③ アルファ・ロメオ ジュリエッタ 1.6

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社会人になったら、二代目のジュリエッタ(紺の1.6)に乗ると決めていた。ジウジアーロ・デザインの超ウエッジシェイプ&ダックテールとアルファのツインカムにずっと憧れていたからだ。運よく近くの中古車店で見つけることができたのは、それこそ縁としか言いようがない。担当者は「関西最速の1.6!」と豪語していたが(何を根拠に?)、加速はそれほどでもなかった。しかし、帰省などで高速道路を走る時の直進安定性がよく、当時の国産車の比ではないと思った。“ちゃんとまっすぐ走る”とは、こういうことだと知った。また、いくら走り続けてもどこも痛くならないシートはさすがで、ベージュのモケットというのもお気に入りだった。スポーティ=黒という公式よりも、明るい内装が好きなのだ。エンジンオイル漏れの持病があったものの故障らしい故障はなく、欲しかった車を手に入れていい気になっていたから、「俺の車の名前はロミオとジュリエット」などと言って、女の子を誘っていた。117クーペの車検が切れるまでの間、女の子用にと5万円で買ったホンダ・ライフと3台持ちしていたのも生意気だった。

学生時代の下宿から銭湯へ行く途中におもちゃ屋があって、何となくジュリエッタのミニカーがあるような気がして、ふと立ち寄ると、まさしくブラーゴの1/24があった!即買いし、本当に乗ることを夢に見ながら眺めていた。それからもずっと大事に持ち続けている。元の色はレモンイエローだったが、さすがに塗装が剥げていたため数年前、自分が乗っていた紺に塗り替え、シートもモケットっぽくなるようわざと手塗りした。ジュリエッタのミニカーは意外と製品が多いが、やはりこれに最も愛着がある。

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