捲土重来 「江戸の仇を蝦夷で討つ」 ~ ついに見ました!「鳥獣戯画」

初版 2024/08/28 16:49

改訂 2024/09/12 20:53

2015年東京国立博物館での「5時間並びの上野戦争」の敗戦から9年、ついに鳥獣戯画を見てきました!

北海道には鳥獣戯画は初のお目見えとのこと。向こうから遠く札幌まで来てくれるとはありがたい限りです。

甲乙丙丁巻はそれぞれ三期に分かれて展示とのことで、この3期セット券というものを購入しました。

しかし、ご覧のとおりそれぞれの巻が前半、後半に分かれており、全部見ようと思うと6回美術館に行かなければなりません😲!さすがにそこまでの時間はないです。

入場方法はネットで時間予約ではなく、「美術館に行って整理券をもらい、整理券の番号が掲示されたら入場可能」というシステムになっています。上の写真は待ち時間60分となっていますが、甲巻では最大240分の待ち時間ということがあったようです😢。

ちなみに館内は撮影禁止です。

一番人気の甲巻はやはりカエル、ウサギ、サルの表情が豊かで、見ていて本当に微笑ましくなる傑作だと思いました。丙巻にもカエルが出てくるのですが、「活きの良さ」では甲巻の圧勝でした。

しかし、今回私の一番のお目当ては丁巻で、昨日行って参りました❗薄墨でサラサラ描かれていますが、新聞の風刺漫画の800年先を行く筆の闊達さ。余程の達人です。となりの女性は「この絵だけヘタクソだね」と言っており、「なるほど、これが下手に見えるのか」と思った次第です。

引かれた丸太の上で棟梁が掛け声をかけています。

引いている男たちは重労働なはずですが、なんと楽しそうなことか。サラサラ描いていても、人の動き、バランスは完璧です。

丁巻はドーミエのカリカチュアからシニカルさをちょっと引いたような感じ。

丸太を引く綱が切れて一同がひっくり返ります。あられもない股間(笑)。

それを法会に参列している装束を着た右側の公暁が振り返ります。

この貴族の顔が丁寧に描かれていますが、ここだけでも画家の技量が極めて高いことが分かります。でも全体には新幹線が80キロくらいで走っている「余裕のよっちゃん」状態(笑)。

丁巻、読経の様子。

この拝んでいる仏さんの実にいい加減なこと(笑)。どうもご本尊はカマキリ(それともカエルのミイラ?)ではないでしょうか。

丁巻の作者は甲巻のこの絵を見ていたにちがいありません。

石をぶつけ合う遊び(?)だそうですが、下段のおじさんは実に華麗なよけ方です。飛んでいく石のスピード感も素晴らしい。やはり丁巻は傑作だと思います。

家内からは「当時こうした紙は大変な高級品だったのに、なぜこんな下書きみたいな絵を描いたのかな?」という素朴な疑問が上がりました。皆さんはどう思われますか。

他にも魅力的な作品が出品されていました。

国宝「仏眼仏母像」平安〜鎌倉時代・12〜13世紀。とても綺麗なお顔の仏様です。

明恵上人が可愛がっていた犬をモデルにしたと言われる重要文化財「子犬」。「なまらめんこいんでないかい?」。

おみやげに買ったクリアじゃない「鳥獣戯画+Onちゃんファイル」。

我らが「チームナックス」、安田顕がむかし着ぐるみの中に入っていたOnちゃんと動物たちの楽しいコラボです。

ところどころ現代風にアレンジされているのがまたなんともいい感じです。

閉館間際は絵巻の前には誰もおらず、鳥獣戯画を独り占め(笑)。とっても幸せでした。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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    Jason1208

    2024/08/28 - 編集済み

    面白いですよね。鳥獣戯画。
    画像は自分の所有するTシャツです。

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      グリーン参る

      2024/08/28

      いいTシャツですね👍。
      やはりこのシーンは鳥獣戯画の白眉です!

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    fanta

    2024/08/28 - 編集済み

    5時間待ちの上野浅草→ウケるww
    今回は無事に見られて良かったですね🙌

    私の行った2021年in上野は一挙大放出での公開だったですが、それまでは上野といえども分散して…
    という展示だったそうです。
    北海道でもちと、小刻みな展示だったのですね💦

    甲巻はいつでも人気♪という感じですが、
    最近惹かれるのは、丙巻の生き物たちです😆
    特にカエルやサルが車輪を引いてる祭りなシーン…
    この素朴さが妙にナゾな巻だと思ってます。

    他の国宝な絵巻物に比べ、
    鳥獣戯画はお寺で使われる…ちょっと粗悪な紙だとか。なために、作者は宮廷絵師ではなく、
    僧侶派だったのでは?と言われてるそーですが。
    まだまだナゾなようですね~😁

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      グリーン参る

      2024/08/29

      fantaさん、
      実際5時間並んでいるときにはウケている余裕はありませんでした(笑)。まわりのおじさん達も最後には結構殺気立っていて、「このまま美術品を見ても楽しめないだろうなぁ」と思わされました。
      本当に今回、絵巻を見られて良かったです。でもこれだけ細切れに絵巻を展示するのはいかんと思いました。三期展示は時間、費用とも無駄が多いですし、何といっても「絵巻の中の時間の流れ」が途絶してしまいます。実際、道立近代美術館の館内はそれなりに広く、やろうと思えば二期の展示ですべての絵巻を公開することが出来るスペースはあります。三期にするのは別な理由があるのかもしれません。

      丙巻の動物たちは「みなが協力している」感じが強いですよね。その雰囲気が特に良いのだと思います。

      鳥獣戯画はどうも「一流の下書き」といった印象を持ちます。丁巻はどなたかに献上するような内容でもありませんし、風俗画といった感じですからね。絵師は一級だと思いますが、目的が全く分かりません。

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      fanta

      2024/08/29

      >絵巻の中の時間の流れ…
      同感でっす😌
      絵巻を鑑賞する姿勢というものに、
      重点を置いて欲しかったところでしょか。
      何度も美術館に足運んでもらいたかった?のでしょうかね…。

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      グリーン参る

      2024/08/31

      絵巻とは絵を並べて長くしたものではなく、「時間の流れと共に進行する物語」ですから、こうした展示になるとなんだかもの悲しいです。各巻を見比べる楽しみも欲しかった…。

      ちなみに家内は2015年に、その後上野から巡回した九州国立博物館での鳥獣戯画展をたまたま見ることが出来ました。開幕日に台風が直撃し、閑散とした館内で全巻をこころゆくまで満喫したそうです。実に羨ましい😂。長蛇の列を予測した「延々と続く入口の柵とチェーンが、淋しく風にカラカラと揺られていた」と話していました(笑)。

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