江上真織「wall」

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複雑に絡み合うリボンは、意思を持つかのように、奥へ奥へとこちらを誘っている。入り込んでしまったら迷って絶対に出られなくなる。そんな気がして怖いと思うと同時に、その誘惑に身を任せてみたくもなってしまう。それを魅力的と呼ぶのだろう。
個展の初日は雪がちらつく寒い冬の日だった。仕事を終えてギャラリーへと向かう途中で車が雪でスリップして、一瞬「ああ、もうギャラリーにはたどり着けない」と絶望しかかったのを作品を見るたびに思い出す。
実際には何事もなくたどり着いたギャラリーで目にしたこの作品は、間接照明のオレンジの明かりに照らされていて、幻想的でとても美しかった。
全然関係ないけれど、別日に改めて展示を見に行ったら近所でロットワイラー数匹が逃げ出すという事件が起きて物々しい雰囲気になったことも同時に思い出す。

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