鉄道模型製作記『小田急 EB1051』前編(組み立て編)
公開日:2020/12/17
【はじめに】
この度は製作記をご覧いただきまして、ありがとうございます。
アオシマ製のDD51のプラモデルを製作しているところだったのですが、方向性がまとまらず、延期が続いています…
そんななかで、ちょっとした気晴らしを兼ねて、ブラスモデルに挑戦しようと思います。
【今回の題材】
今回は、小田急の電気機関車にしてみました。

~実車について~
小田急EB1051は、かつて小田急電鉄が保有していた電気機関車です。また、同社最期の電気機関車でもありました。
この車両は、1950年に日立製作所で製作され、当初は日本専売公社(現在の日本たばこ産業)の足柄工場専用線で運用されていました。その後1958年に小田急が運用を受託し、1959年には正式に小田急電鉄の所属車両になります。
以降2002年に引退を迎えるまで、相武台工場·大野工場で入れ換え機関車として活躍しました。
ロマンスカーなどと比べると地味な存在ではありましたが、小さな車体で小田急の日常を陰で支えた大切な存在でした。
~模型について~
小田急EB1051はいくつかの鉄道模型メーカーから製品化されており、私が入手したのは安達製作所のキットでした。
元々は「バラキット」と呼ばれるもので、キット本体の他に各自で動力·パンタグラフ·連結器などを入手する必要があります。
今回はオークションで入手しました。出品されていたものは、すでに前のオーナーさんが入手が難しい別売のパンタグラフを購入されており、他に必要なものはどれも模型店で手に入るものばかりでした。そのため、ほとんど苦労無く完成を迎えられました。
それでは前置きはこのぐらいにさせていただき、製作記をはじめてまいります。
(もともとは1話完結にするつもりでしたが、想像以上に写真が多くなってしまいましたので、2話構成とさせていただきます。)
【車体の製作】
はじめに、すべての部品が揃っているかを確認します。あくまでも入手時点で中古品ですので、覚悟を決めて箱を開けます。



箱を開けて一安心。どうやら欠品は無いようです。
しかし生産されて相当時間が経っているようで、所々酸化が目立ちます。
~キャブの製作~
まずはキャブを研磨して酸化被膜を削り落とします。

↑研磨前

↑研磨後

真鍮モデルの磨き出しやハンダ落としには「キサゲ刷毛」という工具を使っています。私はマッハモデルの製品を愛用しています。1本3千円ぐらいしますが、10年以上活躍している工具箱の重鎮です。
続いて、キャブの手すりを取り付けます。

まず、0.5mmのドリルで穴を開けます。

キットにも真鍮線は付属していましたが、だいぶ酸化していましたので、手持ちの真鍮線を使用しました。

キットでは、手すりの隙間を0.8mmにするよう指定がありますので、程よい厚紙を用意します。

キャブと手すりとの間に厚紙を噛ませ、スペーサーにしてはんだ付けします。
次に、屋根上とドア上の雨樋をはんだ付けします。

↑屋根上にあるモールドをガイド線にしています。

はんだ付けが終わると上の写真のようになります。

余分な「はんだ」はヤスリとキサゲ刷毛で削ります。

ドア上の雨樋をはんだ付けします。

細かい作業になりますので、火傷をしないように当て木をしています。
~ボンネット周りの製作~
キャブ部分が一段落したら、次はボンネット周りの製作に移ります。

ボンネットは3枚の板で構成されています。仮合わせをすると、あまりピッタリしませんでしたので、ヤットコなどで曲げ角を調整します。

調整が終わったら、内側からはんだ付けをします。

内側にはんだをしっかり流したら、表の接合面をはんだで埋めます。

余分なはんだを削り落として箱組が完成です。
(奥が作業前、手前が作業後です)
続いて、ボンネットの手すりと雨樋をはんだ付けします。手すりは説明書の原寸通りに0.4mmの真鍮線を曲げます。

写真では完成したもののみを載せていますが、なかなか上手くいかず、倍近く失敗作も生み出しています…

出来上がった真鍮線を、先程のキャブ手すりと同じ要領ではんだ付けします。

手すりが付くと精密感が増します。
次に雨樋をはんだ付けします。前·横に付けますので、少々根気が要ります。

マスキングテープで仮止めしてはんだを流します。

はんだ付けと表面処理を終えれば、ボンネット周りの製作は完了です。


それでは、いよいよキャブとボンネットをはんだ付けします。

車体が歪まないように、仮止めをしてからはんだを流します。

はんだ付けと表面処理が完了しました。最後にパンタグラフの台座を設置しますが、ひとまず車体の組み立ては終わりです。
~車体下部の製作~
車体下部(台車部分)も真鍮板を組み合わせるようになっています。

早速はんだ付けしていきますが、まずパワートラック(動力)の固定台を付けます。


続いてカプラー(連結器)台を付けます。ここの部品は台枠の固定にも関わりますので、しっかりとはんだを流します。

写真では一度ねじ止めをして、位置がずれないようにしています。
次に側面の台枠を組んでいきます。こちらも仮合わせをして、歪み無く付けられるか確認します。


組み上がると上の写真のようになります。板から立体になっていくのはワクワクするものです。
続いて、前面台枠とステップをはんだ付けします。

ステップは裏からはんだ付けしましたが、なかなか位置が定まらず、3回ほどやり直しをしました。はんだ付けはプラモデルと違い、ある程度は失敗しても「リセット」出来るのが良いところです。

完成すると上の写真のようになります。
次はさらに小さな部品のはんだ付けです。

取り付けている部品は「解放テコ」の台座です。この部品は実車において、自動連結器(ナックルカプラー)のピンを外して連結を解くときに使用します。

取り付けてヤスリがけを終えました。後の工程でテコ部分を作ります。
ここで、ささやかなディテールアップをします。
実車は年代によって様々な改修が施されており、晩年に近い時期には「連結器置き」と思われる台が取り付けられています。

そこで、天賞堂から販売されている「スカートステッ」を用意しました。この部品は機関車の誘導などを行う作業員用のステップで、機関車の前面に取り付けられています。
本来の使用用途とは異なりますが、形状が似ていたので、これでよしとします。
早速必要な部分を切り出します。

それをはんだ付けすると…

雰囲気は良い感じになりました。
本来の製作に戻りまして、乗務員ハシゴを取り付けます。

キットは長いハシゴの状態になっており、長さを調節してカットします。

↑カットして、はんだ付けする部分を折り曲げています。

はんだ付けが終わりました。ここで気づいたのですが、実車ではハシゴが内側に傾いていましたので、モデルでも内側に折ることにしました。
組み立てもいよいよ最終段階になりました。
それでは、解放テコを製作します。

まず0.4mmの真鍮線を、前の工程で取り付けた台座に通します。

次に、中央を引っ張って尖らせます。

最後に両端を折り曲げて、不要な部分をカットします。

出来上がりました。
最後にパンタグラフの台座を組み立てます。

台座はエッチングで再現されています。

この部品を切り出して、折り曲げます。

先に足場に当たる部品をはんだ付けします。

次に、やぐら状の部品を付けます。

パンタグラフはあらかじめ組み立ててありますので、この完成品を使用します。

パンタグラフを仮合わせすると、機関車の全体像が見えてきました。
以上で「はんだ付け」は終わりです。
あとは「ホワイトメタル」の部品を付けていきます。ホワイトメタルとはスズを基にした合金で、融点が低く柔らかいのが特徴です。通常のはんだ付けでは溶けてしまいますので、基本的には接着剤を使用します。

接着する前に車体をサンポールに漬け込み、そのあとクレンザー、中性洗剤の順で洗浄しています。
思いのほか沢山ありますが、根気よくエポキシ接着剤で付けていきます。

完成しました!
中途半端ではありますが、ここで一区切りとさせていただきたいと思います。
長文駄文になりましたが、ご覧いただき誠にありがとうございました!
次回、塗装から完成までを製作記にまとめたいと思います。
よろしければ、最後までお付き合いいただければ幸いです。
#2020
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