角川書店 角川文庫 恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)

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昭和五十二年三月十日 初版発行
昭和五十二年十二月二十日 六版発行
発行所 株式会社角川書店

大正10年(1921年)に雑誌「新青年」に掲載された横溝正史の短編小説「恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)」。
4月1日の朝、M中学の寄宿舎内で、学生の一人が殺害されたらしい痕跡が発見された。部屋には格闘の痕があり、白いシーツには生々しい血糊がべっとりと染み付いていた。肝心の死体は見つからなかったが、ある目撃者の証言から一人の学生が容疑者として浮上する...
雑誌「新青年」の懸賞で一等を獲得した、横溝正史のデビュー作ですね。10ページにも満たない超短編で、タイトルからしてオチはもう想像できるかと思いますが、そこに行くまでにちゃんと一捻りあって、当時何と18歳の横溝正史の底知れぬ才気の片鱗が窺える作品です。本書には表題作の他に「深紅の秘密」「画室(アトリエ)の犯罪」「丘の三軒家」「キャン・シャック酒場(バー)」「広告人形」「裏切る時計」「災難」「赤屋敷の記録」「悲しき郵便屋」「飾り窓の中の恋人」「犯罪を猟る男」「執念」「断髪流行」の短編13編が併録されています。いずれも大正期に執筆された作品で、まだまだ荒削りですが、横溝正史を語る上で興味深い作品ばかりです。角川文庫には昭和52年(1977年)に収録されました。
画像は昭和52年(1977年)に角川書店より刊行された「角川文庫 恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)」です。猫を抱き、こちらをじっと見ている、奇怪な面を着けた女。面は真っ二つに割れ、女の美しい素顔が覗いていますが、その表情もどこか能面のような不気味さが感じられます。収められている作品の中からモチーフを得た画ではないようですが、それでもこの作品集に相応しい画柄になっていると思います。
裏面に『横溝正史シリーズⅡ』のラインナップが記載された宣伝帯付きです。

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