴の乏しい種類です。同じ産地から4種類ほど記名されてはいるのですが、比較できるほどの個体数や状態の良い標本が少なく、同定は困難で最も古くから認識されていた本種が代表種の様になっています。
Middle Cambrian Ptychopariidae,Ptychoparioidea,Ptychopariina,Ptychopariida TRI-459 Pioche shaleTrilobites
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Gerastos prox
ベルギー、アンデンヌ地方の三葉虫です。アンデンヌは、ベルギーだけでなくフランス、ルクセンブルクに跨るエリアであり、更に隣接するドイツまでのエリアでデボン紀の三葉虫を産出します。ベルギー産といえば石炭紀の三葉虫が比較的有名ですが、このエリアからのデボン紀産は入手難易度が高いです。見た目は変哲もないGerastosであり、良質なモロッコ産が入手できれば上がり的な種類なのかもしれません。ベルギー産でもGerastosは、リンクの論文の様に幾つかの種類が知られているのですが、この中で一番近いと思い私が同定しているので、間違っている可能性はあります。 【参考リンク】Taxonomy and biostratigraphy of some proetid trilobites in the Middle Devonian of the Ardennes and Eifel (Rhenohercynian Zone) https://www.researchgate.net/publication/256475419_Taxonomy_and_biostratigraphy_of_some_proetid_trilobites_in_the_Middle_Devonian_of_the_Ardennes_and_Eifel_Rhenohercynian_Zone
Lower Devonian Proetidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-612 -Trilobites
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Bohemoharpes cf. acuminatus
スウェーデン、ゴットランド島のシルル紀の地層から産出したハルぺスの仲間です。ボヘミアのハルぺスという属名ですが、この属名のハルぺスはデボン紀までの時代と割と広範囲のハルぺスに用いられ、見た目も差異が感じられない程に似通っています。ゴットランドは、シルル紀の世界的代表産地ながら、一部の種を除けば入手が難しい事はコレクターなら理解できると思います。この地の他の種類同様に小型の個体であり、分離している物の同一個体と分かる胸部と尾部が近くに並ぶ産状です。この標本は、メキシコの「The Back to the Past Museum」の元コレクションでした。 【標本リンク】The Back to the Past Museum Trilobite viewer https://esribelux.maps.arcgis.com/apps/MapJournal/index.html?appid=621ca59bf5444d3d8d444638e61c1d1f
Middle Silurian Harpetidae,Harpetioidea,Harpida TRI-702 Hemse MarlTrilobites
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Hemiarges maccullochi
且つてオルドビス紀後期からシルル紀前期まで豊富な化石が産出し、古生物研究の歴史に重要な役割を果たしたスコットランドGirvan。既に閉鎖され、独特の味わいのある、この地の化石は、世界のコレクターの収集対象でもあります。この産地の完全体のリカスは、英国産を収集しているコレクターなら、如何に入手が難しいか分かると思います。同地からは、Uripes geikiei(Etheridge & Nicholson,1879)という近縁種と見分けが難しいですが、Uripesの方がモロッコのLobopygeに近い感じです。
Upper Ordovician Lichidae,Lichioidea,Lichida TRI-355 South ThreaveTrilobites
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Olenaspella chrisnewi
比較的近年になり同定が確定できるようになった種類です。大きさは2cm弱と小さな種類が多いMcKay Groupの三葉虫らしく、小さく特徴は少ないです。短めの頬棘がある以外は目立つ棘も無く、原始アサフスの本来の姿と言えるかもしれません。近年の再編によればAsaphida(目)からOlenida(目)へ移籍したのですが、アサフスらしさが無いので、合っているのかもしれません。
Upper Cambrian Aphelaspididae,Asaphida TRI-648 McKay GroupTrilobites
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Cnemidopyge nuda
種類が多い英国のTrinucleoidea(超科)の中では一般種であり、比較的大型化した種であります。この仲間は、本来は長い頬棘があると考えますが、そこまで残っている標本は滅多にありません。古くから研究が進む英国では、この様な地味な種類でも記載が進んでおり、微妙な違いを楽しみ収集するにも役立ちます。
Ordovician Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-112 Llanfawr MudstoneTrilobites
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Porterfieldia punctata
三葉虫のコレクターであってもPorterfieldiaに関心があるコレクターなど殆どいないであろうという地味な種類です。軟体部保存で有名なTriarthrus(トリアルツルス)とは近縁に当たります。本種はTriarthrusと比べれば少し大きく、胸部の中央が横に膨らんだ楕円形をしています。貧酸素域か深い海に生息していたのか眼も持たず、しばしば群れで発見される事がある種類です。 [Left side:Positive,Right side:Negative]
Middle Ordovician Olenidae,Olenoidea,Ptychopariida TRI-386 CarmarthenTrilobites
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Rejkocephalus rotundatus
Rejkocephalus=Hydrocephalusという認識で良いですが、バラバラになりかけている事もあり、違いが良く分かりません。最後の写真に以前のオーナーか採取者の記載があるのですが、Eccaparadoxides pusillusやParadoxides gracilisといった近縁な仲間の表記もありますので、同定は難しくなっています。この化石は、複数体の個体がまとまって散乱しているJinceらしい標本で、この様な産状の化石は、当時の状況を想像できて面白いと思います。
Middle Cambrian Paradoxididae,Paradoxidoidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-394 JinceTrilobites
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Ptyocephalus yersini
多様な形態を誇る三葉虫ですが、四角い種類は、本種やロシアの近縁種であるNiobe/Niobellaなど意外と数は少ないです。本種の防御姿勢の標本は比較的見かけるのですが、真直ぐ伸びている個体は少ないです。見た目が長方形で可愛いので、コレクターにも一定の人気がある種類です。ユタ産では珍しいカンブリア紀ではなくオルドビス紀のものです。
Lower Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-409 FillmoreTrilobites
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Hatangia scita
シベリア産の三葉虫としては、最も入手がしやすい種類ではありましたが、産地は簡単にアクセスできない僻地といえるため、近年は入手が厳しくなってきました。カンブリア紀らしい平坦で過度な装飾も無いシンプルな造形です。状態の良い標本だと鋭く短い頬棘や頬部の皺構造が見られる個体もあります。記載としては、(Egorova & Savitsky,1968)と(Jegorova et Savitzky,1969)という1年違いの2つを見かけます。分類的には、AdrainによりPtychopariida(目)からUncertain(未確定)へと移り、曖昧な立場になっています。
Middle Cambrian Proasaphiscidae,Ptychoparioidea,Ptychopariida TRI-80 Mayan stageTrilobites
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Cornuproetus cornutus
Cornuproetusといえばモロッコ産の入門種として軽視されがちな種類であります。しかし、本標本は新規採掘がもうできないドイツのGees産です。見た目は、モロッコ産と変わりないですが、ドイツ産の方が若干小ぶりな感じです。先に研究されてきたドイツ産より良質で多産するモロッコ産の方しか見かけなくなっていますので、Cornuproetusはモロッコのものを指すと思われますが、むしろ此方が本家と言えます。Gees産は不完全な標本が多く、この様に複眼まで残っている完全体は一般種であっても入手が難しいです。
Middle Devonian Proetidae,Proetoidea,Proetida TRI-456 AhrdorfTrilobites