テン・イヤーズ・ゴーン（Ten Years Gone）

名古屋から長崎に越して来て、丸11年が経過した。

思えば誰一人親類の居ない長崎に、家族を引き連れ仕事も住まいも何にもあても無いまま転がり込んで来て、最初の一年目はがむしゃらに動いて、この地で生きて行く為の基盤作りに励んだ。

長崎にやっと生きて行けるだけの生活基盤を作ってから、10年が経過していた。

思えば名古屋に住んでいた頃にはまだ若さが有った。

ようやく長崎に慣れて？から10年が経過した今日、長崎の名所の「眼鏡橋」の上に初めて立った。

今日は市内の大学の卒業式だった。

私より先に来ていた、振り袖姿の新卒業生の女子大学生たちが、橋の上で記念写真の撮影をしていた。

世の中はコロナショックで強制的な自粛ムードに溢れている。

だが、橋の上に並ぶ新卒業生達は、若さに満ち溢れている。

季節は春。

今年ももう間も無く綺麗に桜の花が咲き誇るだろう。

人生初の交通事故による入院生活。

検査の結果分かった、首の進行性の難病。

名古屋に居た頃には、橋の上に並ぶ新卒業生の若者達とさして変わらぬ様な若い気持ちで生きていた。

長崎で生きて11も歳を重ねた。

だが、長崎に越して来て数日で誕生日を迎えたので、実質は今年で10歳歳を取った様な物だ。

名車は何十年経とうが、その輝きが衰える事は無い。

だが人は違う。

早逝された有名人でも無い限り、日々確実に年老いて行く。

そして人生は自分で思う程には長くは無い。

10年の月日は怖い。

それはたった10年でも有り、10年も「経った」でも有る。

川の流れる方向がたまに遠回りしても、いずれ海へと流れ着く。

人生も途中で回り道しても、きっと同じ様な場所へと辿り着くのかもしれない。

これからの人生を後10年後に振り返った時に、充実した生き方が送れたと自負出来る様に、日々を味わいながら生きて行こうと思った春の長崎の風景でした。

#2020年

#思い出

#コレクションログではない

#春

#10年の月日