2023.04.21 Eric Clapton
初版 2023/04/29 12:45
改訂 2023/11/05 17:18
Eric Clapton、100回目の武道館公演を観てきました。1974年の初来日から49年かけて達成された大記録、おめでとうございます!
実は最初にクラプトンを聴いたのは「Unplugged」という超後追いファンではありますが、海外アーティストの来日公演としては最も多くの回数を観てきました(今回で通算12回目)。ただ、ここ最近はもう悠々自適モードで「もう儂ゃ好きにやるから観にきたけりゃどうぞ、どうぞ。」みたいな?ほっこりするライブのように感じられるようになり、またツアー引退宣言をしつつも来日はわりとコンスタントに続けてくれていたので、またいつでも観に行けるかな…と来日のたびに続けていた「クラプトン詣で」も2016年で途絶えてしまっていました(といっても結果的に2019年をサボっただけですが)。しかしその後、コロナ禍で海外アーティストの来日どころかライブ自体も行われない日々を経て、さらに先日のJeff Beckをはじめクラプトン世代のアーティストがだんだんと鬼籍に入ってしまうようになってくるとさすがに「観られるときに観に行かなきゃ!」と心境の変化がありました。今回は武道館通算100公演という記念すべき節目のライブになること、そしてコロナ禍の隔離中に制作された「Lady In The Balcony」が現代版Unpluggedとも呼べる珠玉の出来だったこともあって、やっぱりアノ音と歌が聴きたい、と「クラプトン詣で」を復活させました!
グッズ売場の行列に並んだのに目の前であれもこれも売り切れになってしまったのでパンフだけ買って入場。パンフも値上がりしたなぁ…。席は1階西、ステージのほぼ真横。この日も双眼鏡いらずでステージ上のメンバの表情までよく見えました。先日のDoobiesの時もそうでしたが、クラプトンのステージもまた装飾が何もなく超シンプル。開演後に気づいたのですが、スポットライトさえ使われず、頭上の温かみのある照明のみだったので時には主役の顔が逆光気味にさえ見えるという…まるで街のバーやクラブで演奏しているかのような雰囲気で、さすが大ベテランは余計な演出不要で演奏のみで勝負!というのが凄い。
定刻どおりに会場が暗転し、いつものようにメンバーがゆるゆると登場。今回、ドラムのSonny Emoryは初めてですが、他のメンバーはすっかりお馴染みの面々。始まった1曲目は聞き覚えのないインスト曲。クラプトンのクリーム色のストラトから奏でられる、もの哀しいメロディーが印象的でした。ああ~このトーンだよ!やっぱり生クラプトンは何だかんだで最高だ、と乗っけから引き込まれてしまいました。後で見たセットリストによると「Blue Rainbow」と名付けられた新曲だったようです。ネット上ではJeff Beckに捧げる曲だという噂も飛び交ってましたが、たしかに「Blue Wind」というベックの代表曲はあるし、「Over The Rainbow」はクラプトンもベックもそれぞれ違う形でカバー演奏していましたが…果たして?
そこからは「Pretending」に始まって「Key To The Highway」「Hoochie Coochie Man」などお馴染みの曲が演奏されていきました。クラプトンのライブはバックを固めるメンバーたちも凄腕なので、Chris Stainton(Pf)→Doyle Bramhall II(Gt)→Paul Carrack(Org)の順(が多かった)でのソロ回しも聴いてて楽しいし、Sonny Emory(Dr)とNathan East(b)のリズム隊とコーラスのお二人もしっかり演奏を支えていて安心感と安定感が半端なかったです。御大のギターも歌も変わらぬ演奏で嬉しい限りでした。そして前半のハイライトは「I Shot The Sheriff」。この曲がクラプトンの調子のバロメーターであるとファンの間ではよく言われるのですが…この日は歌もギターも最高!!2ndコーラスが終わるとバンドがボリュームを落として静かにソロに入り…「キューン!」ってチョーキングの音一発で「キタ~~!」ってなる。そして徐々に盛り上げていってクライマックス!もう泣きそうでした。ホントこの人って1音だけで人を泣かせられる数少ないギタリストですよね…。やっぱり凄い。凄すぎます。
ここでいったん着座してアコースティックセットへ。Unpluggedから入った自分としては「Nobody Knows You~」等、同作で演奏された曲がまた聴けるのがめちゃくちゃ嬉しい。そしてここでも知らない曲があったのですが、どうやらこれこそJeff Beckへの追悼曲だったようで、こちらの記事にも載っている「Sam Hall」というスコットランドのトラディショナルな曲だったようです。
JJ Caleの「Call Me The Breeze」も演奏されてたし、亡きお子さんについて歌った「Tears In Heaven」はちょっとレゲエ調の明るくなったアレンジで披露され、エレクトリックセットに戻ってからはGeorge Harrisonとの共作である「Badge」と、要所要所に(ご本人にそこまでの意図があったかはともかく)故人への追悼ともとれる曲が演奏されていました。
お約束の「Wonderful Tonight」のあとは、これまた近年はジャムる曲のイメージが強い「Crossroads」と「Little Queen Of Spades」でソロ回し含めメンバー全員参加での演奏を聴かせてくれました。そして本編最後は「Cocaine」。過去のライブでもそうでしたが、ここでようやく観客総立ちに。曲の終わりの
バンド:「She don’t like, she don't like, she don't like...」
観客:「Cocaine!!」
もバッチリ決まって本編終了!
ここまで御大ご本人はいつものように淡々と演奏していましたが…アンコール前にウドー音楽事務所と日本武道館から通算100回目の武道館公演を記念して100本のバラの花束と記念盾がステージ上で贈呈されました。
特にご本人からのお言葉も何もなく、そのままアンコールの「High Time We Went」へ。Paul Carrackが歌うこの曲で締めるのも今やすっかり定番に。…そして、まさかのレイラ無し!?で終わっちゃいましたが、唯一無二の”ウーマントーン”がたっぷり聴けて本当に行って良かったです。クラプトン御大、なんか前に見た時より若返ったかのように痩せて健康そうに見えました。…また来てくれそうですね。
Eric Clapton
Live At Budokan 2023
2023年4月21日(金)
日本武道館
Setlist:
01. Blue Rainbow
02. Prenteding
03. Key To The Highway
04. Hoochie Koochie Man
05. I Shot The Sheriff
(Acoustic)
06. Kind Hearted Woman
07. Down And Out
08. Call Me The Breeze
09. Sam Hall
10. Tears In Heaven
11. Kerry
(Back to electric)
12. Badge
13. Wonderful Tonight
14. Crossroads
15. Little Queen Of Spades
16. Cocaine
(encore)
17. High Time We Went