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鉱物標本 セルサイト 繊維状(Cerussite)
別名:白鉛鉱、Lead Spar、White Lead Ore 産地:Santa Cruz Co., Arizona, U.S.A. ガレナ(方鉛鉱)の酸化等で鉛鉱床の酸化帯に生成する鉛の二次鉱物。 細かく砕かれたものは古くから白色顔料の鉛白として利用されてきた。ただしセルサイトが炭酸鉛(PbCO3)であるのに対して、本来の白色顔料である鉛白は人工的に作られた塩基性炭酸鉛(2PbCO3•Pb(OH)2))であり、天然にはハイドロセルサイトという鉱物で別に存在している。 鉛白の製造の歴史は古く、紀元前300年頃の古代ギリシャにおいて『植物学の祖』と呼ばれた哲学者、博物学者、植物学者であったエレソスのTheophrastosが記した『Περὶ λίθων(De lapidibus、石について)』にて既にその製法が記述されている。その内容は酢酸を入れた土器の上で10日程鉛を曝した後、表面に蓄積した鉛白を削り集め、再度鉛を酢酸に曝して完全に鉛が無くなるまで繰り返すといったものであるらしい。 セルサイトの名称については1565年にConrad Gessnerによりラテン語で『天然の鉛白』を意味する"cerussa nativa"という呼称で言及され、1832年にF. S. Beudantがcruiseという名称で記述した。ラテン語の鉛白"cerussa"に由来する現在のcerussiteという名称は1845年にオーストリアの鉱物学者であるWilhelm Karl Ritter von Haidingerが命名した。 その高い屈折率と分散度から、インクルージョンの少ない透明結晶ではスフェーンやスファレライト、ジルコンに匹敵するダイヤ光沢とファイアを有する希少な宝石となる。 標本の産地であるサンタクルス郡は1899年にピマ郡から分離して設立されて出来たアリゾナ州の郡である。郡名はピマ郡で発見された鉱物であるキノアイト(*1)の名前の由来にもなっている、17世紀後半にアリゾナ一帯で活動した宣教師、探検家のEusebio Francisco Kino神父が名付けたサンタクルス川に因む。サンタクルス郡には現在もKino神父に因んだ史跡が残されている。 2021年7月にミネラルザワールドin横浜にて購入。セルサイトは短波紫外光で黄色や白色の蛍光を確認できる場合もあるそうだが本標本では確認できなかった。 *1:キノアイト →鉱物標本 キノアイト(Kinoite)
鉱物標本 3~3.5 金剛光沢、ガラス光沢、樹脂光沢、真珠光沢、鈍光沢、土光沢たじ
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人工結晶 チェルミガイト(Tschermigite)
別名:アンモニウム明礬、Ammonium Alum 産地:日本(自作) アルムNa(*1)を作るのに使用した市販の漬物用アンモニウム明礬を再結晶法で結晶化させた。 クロム明礬の模造品として人工的に紫色に着色された結晶が売られていることがある。 天然には褐炭(亜炭)層、瀝青質頁岩、噴気口、石炭の隙間などで八面体結晶の他に霜柱様の柱状結晶として見つかり、その高い水溶性によって乾燥した条件下でもない限り長期的に存在できない。 1852年にボヘミアの北ボヘミア褐炭盆地にあるTschermig村(現在のチェコ共和国Chomutov地区Čermníky(ドイツ語名Tschermich))にて発見され、鉱物名もそこから付けられている。 1968年に村はNechraniceダムの底に沈んでしまい、現在では廃村となっている。 チェルミガイトは12水和物であるが無水物鉱物としてゴドヴィコバイト(Godovikovite)が存在し、石炭廃棄物を焼却した際などにも生成されることがある。 2021年作成。 *1:アルムNa →人工結晶 アルムNa(Alum-(Na))
人工結晶 鉱物標本 1.5~2たじ
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鉱物標本 ロンドナイト(Londonite)
別名:ロンドン石 産地:Madagascar セシウム元素を含むイエローがかった淡いシャンパンカラーの鉱物。ローディザイトのセシウム優位変種。 元々はローディザイトという鉱物だと思われていたが、1999年にK元素がCs元素より多いローディザイトに比べ、Cs元素の量の方が判明。 2001年に米国オクラホマ州ノーマンのオクラホマ大学地質学および地球物理学教授であるDavid London(1953 –)に敬意を表して、William B. Simmons、F. Pezzotta、A.U. Falster、およびW.L. Webberらによって命名された。 セシウムは元素周期表にて同じ1族元素(アルカリ金属)のルビジウム、2族元素(アルカリ土類金属)のストロンチウムとバリウムなどと共に母岩を構成する主要元素よりもイオン半径が大きなLIL元素(large-ion lithophile elements)に分類される不適合元素である。 マグマが結晶化する過程で不適合元素であるセシウムはルビジウムと共に液相で濃縮されて最後に結晶化するが、ロンドナイトもこのような過程で形成されるLCT(リチウム-セシウム-タンタル)型花崗岩ペグマタイト中に産出する。 余談であるが、セシウムよりもイオン半径の小さなルビジウムは同じアルカリ金属のカリウム元素と置換する性質があり、化学組成式にルビジウムが含まれているものはその為であると思われる。 本標本はマダガスカル産のロンドナイトとして購入したが、元素分析がされていない限りはロンドナイト-ローディザイトの固溶体がより正しいと思われる。 2020年10月、石ころ販売会in浅草にて購入。短波UVライトで黄緑色の蛍光を確認。
鉱物標本 8 ガラス光沢たじ
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鉱物標本 アフガナイト(Afghanite)
別名:アフガン石 産地:Sar-e-Sang, Koksha Valley, Kuran wa Munjan District, Badakhshan, Afghanistan ラピスラズリで有名なアフガニスタンのSar-e-Sang(*1)にて1968年に発見された青色の鉱物。鉱物名も見た通りに国名に由来する。 一般的にソーダライトと共に炭酸性変成岩中に産する。 ラピスラズリ(ラズライト)の青色がアルミノケイ酸塩の篭(ソーダライトケージ)に閉じ込められた硫黄に由来しているのと同様、アフガナイトの青色も硫黄成分に由来している(*1)。そのため硫黄を含まないアフガナイトとして無色~白色のものも存在する。 またアフガナイトの特徴として完全な劈開を有しており、硬度が低めで脆いことから宝石としては職人泣かせの石に分類される。 もう一つの特徴として長波紫外線での蛍光性を有しており、明るいピンクからオレンジ色の蛍光を確認できる。 先日アフガニスタンがタリバンに再度支配されたことでミャンマー産のヒスイ(*2)が軍事政権の資金源になっている件同様、今後は再びアフガンで採掘されるラピスラズリやアフガナイトなどの鉱物・宝石資源がある種の紛争鉱物としてタリバンの資金源となるだろう。 本標本は2019年にミネラルマルシェで購入したもの。濃い目の青色の結晶に桃黄色の蛍光が確認できる。 *1:Sar-e-Sangとラピスラズリおよびラピスラズリの発色原理 →鉱物標本 ラピスラズリ(Lapis Lazuri) *2:ミャンマーのヒスイ →鉱物標本 ジェダイト(Jadeite)
鉱物標本 5.5~6 ガラス光沢たじ
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鉱物標本 コバルトカルサイト(Cobalt-bearing Calcite)
別名:Aphrodite Stone 産地:Bou Azzer Mine, Ouisselsate Caïdat, Amerzgane Cercle, Ouarzazate Province, Drâa-Tafilalet Region, Morocco コバルトを含有することでビビッドピンクまたはマゼンタピンクと言われる鮮やかなピンク色を呈する様になったカルサイト(方解石、CaCO3)の変種。カルサイトとスフェロコバルタイト(コバルト方解石、CoCO3)の固溶体とも定義出来る。 元々はイタリア、トスカーナ地方にあるCape Calamita鉱山のVallone stopeという場所で発見されたものがコバルトカルサイトとして言及されていた。 宝石名としてはアフロディーテなどとも呼ばれており、産地はコンゴ、モロッコ、スペインなどが有名である。 本標本はモロッコのBou Azzer産で、この地域は石炭紀の地層に由来するモロッコのコバルト鉱山地帯であり、コバルトカルサイト以外にもコバルトドロマイトやエリスライト(コバルト華)(*1)などのコバルト鉱物が多く産出している。 2021年3月、ミネラルマルシェにて購入。色はピンクというより紫色寄り。実はケースに収まりきらなくて母岩のカルサイト部分を若干削った。 *1:エリスライト →鉱物標本 エリスライト(Erythrite)
鉱物標本 3 ガラス光沢~亜ガラス光沢、樹脂光沢、蝋光沢、真珠光沢たじ
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人工鉱物 キュービックジルコニア(Cubic Zirconia)
別名:立方晶ジルコニア, CZ 産地:中国 高い透明性からダイアモンドの模造品として用いられる二酸化ジルコニウム(ZrO2、ジルコニア)の結晶。 本来、ジルコニアは常温常圧下では単斜晶系が安定しており、天然では1892年にバッデレイアイト(Baddeleyite)として存在していることが発見されている。この単斜晶系のジルコニアは1170℃で正方晶、2370℃で立方晶、2750℃で溶融することが知られており、常温でも立方晶で安定させる方法が研究され、1929年に希土類酸化物の酸化イットリウムや酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどをジルコニアに添加して固溶体にすることで結晶格子中に酸素空孔が形成され、常温でも正方晶や立方晶で安定することが発見された。 その後、1973年に安定化立方晶ジルコニア(CZ)の合成技術をソビエトの科学アカデミーLebedev物理学研究所(FIAN)が完成させ、その3年後から研究所の名前を取ってFianitという宝石名で商業生産される様になった。 酸化イットリウムの添加量が2.5~5%で部分安定化ジルコニア(PSZ)になり、8~40%で単相立方晶になるため、通常は5~10%くらい添加されている。 CZの特徴として屈折率が2.15~2.18と、ダイヤモンドの2.42に非常に近い高屈折率を有し、分散はダイヤの0.044に対してCZが0.058~0.066で高い光分散性を有する。逆にダイヤモンドとの大きな違いとして比重がダイヤの1.65倍であることや、ダイヤが熱伝導性に対してCZは断熱性であることが挙げられる。 2021年5月、ミネラルマルシェで購入。
人工結晶 宝石 鉱物標本 8~8.5たじ
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鉱物標本 半人工赤色ジンカイト(蛍光性)(Zincite)
別名:紅亜鉛鉱、亜鉛華 産地:Oława, Lower Silesia, Porland 酸化亜鉛の鉱物。純粋な酸化亜鉛は白色であるが天然に産出するものの多くは和名の由来となる赤色を呈している。単純な化学組成の割に天然において亜鉛鉱物の風化で生成されるのは水亜鉛土や他の二次鉱物のため非常に希少で、アメリカ、ニュージャージー州にある先カンブリア時代の結晶性フランクリン大理石中の変性した亜鉛-マンガン-酸化鉄-ケイ酸塩鉱体中ぐらいでしか産出しない。 ただし、亜鉛工場などでは高温での加工により蒸発した亜鉛蒸気が急冷されて析出し、半人工的に生成される。ポーランドの塗料工場で数年に一度行われる定期点検での清掃にてラインパイプや煙突排気口に析出したジンカイトが回収され、市場に提供される。本標本もそうして市場に回ったものの一つである。 ジンカイトの発見者は水酸化マグネシウムの鉱物であるブルーサイトの発見者であり、名前の由来にもなっているアメリカの鉱物学者Archibald Bruceである(*1)。彼はニュージャージー州サセックス郡の酸化亜鉛の鉱物について詳細な分析を行い"On the Ores of Titanium occurring within the United States."という論文で1810年に発表した。 Bruceはこの鉱物について当時の鉱物命名法に従って"red oxide of zinc"と命名しており、その後1845年にWilhelm Karl von Haidingerが現在の"zincite"に改名した。 それ以外にもFrancis Algerは1844年に"sterlingite"、Henry James Brooke とWilliam Hallowes Millerは1852年に"spartalite"と名付けている。 2020年、ミネラルマルシェにて購入。長波UVで黄緑色の蛍光を確認。 *1:ブルーサイト →鉱物標本 ブルーサイト(Brucite) #鉱物 #人工結晶
鉱物、人工結晶 4 亜ガラス光沢、樹脂光沢、蝋光沢、脂肪光沢、絹糸光沢、鈍光沢、土光沢たじ
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鉱物標本 リーベカイトインクォーツ(Riebeckite in Quartz)
別名:リーベック閃石入り水晶 産地:Afghanistan リーベック閃石(Riebeckite、[][Na2][(Fe2+)3(Fe3+)2](Si4O11)2(OH)2)の繊維状鉱物であるクロシドライト (青石綿、ブルーアスベスト)をインクルージョンとして取り込んだ青色の水晶。青色はクロシドライトのFe2+に由来する。 アスベスト(石綿)は髪の毛よりも細い繊維状鉱物の総称で、耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性に優れていると昔から工業・建築材料として利用されてきた。 しかし繊維とは言っても鉱物であるが故に飛散した繊維片を長期に渡って吸入し続けると肺の組織を傷付け、中皮腫や肺がんになるリスクが非常に高くなることが判明した。現在では世界各国でアスベストの使用・製造が禁止されている。 アスベストと呼ばれる鉱物は蛇紋石系のクリソタイル(温石綿)、角閃石系のクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト(直閃石綿)、トレモライト(透角閃石綿)、アクチノライト(陽起石綿)の6種類がある。 クロシドライトはその中でもアスベスト繊維が針のように硬いため、特に毒性が強い(肺を傷付け易い)。日本では1995年に使用・製造が禁止されている。 ただ、本鉱物の場合は水晶内に取り込まれており、飛散の危険性がなくなっているため、安全性は問題ない。 本鉱物は水晶内に少量のクロシドライトが分散したものだが、よりクロシドライト成分が多い、クロシドライト繊維の束に石英が含浸してシャトヤンシー(猫目)効果を示すものはホークスアイ(鷹目石、ファルコンズアイとも)と呼ばれる。さらにクロシドライトのFe2+が酸化してFe3+となり、黄色~褐色に変色したものが有名なタイガーアイ(虎目石)である。 2021年3月、月刊ミネラルマルシェにて購入。青色は青色でも曇り空の様な青色。拡大するとクロシドライトの濃青色の小さな針が観察できる。
鉱物標本 7 ガラス光沢たじ
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鉱物標本 リナライト(Linarite)
別名:青鉛鉱 産地:Madan ore field, Oblast, Smolyan, Bulgaria 銅イオンの影響で青色を示す鉛鉱物。鉛鉱床中の硫化鉛・硫化銅が酸化することで二次鉱物として生成。緑泥化した灰緑色安山岩の表面にも繊維状に生成することがある。 1822年にスペインのLinares高原で発見されたことに因んでErnst Friedrich Glockerが命名。 青色の結晶はアズライト(藍銅鉱)(*1)に似ているが、塩基性のアズライトと異なりこちらは希塩酸に反応しない(白色の膜が生成)。 2020年、ミネラルザワールドで購入。白色の結晶はセルサイト(白鉛鉱)と思われる。 *1:アズライト(藍銅鉱) →鉱物標本 アズライト(Azurite)
鉱物標本 2.5 亜金剛光沢、ガラス光沢たじ
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人工結晶 アルムK(Alum-(K))
別名:明礬、カリ明礬、白礬、Potassium Alum 産地:日本(自作) 小学校の夏休みの自由研究の定番?のミョウバンの結晶。鉱物名はアルム。硫酸カリウムと硫酸アルミニウムの複塩で、カリウムがナトリウムに置換したものはアルムNa(*1)、アンモニウムならばチェルミガイト、タリウムならばランムチャンガイトという鉱物になる。また、アルムは12水和物であるが、11水和物の希少鉱物としてカリナイト(Kalinite)が存在する。 古代から媒染剤や防水・消火剤、皮なめし剤、水質浄化のための沈殿剤、食品添加物、止血剤、殺菌等々多くの用途で重宝されてきた。 日本では1664年に渡辺五郎右衛門が豊後国鶴見村(現在の大分県別府市鶴見)の温泉を利用して鉄分を含んだ青粘土(スメクタイト)上に湯の花(ハロトリカイト、Fe2+Al2(SO4)4・22H2Oやアルノーゲン、Al2(SO4)3・17H2O)を成長させて採集し、これに灰汁(カリウム)を加える方法でミョウバンの製造に成功させた。しかし製造には広い土地を要した上、設備の維持管理が大変なため採算が取れずに廃業してしまう。後に脇屋儀助が幕府との協議で輸入品の明礬を駆逐して専売状態にすることで国産品が国内に流通するようになった。ただこれも明治になり、海外から安価な代替品が輸入されるようになったことで温泉を利用した国内生産は終わってしまった。 本結晶は薬局で市販されているミョウバンを再結晶して作成。 *1:アルムNa →人工結晶 アルムNa(Alum-(Na))
人工結晶 2 ガラス光沢たじ
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鉱物標本 ペタライト(Petalite)
別名:ペタル石、(葉長石)、Castorite 産地:Araquiai, Minas Gerais, Brazil リチウムを含有するアルミノケイ酸塩鉱物。産業用リチウムの主要な鉱石鉱物の一つ。和名は葉長石だが実際には長石類ではないため、近年はこの呼称は推奨されていない。 1800年にブラジルの鉱物学者で政治家でもあったJosé Bonifácio de Andrada e Silva(*1)がヨーロッパ滞在時にスウェーデン、ストックホルム近郊のUtöにて発見した透明な新種鉱物について、劈開の様子からギリシャ語で葉を意味する"πέταλον"より命名した。 その後1817年、スウェーデンでJohan August Arfwedsonがペタルライトの化学分析でアルミニウムやケイ素の他にナトリウムやカリウムとも異なる性質を有する未知のアルカリ金属を含んでいることを発見した。彼の所属していた研究室の主宰である化学者Jöns Jacob Berzeliusはこれまでの既知のアルカリ金属であるナトリウムが動物の血液中に、カリウムが植物灰中に存在が認められていたのに対して新元素が鉱物中から発見されたため、ギリシャ語で石を意味する"λιθoς"からlithiumと命名した。BerzeliusはArfwedsonの研究に多くの助言を与えていたそうであるが、この新元素の発見者をArfwedson一人の名前で発表させてあげたという逸話が残っている。 話は逸れるがこのJöns Jacob Berzeliusはセレン、セリウム等の新元素の発見や各元素の単離、原子量の精密な決定の他、これまで図形記号で表記されていた元素記号をラテン語またはギリシャ語の名称のアルファベット頭文字で表す現在の方法を提唱し、化学を無機化学と有機化学の2つに分割し、『たんぱく質』や『ハロゲン』『触媒』といった数多の化学用語を考案して近代化学の理論体系を組織化、集大成した化学者である。 1818年にChristian Gottlob Gmelinがリチウム塩の赤色の炎色反応を初めて確認。しかしGmelinもArfwedsonもリチウムの単離には成功出来なかった。1821年になってイギリスの化学者William Thomas Brandeが酸化リチウムの電気分解により漸く単離に成功できた。 リチウムを含むペグマタイト中で他の含リチウム鉱物と共に産出する。炭酸成分が少なく、高密度含水アルカリホウケイ酸塩液体の存在する3kbar、~500℃の条件下でスポジュメン(リシア輝石)と石英に転換される。 ・LiAlSi4O10→LiAlSi2O6+2SiO2 本標本は2020年にミネラルマルシェで購入。 *1: José Bonifácio de Andrada e Silva →鉱物標本 ウェルネライト(Wernerite)
鉱物標本 ペタル石(葉長石) 6~6.5たじ
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鉱物標本 クロコアイト(Crocoite)
別名:紅鉛鉱、黄鉛 産地:Adelaide Mine, Dundas, Tasmania, Australia 赤い短冊状の結晶が特徴の鉛とクロムを含有する鉱物。そもCr元素自体が1797年にフランスの化学者Louis-Nicolas Vanquelinのよってこの鉱物から発見されており、化学史においても重要な鉱物である。ちなみにクロムの語源はギリシャ語で色を意味する"χρωμα"で、クロム化合物はその酸化状態で赤色から黄色、緑色と多彩な色を示すことからVanquelinの知人で鉱物学者で聖職者でもあったRené Just Haüyが命名した(*1)。 クロコアイトは1763年にエカチェリンブルク近郊のBerezovsk鉱床で発見され、1766年にJohann Gottlob Lehmannにより"Nova Minera Plumbi"と命名された。 1770年にPeter Simon Pallasによってこの鉱物を砕いた黄色い粉末が顔料に適していることが指摘され、「シベリアの赤い鉛」として黄色顔料として珍重された。かのゴッホの「ひまわり」もこの黄色によって1888年~1889年にかけて描かれた。現在の日本でもクロムイエローや黄鉛という名前で利用されているが、6価クロムを含むこの顔料の毒性はとても強く、発ガン性や生殖毒性、造血系や腎臓、神経系への影響等の恐れがあるとされる。日本の化学物質に関する法規制では毒劇物取締法の劇物指定な上、特定化学物質の第2類物質にも引っ掛かっており、毒性に関しては役満アウトである。ただしクロコアイトは法的には化学試薬ではなく石ころなので鉱物標本としての所持については(まだ)セーフである。 閑話休題、この鉱物には歴史の中でplomb chromate, kallochrom, crocise, beresofite, lehmannite等々まさしく「色々」な名前が付けられてきたが、現在のクロコアイトの元となったのは1841年のJohann August Breithauptによる"krokoite"という名前で、この顔料の黄色がサフラン"krokos"の色に良く似ていたことに由来する。 本標本が採掘されたAdelaide鉱山はタスマニア島西部のDundas鉱山地帯にある鉱山の一つで、世界でも有数のクロコアイト産地でもある。ここの露頭は古生代カンブリア紀の超苦鉄質岩に由来し、長い時間をかけて蛇紋石や方鉛鉱、苦灰石を豊富に含む岩へと変成し、さらに風化作用を受けることでクロコアイトのような二次鉱物も生成された。この鉱山ではクロコアイトの他にもMgとCrからなるスティヒタイトや、PbとAlからなるデュンダサイトのような希少鉱物も発見されている。 本標本は2019年のミネラルフェスタで購入。机下の目立たない所にあったこの標本買おうとしたら外人のお店の方が相当割引して下さって非常にお買い得だった。名前はサフランに由来しているが、私的には結晶の色形と毒性からヒガンバナの花のイメージが強い。…もしくはニンジンの千切り。 *1:René Just Haüy →鉱物標本 ダイオプテーズ(Dioptase)
鉱物標本 亜金剛光沢、亜ガラス光沢、樹脂光沢、蝋光沢 ミネラルフェスタたじ
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鉱物標本 レッドジャスパー自主採集/研磨品(Red Jasper)
別名:赤碧玉 採集地:千葉県、稲毛海岸 レッドジャスパーと記載したが、人によってはチャートと判断する方もいるはず。 ジャスパーもチャートも主成分は共にSiO2、更に色が赤ならば基本的にはどちらも酸化鉄(赤色)や水酸化鉄(褐色)に由来のため、化学組成だけならば実質同じである。 その違いは成因で、レッドジャスパーが酸化鉄を含む地層の隙間にケイ酸分が浸透充填して生じた玉髄(潜晶質石英)の一種であるのに対して、赤チャートはフズリナ等のケイ質殻を持つプランクトンの死骸が含水酸化鉄と共に堆積して出来た堆積岩の一種である。そのため両者のの性質性状には若干異なる傾向が現れるが、実際のところ鉱物としての明確な境界は無い。 本鉱の場合は ・研磨は比較的容易(チャートだと火打石として用いられる程硬くて磨くのが大変)。 ・脈は多め。色は無色透明が主で、堆積性よりも浸透性の印象。 ・採集場所で瑪瑙も拾える。 等の特徴から判断してレッドジャスパー寄りに推測してる。 レッドジャスパー自体は古くから世界中で御守りとして用いられており、13世紀のドイツの神学者Albertus Magnus(大聖アルベルト)も自身の著書である『鉱物書』にて「太陽のエネルギーと共鳴することで大きな保護力を与えるクリスタル」と記しており、現在でもパワーストーンとして「身心の安定性を保つ」等の効果で紹介される。国内の産地としては新潟県佐渡地方で採れる「赤玉石」が有名。 本鉱は2019年に千葉県稲毛海岸にて拾ったもの。稲毛海岸は検見川浜から幕張海岸にかけて東京駅から電車で一時間もかからないビーチコーミングスポットである。今回のジャスパーや瑪瑙の他に貝化石なども打ち上げられるため、拾う事が出来る。
鉱物標本 6.5~7 ガラス光沢,、蝋光沢,、脂肪光沢,、絹糸光沢、無光沢たじ
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鉱物標本 アズライト(Azurite)
別名:藍銅鉱、紺青、mountain blue 産地:Morocco ラピスラズリやラズライト同様に古代ペルシャ語で蒼穹を意味する"lazhward"が語源。1824年にFrançois Sulpice Beudantによって鉱物名が"azurite"へと正式に変更された。 マラカイトと同様にCu2+からなる塩基性炭酸塩銅であり、d-d遷移によって緑~青色を呈するCu2+塩の中でも特に深い青色を示す。そのため古くから世界各地で青色顔料として用いられ、プルシャンブルーが人工合成されて江戸時代に日本に輸入されるまでは日本でも紺青の名前で利用されていた。 組成式から分かる通り、マラカイトよりも若干炭酸リッチであり、その差は生成条件の違いであり、マラカイトが炭酸カルシウム等から供給されるアルカリ条件下で生成するのに対し、アズライトはアルカリ分が減ってCO2リッチになった弱酸性~弱アルカリ条件下で生成する。そのためアズライトはマラカイトよりも希産であり、かつマラカイトと共に産出する傾向が多い。顔料として利用する場合はマラカイトと選り分ける手間がかかるため、より希少となった。因みにアズライトとマラカイトが一緒になったものはアズロマラカイトと呼ばれ、共産鉱物として有名である。 2010年代、科博にて購入。
鉱物標本 3.5~4 ガラス光沢たじ
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鉱物標本 エメラルド(Emerald)
別名:翠玉 産地:Fiza Ghati, Swat, Khyber Pakhtunkhwa, Pakistan エメラルドの語源はサンスクリット語で緑の石を意味するスマラカタが古代ギリシャ語"smaragdos"に転じ、そこからラテン語の"smaragdus"、"esmaraldus"と経て現在の"emerald"となった。因みに緑柱石のベリルの語源は海水の青緑色を示す古代ギリシャ語の"beryllos"から。 エメラルドの緑色はドーパントとして存在する微量のクロムやバナジウムに由来。3価の鉄イオンでも緑に発色するが、こちらはヘリオドールやグリーンベリルに分類される。 2020年、ミネラル1000円マルシェで購入。
7.5~8 ガラス光沢~樹脂光沢 1000円たじ