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Nobiliasaphus delessei
2009年にニュースになった世界最大の三葉虫の発見、そこはポルトガルのカネラスにあるスレート建材採石場から発見された90㎝を超える個体でした。ユネスコ世界ジオパークにも指定(Arouca Geoparque/2009)されている事もあり、個人コレクターには入手困難な産地の一つです。Nobiliasaphusといえばポルトガル産でも一般種ではありますが、大きさというよりは尾部に棘が出ているのが特徴です。本種は、カネラスでも2番目に大きい70㎝もの個体が発見されているそうです。
Middle Ordovician(Dariwillan) Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-756 ValongoTrilobites
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Salterocoryphe salteri
ポルトガル産では珍しく圧縮が無い標本です。見た目が近いColpocoryphe rouaulti(HENRY,1970)とは、尾部の畝があるか無いかで識別されますが、本標本は分かり難いですが尾部に畝が確認できるため、Salterocorypheに同定されています。 どちらの種もスペインやフランスなど近郊の地層からも産出されます。 【標本リンク】Pangaea Fossils http://www.fossilscapes.com/fossils-cat1/world-trilobites-for-sale/wtfs1/worldwide-trilobite-for-sale-1.htm
Middle Ordovician (Dariwilian) Calymenidae,Calymenoidea,Calymenina,Phacopida TRI-752 ValongoTrilobites
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Selenopeltis gallicus
S.gallicaという小種名でもみかけますが、シノニム(Synonym)で同一種と見なしています。S.gallicusといえば、モロッコ産の頭部から棘が1対あるタイプでも散見されますが、ポルトガル産は残り難いだけで、同様の棘があった可能性は高く、この標本にも右側の棘があるのは確認できます。Selenopeltisは、モロッコ産の大型種で棘が太いタイプのS.buchiiが有名ですが、ポルトガルでもS.buchiiは産出します。Selenopeltis自体は、英国、フランス、チェコなど欧州各地でも産出しますが、欧州では希産種であり、ポルトガル産も簡単に入手できるような種類ではありません。見た目はどちらかというとグロテスクなので、好き嫌いははっきりしそうな種類だと思います。
Middle Ordovician(Dariwilian) Odontopleuridae,Odontopleuridae,Lichida TRI-749 ValongoTrilobites
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Nobiliasaphus nobilis
ポルトガルの他、スペインやフランスなど西ヨーロッパに広く産出する種類です。長く太い頬棘が特徴で、アサフス(目)の特徴を良く表しています。ポルトガル産は、褶曲の影響を受けやすく、実際の体形より伸ばされていたり、体高が低い潰された産状ですので、他の産出エリア産と比較して別種の様な姿の場合もあります。
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-85 ValongoTrilobites
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Dionide mareki
ポルトガルの三葉虫の中でも産出は少ない方で、何より頬棘が残っている個体が非常に少ないです。頬棘の有無で印象ががらりと変わりますが、この個体の様に両方の頬棘が残っている個体を見ると、頬棘の長さのが体長を上回ります。眼が無い種類でしたので、触覚以外に頬棘は、進路障害物の確認や遊泳時のバランスなど重要な役割があったと考えられます。 2023/6/10標本を入替ました。 Right side:Positive(1-4) Left side:Negative(5,6)
Middle Ordovician Dionididae,Trinucleioidea,Asaphida TRI-353 ValongoTrilobites
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Ectiillaenus giganteus
ポルトガル産では比較的多く見られる種類で、10cmを超えるような大きな個体も見られます。本種自体は、フランスなど近郊のオルドビス紀の地層からも見つかる一般種です。ポルトガル産独特の褶曲を受けて、別の種類かと思われる程に幅広に変形してしまった個体もいます。この標本は自在頬が欠損しているので、どちらが頭か分り難いとおもいますが、写真上側が頭部です。
Middle Ordovician Illaenidae,Illaenidae,Corynexochida TRI-18 ValongoTrilobites
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Eccoptochile almadenensis
Eccoptochileという種類は、モロッコ産の立体的で大型の種類が知名度はあると思いますが、地中海を挟んだ欧州でも産出します。モロッコ産と同様に丸みを帯びた太くて短い棘が特徴です。モロッコ産もそうですが、産出量が少ないことで知られ、ポルトガル産で実物を見られる機会は限られます。
Middle Ordovician Cheiruridae,Cheirurina,Phacopida TRI-413 ValongoTrilobites
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Isabelinia glabrata
オルドビス紀の欧州各地から見つかる種類です。太く長い頬棘を持ち、アサフスらしい姿をしています。ポルトガル産の三葉虫は、地層の褶曲の影響を受け、立体感が無く時には実際の形とは違うほどに引き延ばされてしまう標本が多くあります。これは悪い事ではなく、産地の特性で見ていて面白いです。ポルトガル産の3色が斑に広がる配色は、見た目にも芸術的で好みの風合いがあります。
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-242 ValongoTrilobites
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Eodalmanitina destombesi
ポルトガル産は、産状として多くの個体が地層の褶曲の影響を受けて、元の形とはかけ離れた引き延ばされたり、歪みが生じてしまう状況が見られます。その状態も味わいがあり、標本としての価値を損なう様なものではなく、産地の特色として嫌いではありません。この標本は、奇跡的に褶曲の影響を免れています。この種類の特徴は、尾部から延びる長い1本の棘です。眼もDalmanitoidea(超科)独特の上から見ると三日月状の複眼があるのですが、この標本では残念ながら欠損しています。属名の最初に"Eo"が付いていますが、初期のダルマニテスという理解で良く、デボン紀まで反映したダルマニテスの仲間の初期の姿になります。
Middle Ordovician Dalmanitidae,Dalmanitoidea,Phacopina,Phacopida TRI-155 ValongoTrilobites