三葉虫の謎(2)

初版 2023/01/20 22:39

改訂 2023/01/22 14:22

三葉虫の分類に使われる目のうち、もっとも捉えどころのないのがコリネキソクス目だ。
というのも、その代表であるはずの Corynexochus の標本がどこにも見当たらないのである。

書籍にもなければネットにもない。
部分化石すらほとんどない。

ひとつだけ、触覚を生やしたイラストが見つかった。

しかしこのイラストの三葉虫、あまりにも造型がベーシックすぎて、これといった特色が窺えない。
もしかしたら、この特色のなさが Corynexochus の特色なのだろうか。
しかしそれよりもまず、これがだれによって、何をもとにして描かれたのか、それがはっきりしないうちは、無条件にこれを Corynexochus と認めるわけにはいかないだろう。

いずれにしても、Corynexochus と聞いて、はっきりしたイメージが思い浮ばないのは、三葉虫愛好家としては困ったことだ。

へんな話だけれども、こういうのも幻の三葉虫と呼んでいいだろう。

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ktr

鉱物と化石の標本を集めています

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    Trilobites

    2023/01/22 - 編集済み

    Corynexochida(目)の中にある亜目レベルで、Corynexochina, Illaenina, Leiostegiinaに分かれますが、その中のCorynexochinaに属するCorynexochidae(科)に属する標本を私も所有していないです。Corynexochida(目)自体、どの目に属さない様な種類を放り込んだような分類でしたが、この目を設定したのは日本人、小林 貞一博士ですので、聞いてみたかったですね。雑多の集まりのまま手つかずで放置されてしまった感が強いので、多分もう少し後の時代であれば、この名称は使われなかったのではないでしょうかね。

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      ktr

      2023/01/22

      ネットに1854年のアンゲリンの記載論文の図版が出ているのを見つけました。
      模式種の C. spinulosus は、その図版では頭蓋と尾板のみですが、ドリピゲそっくりでした。
      ですから、あの手のものが Corynexochida の正系だと思って間違いなさそうです。

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