イレヌスたち
初版 2023/04/21 10:43
改訂 2023/04/24 20:27
いま机の上にイレヌス類の標本が3つ置いてある。
ひとつはフランスのエクティレヌス。
ひとつはロシアのイレヌス。
あとひとつ、これが問題なのだ。
この前ebayでちょっと気になる標本を見かけて、いちおうこれくらいなら、というので25ドル入札しておいた。
それはマサンという聞いたこともないようなポルトガルの産地の、ヴィソカニアという、これまた聞いたこともない種類のものだった。
気になった、というのは、それがどう見てもイレヌスらしくなく、むしろスクテルムに似ていたからで、なにかの間違いでスクテルムの標本が売りに出ているのであれば、それはそれで私には好都合なのだった。
しかし、これは僻地の、しかもポルトガルの標本である。
そういうものに手を出さないと明言した手前、あまり積極的には買いづらい。
それで25ドルという値段をつけておいたのだが、その後だれも高値をつけることなく、そのまま落札となった。
届いたものをみると、はたしてこれが25ドルの価値があるのかないのか、判断に苦しむ。
ともかくもそういう経緯で入手した、ヴィソカニアという、スクテルムのようなイレヌスが、フランス産とロシア産と並んで机の上に置いてある。
これらのイレヌスたちがもたらしてくれる「癒し」の効果は絶大だ。
見ているだけでふしぎな安心感に包まれる。
トゲもなく装飾もない、その単純なフォルムが、まさに円満の相をたたえているからだろうか。
そういっても、イレヌスの人気は必ずしも高くはない。
Trilobites さんによれば、モロッコのイレヌスなどは、一山いくらで売られていたという。
それはカリメネと並ぶ、モロッコの二大格安三葉虫だったらしい。
値段はともあれ、三葉虫の初心者にとっては、モロッコのカリメネとイレヌスとをとりあえず手に入れる、という入口もあると思う。
そのふたつから始まる蒐集の先がどうなるか、なんとなく想像してみたい気持もある。
Trilobites
2023/04/21 - 編集済み何か聞いた事ない産地や属名ですね。カタカナだと検索のしようがなく、また気が向いた際に画像などヒントをください。eBayは比較的チェックしていますが、私の興味対象外だったのか記憶が無いですね。
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ktr
2023/04/21地名は Mação 種名は Vysocania iberica です。
尾板がしわしわになっているんですが、こういうことってあるんでしょうか。
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Trilobites
2023/04/24モロッコ産なども含め、この属名での標本が幾つか検索にはかかりますね。寧ろ、この属名のが正式な気はしてきました。
例が無い様な皺構造ですね。エオブロンテウスやモロッコのパラレジュルスなど、近縁の種類で尾部の皺構造は、比較的見られますが、全くパターンが違いますね。
ktr
2023/04/24たしかに、ネットには論文や標本が出ていますが、どれをみてもこの標本のような尾板のシワはないので、これがなにか褶曲の影響でできたものか、それとも本来的なものなのかが謎として残りますね。
この標本は農場の私有地で採れたものらしく、同じ産地からはもう出ないようなので、どうやら謎は謎のまま終りそうです。