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Amecephalus piochensis
Chisholm Shale累層では、三葉虫自体の産出が少ない事もあり、一般種などと言えるような種類が存在しません。本種は、Amecephalusの仲間では地味な存在ですが、全体像が分かる個体が殆どであり、この個体でも尾部は完全ではありません。まるでハルぺスの仲間の様な頭部を持っていて、この個体では欠損していますが、長めの頬棘もあります。
Middle Cambrian Alokistocaridae,Ptychoparioidea,Ptychopariina,Ptychopariida TRI-504 Chisholm ShaleTrilobites
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Nyterops yetieifliensis
頭部だけの部分化石ですが、モロッコ産とは違う頭鞍のブツブツの病的な異様さに惹かれ、購入した標本です。比率的に大き目で不揃いのブツブツは、見方を変えれば気持ち悪くも見えます。ファコプスが好みの収集家でも、この種類が好みであるとする収集家は少ないかもしれません。
Lower Devonian(Eifelian) Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-751 FreilingenTrilobites
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Pterygometopus angulatus
ロシア産では数少ないファコプスの仲間であり、小さくて特徴も産出も少ない地味な存在です。近縁というか混在に近い形でEstoniopsという属名も見かけますが、Estoniopsの方が写真等で比較すると幅広なのかと感じていましたが、必ずしもという訳でもなく、比較は難しいです。本種は、頭鞍部のブツブツが無い種類の様です。
Lower Ordovician Pterygometopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-547 Kunda levelTrilobites
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Cybantyx(Illaenus) insignis
Rochester ShaleのIllaenusといえば比較的多産したBumastus ioxus(Hall, 1865)と本種がありますが、見分けはBumastusの尾部が半円を縁取っているのに対し、本種は粗円形を縁取っているのが分かりやすいです。また大きさも本種のが大きくなる個体が多かったと感じます。属名については、最新の情報ですとCybantyxが用いられますが、Illaenusで馴染みがあり過ぎて、ついて行けてません。
Middle Silurian (Ludfordian) Illaenidae,Illaenoidea,Illaenina,Corynexochida TRI-728 Rochester ShaleTrilobites
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Dolerobasilicus yokusensis
中国を除けばアジアの三葉虫は、極めて入手が難しい事に気が付きます。朝鮮半島では、カンブリア紀やオルドビス紀の地層があるのが日本と違います。本種は、尾部だけとか部分化石は見かけますが、中々全体像が分かる実物を見にする事は少ないです。Dolerobasilicusは、Basilicus (Basiliella)の属名で昔から知られている種類ではありますが、その姿は本当にアサフスの仲間だろうかという姿です。(5枚目:一番小型の共産した個体は、別種のアサフス)節が非常に多い気がしますが、大きな尾板が胸部の様に見え、その尾部も縦長に尖っています。
Middle Ordovician(Dariwilian) Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-308 JigunsanTrilobites
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Deiphon fleur
Deiphon、それは世界の三葉虫を収集しているコレクターの中では特別な存在であり、文面が長くなりすぎて、語り尽くせない存在といえます。英国産のD.barrandei(Whittard, 1934)は殿堂的な存在ですが、チェコ産であれば頭鞍だけの標本が入手可能です。特徴的な頬棘があれば確信が持てるのですが、丸いコブだけでは全体像が掴みにくいのは事実です。完全体の収集は不可能と言って良いDeiphonですので、頭鞍だけで三葉虫なの?という状態であっても特別な存在なのは言うまでもありません。
Silurian(Homerian) Cheiruridae,Cheiruroidea,Cheirurina,Phacopida TRI-232 MotelTrilobites
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Misszhouia longicaudata
ユネスコ世界自然遺産(澄江の化石産地/2012年登録)から産出した驚異的な保存状態のNaraoiaです。これだけ見ると、ウミウシみたいで三葉虫には見えませんが、良く見ると軟体部だけの化石と分かります。鰓肢と歩肢の構造が良く分かり、現生の甲殻類と同じように絶え間なく動かしていた様子が目に浮かびます。背中の外殻で分離したのでなく、殻の内側の軟体部で分離すると、この様な産状になるそうですが、この様な保存状態は、澄江であっても多くはありません。 (中国名:長尾納羅虫)
Middle Cambrian Naraoiidae,Nektaspida TRI-214-2 HeilinpuTrilobites
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Crotalocephalina(Pilletopeltis) apheles
Crotalocephalina sectaなど比較的大型の産出が見られる福地のCrotalocephalinaですが、この個体は極めて小型の種類の様です。また本標本は岩質が異なり、同じ場所からの産出では無さそうです。Pilletopeltisといえば、モロッコ産の牙付の同種が有名ですが、本種も外観的には近似だと思われます。同一個体かは分かりませんが、頭部と尾部が同産しています。
Lower Devonian Cheiruridae,Cheiruroidea,Cheirurina,Phacopida TRI-587 FukujiTrilobites
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Pudoproetus femglenensis
石炭紀の中では大きくなる種類です。本標本では尾部が欠損していますが、尾部が残っていたら5㎝を超える大きさが想像できます。Phillipsiidae(科)系統が大部分の石炭紀において、数少ないProetidae(科)系統の血を引きます。
Lower Carboniferous(Mississippan) Proetidae,Proetoidea ,Proetina,Proetida TRI-265 Lake ValleyTrilobites
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Richteros(Perrector) falloti
モロッコでも最も初期の地層から産出する三葉虫です。2020年頃から見かけるようになったモロッコの新種で、私的に最も印象的な種類に感じます。Resseropsという属名で以前から少数ながら見かけていた種類と極めて近縁ではありますが、本種は頬棘が長く、棘の弧の描き方が丸みを帯びていて、印象が異なります。属名や分類は、まだ混乱していてSaukiandidae(科)に属すると思っていましたが、Resseropidae(科)という分類も見かけます。幾つかのバリエーションも見られ、今後の記載が待たれます。 【標本リンク】Tresors du Temps https://tresorsdutemps.com/index.php/produit/beautiful-trilobite-richterops-falloti/
Lower Cambrian Resseropidae,Redlichioidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-753 AmouslekTrilobites
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Pseudophillipsia artiensis
ペルム紀ロシア産の本種は、昔から知られていて、年代別にコレクションするコレクターにとって、ペルム紀を代表する三葉虫として本種の完全体を探しているコレクターも多いと思います。珍しいとはいえ遊離頬が外れている個体は、長年収集していれば入手の機会はあったと思いますが、完全体は相当の難易度である事は三葉虫コレクターなら理解する所です。この標本も国内の有力なコレクターを経由して私の所に辿り着いています。Ditomopyge artinskiensisという別名も同一種と見ています。
Lower Permian Phillipsiidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-551-2 ArtiTrilobites
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Eokochaspis piochensis
Eoptychopariaとも呼ばれていた初期のPtychopariida(科)の仲間ですので、Ptychopariida(科)系の先祖と思われます。Piche shaleの中でもComet Shale Memberと呼ばれる層から産出される様です。平面的で短めの頬棘以外に目立った棘も無く、眼も確認できない特徴の乏しい種類です。同じ産地から4種類ほど記名されてはいるのですが、比較できるほどの個体数や状態の良い標本が少なく、同定は困難で最も古くから認識されていた本種が代表種の様になっています。
Middle Cambrian Ptychopariidae,Ptychoparioidea,Ptychopariina,Ptychopariida TRI-459 Pioche shaleTrilobites
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Paradoxides davidis trapezopyge
三葉虫コレクターのバイブル的な図鑑である「THE TRILOBITE BOOK」では、多くのページを割いて紹介される特別な存在として知られます。本種の初期にして完成された優美な姿と迫力ある大きさは、記名者で著者のRiccardo Levi-setti(1927-2018)だけでなく、多くのコレクターも魅了される存在である事に異議はありません。著書の中でも詳細が触れられていますが、P.davidisは、4つの亜種に細分され、素人目でも判断できるのは尾板の大きさで区別できます。本標本は、最も尾板が大きな亜種という事になります。産状として剥がれ易い母岩全体に幾つかの個体が折り重なる様に重なり、実物を見ると図鑑の様な完全な標本など奇跡的といえる状態である事が理解できます。元々崩れやすいカンブリア紀の大型三葉虫なので、この標本の状態でも一般的に入手できた中では最上位クラスであります。 [Left side:Negative,Right side:Positive] 【参考リンク】「Phenotypic variation in the Middle Cambrian trilobite Paradoxides davidis SALTER at Manuels, SE Newfoundland. 」 https://paleoarchive.com/literature/Bergstrom&Levi-Setti1978-PhenotypicVariationParadoxidesDavidis.pdf
Middle Cambrian Paradoxididae,Paradoxidoidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-734 Manuels RiverTrilobites
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Protolenus sp.
モロッコでは新産地とされるIssafenes。大型で特徴的な種が多く、コレクターに注目されて来ていましたが、実は軟体部も保存されている個体が存在する事も密かに知られていました。石質だけ見ていると軟体部が保存されるように思えなかっただけに意外に思えるかもしれません。近年は、オルドビス紀Fezouata累層の軟体部保存の知名度がありますが、Issafenesの軟体部もクッキリしています。触覚が保存されている、この標本、細くてしなやかな質感が良く分かります。
Lower Cambrian Ellipsocephalidae,Ellipsocephaloidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-686 IssafenesTrilobites
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Tretaspis sortita
地味に思われがちなTrinucleidae(科)の仲間ですが、頭部の鰐の規則正しい粒々と長い頬棘など小さいから目立たないだけで、実は派手な装飾のある三葉虫なんだと思います。化石では茶色ですが、実際は分からないだけでカラフルな配色だったかもしれません。この標本はスコットランドの閉鎖された著名産地からで、現代の剖出がされた貴重な標本です。この種の特徴の頭部鰐の粒々と長い頬棘が立体的に残されています。
Ordovician Trinucleidae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-690 South ThreaveTrilobites