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仮面ライダー and MORE フェイクチラシ コレクション / 菅原芳人
仮面ライダーの各エビソードを、まるで一本の劇場映画のように一枚のチラシとして描き上げる。そんなこと、よく思いついて、かつ実行して、素晴らしく美しいものに仕上げるなんて奇跡だ。この一冊で、そんな奇跡に何度も出会えるぞ。書名が「仮面ライダー and MORE」となっていることからもお分かりのとおり、キカイダーやらダイナマンやら意外なヒーローまで登場で大満足。昭和のヒーローと平成のヒーローとでは、描き方も変えてあるのが、さすがプロのお仕事。デザインに興味のある人は、是非お買い求め願いたい。
それにしても、やっぱりイラストだけではないというのが大きな魅力。もちろんイラスト自体美しいのだが(ああいう塗り方ってなんていうんだろう。開田裕治がウルトラQのLDジャケットに描いたケムール人の後ろのパトカーみたいに、ちょっとボケたような塗り方。あんな感じで美しい)、チラシの体裁にするために乗せた番組タイトルやらなんやらの文字が素晴らしい。「せっかくのイラストに文字が乗ってて残念」と言われたことがあるらしいけれど、文字の大きさ、書体、なんやかんや全部ひっくるめて、ひとつの作品なのだ。ロートレックのポスターみたいなもんだ。ここのところが理解できないとダメよ。
そして、チラシ裏面も凝りに凝りまくった作りで、読み物としても楽しめる。こんなお得な一冊、ちょっとない。贅沢を言えば、対象がテレビのエピソードに限定されていることが残念。私の偏愛する劇場版『仮面ライダー対ショッカー』や『仮面ライダーV3対デストロン怪人』も、この画風で見たかったなぁ。あ、あと「各ページを切り取ってチラシとして味わった後、好みの順番にファイリングしなおすのもOK!」とか書いてあるんで、懐に余裕のあるブルジョワ・チルドレンは、もう一冊買って試してみよう!