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大人のための物語 真(まことの)・雪女
母親はいろはの亡骸を抱きしめて大きな声を上げて泣いた。父親は膝に握りこぶしを当てて肩を震わせ泣いていた。その時だった・・・両親の耳元で女の声がした。
「人としての罪は償えても、親としての罪は一生償えないよ。」
その声に二人は声の方向に振り返った。(本文引用)
やむ得ない事情で子供を手放そうとした両親。思い直してわが子を再び取り戻そうとしたときには、子供の命は失われていた。
子供の命を救うセーフティーネットは制度として必要ではあろう。しかし、まずは「子どもの命は親にしか守れない。」という想いををすべての親が持たねばならないのではないか。それが真のセーフティーネットではなかろうか。読む人にそう問いかけたく書き下ろした一作。