標本が手に入らないので

本で楽しもうと思ってSSPの英国三葉虫本を発注したが、一ヶ月経ってもまだ入らない。
入らないどころか、発送すらされていない。
二度ばかり問い合せてみたが、答えはいつもきまっていて、サプライヤーからの返事を待っています、すぐに入荷する見込みです、とか、そんなのばかり。
この分でいくと、早くて2月末くらいになりそうだ。
まあ、楽しみを先送りするのはわるくはないけれども、ちょっと待たせすぎじゃないか。

その間、2002年に出たという、フランス三葉虫本はすぐに届いた。
しかしこれが……

現物のカラー写真は6ページしかなく、それも半分は部分化石だ。
部分化石には部分化石なりのよさがあるけれども、本書ではそれがあまり魅力的でない。

その他の図版はすべて手書き（？）のイラストで、頭部と尾部のみ示されている。

これを見ても、三葉虫の記載というのはほとんどが頭部と尾部とによっていて、胸部というのは同定のためにはあまり役に立っていないようだ。

まあそれはそれとして、ここで気になるのは、全フランス三葉虫のうち私がいちばん興味をもっているオギギヌス・ゲッタルディが、じつはノビリアサフス・ノビリスの別名ではないか、というような記事があるのだ。
私もなんとなくこの二つはじつは同じものなのではないか、という疑いをもっていたが……

問題は、そのオギギヌスなり、ノビリアサフスなりの、ちゃんとした標本が手に入るかどうかだが、これはどうも非常にむつかしいのではないかと思う。

この本は Tome 1 とあるから、Tome 2 以下の続篇が出たのかどうか定かでないが、2016年に同じ出版社から別種の三葉虫本が出ている。
これも発注しようかと考えたが、とりあえずお預けということにした。
Tome 1 のほうをちゃんと味わってからにしようという、せこい考えなのだ。

このせこさが、耐乏の時期を乗り切るためには必要なのである。