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Pterygometopus angulatus
ロシア産では数少ないファコプスの仲間であり、小さくて特徴も産出も少ない地味な存在です。近縁というか混在に近い形でEstoniopsという属名も見かけますが、Estoniopsの方が写真等で比較すると幅広なのかと感じていましたが、必ずしもという訳でもなく、比較は難しいです。本種は、頭鞍部のブツブツが無い種類の様です。
Lower Ordovician Pterygometopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-547 Kunda levelTrilobites
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Eobronteus laticauda
記載年からも分かる様に非常に古くから知られた種類です。この標本は、この産地の産状を良く表していて、チャートの様な質感にEobronteusの尾部や頭部などの部分化石が積み重なって形成されています。この様にまとまって産出し、完全体での産出は無いのですが、細部の保存は明瞭で尾部や頭部の皴構造を観察するには最適な状態です。
Lower Ordovician Styginidae,Illaenoidea,Illaenina,Corynexochida TRI-711-2 -Trilobites
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Parabathycheilus gallicus
小さいが故に目立たないだけで、本種は実に独創的でユニークな姿をしています。緩く巻いた太目の頬棘は、尾板より長く伸びているとはいえ、ここまでは普通です。特徴的なのは、頬に当たる部分が大きく膨らみ、その上に大き目の眼が飛び出ているのです。近縁のケイルルス亜目エンクリヌルスなどに見られる特徴ですが、こちらはカリメネ亜目になります。もう少し大きければ結構奇抜な種類として人気を集めたかもしれません。
Lower Ordovician Bathycheilidae,Calymenoidea,Calymenina,Phacopida TRI-422 FezouataTrilobites
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Lonchodomas volborthi
モロッコやイギリスなどオルドビス紀の広範囲で産出するLonchodomasですが、立体的な姿で全体像を把握できるのはロシア産に勝る産地は無いと思います。3本の棘は長く張り出しており、しなやかにカーブを描いていて、柔軟性がありそうにも見えます。見た目が同じAmpyxとの区別は、コレクターに知られていますが、Lonchodomas (ロンコドマス)は体節の数が5つ、Ampyxは体節の数が6つである事を一応、記載しておきます。
Lower Ordovician Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-546 Volkhovian LevelTrilobites
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Pliomera fisheri
まるで、ダンゴムシかミツオビアルマジロの様に完璧に丸まったPliomera、4億年以上前の生き物の化石というよりは、美術工芸品の根付を見ている様な錯覚になります。ファコプスの仲間が繁栄したのは、この完璧なエンロール姿勢が可能だった事が一つあると考えられ、捕食者から幾度の危機を乗り切って来た事でしょう。ここまで完璧に丸まった状態で化石化するのは、埋もれるタイミングなど奇跡的な事で、更に発見される時もホンの僅かな箇所だけ(この化石でいうと右頬辺りが少し風化)が見えていて、発見される風化する前に採掘されるなど奇跡が重なる必要があります。 【標本リンク】FFストア http://www.ffstore.net/detail/pmf_020.html
Lower Ordovician Pliomeridae,Cheiruroidea,Cheirurina,Phacopida Kunda level Voibokalo Quarry,St.Petersburg region,RussiaTrilobites
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Chlustinia keyserlingi
記載者がBarrandeとなっている様に、元々はチェコで産出する三葉虫ですが、本家は図鑑の中だけの存在、実物は部分化石でも見た記憶がありません。唯一入手可能なのがモロッコ産ではありますが、産出は多くはありません。頭部の形状など見ればLeonaspisなどに近縁の仲間と分かりますが、平面的に長い棘を有し、Odontopleurida(目)の中では目を引く種類なのではと感じます。 【標本リンク】FossilEra https://www.fossilera.com/fossils/2-65-long-chlustinia-trilobite-rare-species
Lower Ordovician Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-671 TaddristTrilobites
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Illaenus sarsi
頬棘が無いIllaenusであるI.sarsiといえば、ロシアのサンクトペテルブルグ産の状態の良いキャラメル色の標本が有名です。この種類は、バルト海の対岸とはいえ、直線距離で約1,200kmも離れたスウェーデンからの同種です。この産地は、青白い硬い母岩に三葉虫もチョコレート色をしており、殻も剥がれやすく、保存状態もロシア産には敵いません。しかし、商業的に採掘はされておらず、圧倒的に産出量は少ないので、入手難易度はロシア産より高いです。
Lower Ordovician Styginidae,Illaenidae,Illaenina,Corynexochida TRI-273 ExpansusTrilobites
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Megistaspidella triangularis
その名の通り三角の三葉虫です。頭部と尾部が尖っているので、実際はラグビーボールの様な楕円に近い感じです。見た目が特徴的ですのでロシア産の中でも屈指の人気のある種類です。最も一般的な本種以外にも尖りの形状の違いなどから数種が知られていますが、本種以外の産出量は極めて少ない状況です。Spinopygeという属名が使われる事もあり、古くはMegalaspisが一般的に通用した属名でした。
Lower Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-238 Kunda levelTrilobites
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Boedaspis ensifer
世界の三葉虫を収集しているコレクターの中で、最も憧れる種類と言って過言でない三葉虫が本種であると思います。始めて写真での姿を見た時、戦慄を覚えるくらい華麗な容姿に直ぐに虜になるも、車が買える程の価格を知り遠い存在である事を悟り、憧れの種類がある三葉虫収集に終わりが無い事も理解しました。登場当初はAcidaspis kuckersianaと呼ばれ、世界に数個体しか存在しない幻種でしたが、その後、再開発により少量ながら市場に出回りましたが、簡単に手を出せない金額なのは変わりありません。
Lower Ordovician Odontopleuridae,Lichida TRI-542 Volkhovian LevelTrilobites
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Presbynileus ibexensis
ユタ州産はカンブリア紀が主体なのですが、Fillmore累層はオルドビス紀になります。この個体は小型なのですが、大きくなると90㎜以上ある個体もかつて産出した様です。丸みを帯びた体形に大き目な眼、とても見た目が可愛く、個人的には好きな種類です。三葉虫で一般受けする種類は少ないと思うのですが、アサフス系は何か癒される姿をしています。
Lower Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-490 FillmoreTrilobites
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Cyrtometopus clavifrons
Asaphus系中心のロシア産において、Cheiruroidea(超科)などファコプスの仲間は種類も少なく、産出量も多くありませんの。それゆえ高額化して近年は簡単に手を出せない状況になっています。ただ近縁のParaceraurusもそうですが、ロシアのCheiruroidea(超科)の仲間は完成された美しさがあります。同じCyrtometopusの属名を持つデボン紀モロッコ産の種類とは、見た目は別種になっています。
Lower Ordovician TRI-485 Asery level Vilpovitsy Quarry, Saint Petersburg region, RussiaTrilobites
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Agerina quadrata
見た目はカンブリア紀の三葉虫に見えますが、オルドビス紀の産出であり、一緒に共産しているカリメネが証明しています。この標本でも最大級であり、小型で特徴の少ない種類ですが、状態の良い標本に巡り合うのが難しく、産出も多くはありません。この様な地味で小型の種類は、多量に生息してそうに思えますが、現実は希少種だった様です。この種の注目すべきは特殊な分類にあります。コリネキソクス目の中でもマイナーなレイオステギウム亜目に属します。ぱっと見、コリネキソクス目に属しているとは思えないです。
Lower Ordovician Leiostegiidae,Leiostegiina,Corynexochida TRI-187 Upper Fezouata ShaleTrilobites
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Ptyocephalus yersini
多様な形態を誇る三葉虫ですが、四角い種類は、本種やロシアの近縁種であるNiobe/Niobellaなど意外と数は少ないです。本種の防御姿勢の標本は比較的見かけるのですが、真直ぐ伸びている個体は少ないです。見た目が長方形で可愛いので、コレクターにも一定の人気がある種類です。ユタ産では珍しいカンブリア紀ではなくオルドビス紀のものです。
Lower Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-409 FillmoreTrilobites
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Szechuanella granulata
ParaszechuanellaやAnnamitella liexiensisという属名の種類も同一の種類と考えます。見た目は特徴の無い平面的な種に見えますが、Leiostegiidae(超科)という数ある三葉虫の中で極めて特殊な分類に属します。Leiostegiidae(超科)の仲間は、カンブリア紀中期からオルドビス紀前期まで存続したグループで、IllaeninaやCorynexochinaが所属するCorynexochida(目)の属し、入手できる種類は中国産にほぼ限られると言って良いです。以前は安価で入手できる時代もありましたが、今は良質な標本を入手するのが極めて難しくなりました。 中国名:斑点四川蟲
Lower Ordovician Leiostegiidae,Leiostegiina,Corynexochida TRI-595 FenxiangTrilobites
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Ectillaenus perovalis
欧州のオルドビス紀から広く産出するEctillaenusの仲間ですが、英国産は比較的小型の種類のようです。特にこれといった特徴の無い地味な種類でありますし、英国産の中では入手はしやすい方ですが、手を出すコレクターは英国産を集めているか、種類を多く集めているなどの理由が無ければ所有しているコレクターは少ないのではと思います。Shropshireらしい黒色系の母岩と褐色の組合せで、見た目の不完全さが化石らしくて英国産の渋さがよく表れている標本です。
Lower Ordovician Illaenidae,Illaenoidea,Illaenina,Corynexochida TRI-487 Hop ShaleTrilobites