#教えて

コレクションすることの意味 0908-2020

初版 2020/09/08 20:51

改訂 2020/09/09 12:37

シドミード・キュレータ、コレクターをしています。幼少の頃にシドミードの画集に出会い、講談社に電話してマネージャーを捕まえ、何週間もかかって手紙を書き、17でシドミードのスタジオへ会いに行き、そこから人生の師と仰ぎ文通を始めたことが、そもそものキッカケです。



89年以降は来日の度に同行し、数年おきにスタジオに通いだした頃、アーカイブの整理をお手伝いした時に廃棄せよと言われたコピーの山がありました。了承を得た上でサルベージし、そのままシドミード展の主要な展示となりました。なんでも取っておくべきですね。人生にそう何度もないチャンスに遭遇したら。


厚い親交を30余年育てつつも、いつかは肉筆画が欲しいとずっと探していた私は世界中の色んな展覧会でそれら作品との再会を重ねながら、コレクター達と知り合い、オークションを見張るだけでなく、直接頂けたりと色んな経緯や御縁で肉筆画が手元に集まってくるようになりました。貧乏なので大金を積んだことがありません。


美大時代に画集、バンダイ「クロノログ」(1990)のプロデューサーから当時のマネージャーさんを通じてお声がかかり、手製で告知ポスターを刷って関東圏の学校に配ったご縁から、ご紹介で映画デザインの画集、玄光社「ムービーアート・オブ・シドミード 」(2017)でも史実や手持ちの資料を元に翻訳協力することになりました。続けて一年半ほどの準備期間を経て生前の大回顧展となった「プログレッションズ TYO 2019 シド・ミード展 」に企画から参加。2012年に既に回顧展と題されたプログレッションズ展は60年の画業人生から自選された50作をパッケージとして既に北米を巡回中でした。最初の展示を見た時の、回遊式のレイアウトへの違和感をベースにそれら50作を独断と偏見で改めて"陸、海、建築、宇宙"と並べ替え、更に年代順に再構成し、先の画集「ムービーアート」から再度自選(世界初公開)して頂き、宇宙からそのまま特別な作品(図録集未掲載)をブリッジに、これもまた世界初公開となった「ヤマト2520」から「ターンエーガンダム」を包括した「TYO SPECIAL」と題した日本でのプロジェクトを追加。60〜70年代を中心に個人所有していた作品をMATSUIコレクション(世界初公開)として更に追加し、合計150点となった画期的なパッケージは、ヨーロッパより熱いラブコールがあったものの、文字通り二度と再現出来ない東京限定の奇跡の開催となったのです。



貸切ナイトミュージアムツアーは30名を2回、しかも即完。会場で楽しめるARアプリ開発にも携わり開催期間中にもアップデート。反映された図録集には作品解説、翻訳、そして独自に日本を意識した略歴年表を制作。ロラン役、朴さんによる音声ガイドは泣けた!との高評価も。ラジオ出演にトークショー、恩師に同僚、後輩に学生、講師陣、シドミードの元クライアント、巨匠に監督らのアテンド。中には10回以上も足を運んでもらい、人生の岐路としてくれた厚いファン。戦艦大和の設計士の御孫さん。ターンXを神棚のように集めるクリエイターのたまごなど色んな出会いと再会で夢のような開催期間は36000人も動員し大盛況。私こそ人生のハイライトと呼べる貴重な時間でした。



展示した150点の大半は二度と見られない作品がほとんどです。おそらく「ムービーアート」はオスカーのアカデミーにアーカイブされたら、もう今世紀に出てくるかどうか。シドミードのエージェントを長年勤めた側近でさえ未だ見たことのない圧巻の物量でした。大興奮した我々は来場者に「静かに見させてくれませんか?」と叱られたほど大はしゃぎ。

庵野監督曰く「言葉が出ません」。


中でも最も嬉しかったのは海外からのファン達から握手を求められた個人蔵の展示を踏み切った勇気への感謝でした。海外のコレクターは特に展示に応じることは稀なので、個人蔵の作品が印刷媒体や小さな画像で見る以外、原画そのものが世の中に出てくる機会はなかなか少ないのだそうです。シドミードだから特に強く感じたこともあるでしょう。だから、よくこんなにも放出してくれたと皆感動してくれました。プロデューサーとシドミード 師匠への感謝しかありません。それはまさに、"原画に所有されているコレクターの責任"を再確認した時間でした。


先生が亡くなられた今、それら絵画作品は将来に引き継ぐべき文化遺産となりました。コレクターは原画を所有しているのではなく、"原画に所有されている"。これはある程度の域に達したコレクター達の共通意識のようです。世界中の名画が何百年も引き継がれてきたように、少なくとも今は期間限定で一時預かりをしている重責を日々リレーすべくそう感じています。



シドミードが現世を2019年12月30日に旅立ってから丁度一ヶ月後、今年1月29日。最初のプログレッションズ展と同じ会場へ彼の生誕と偉業をお祝いするCelebrationに招待されました。ご遺族とお会い出来、近いうちに彼の足跡を辿るべく、故郷にいずれ遊びに行くことになっています。誕生日の7月18日はスタジオに残された世界中の葉っぱのコレクションを使ったお焚き上げがありました。渡航制限で渡米が叶わないまま何か貢献出来ないか悶々としていた今夏。12月30日に一周忌を控えていたのを機に思い立ち、プログレッションズ展の時から多くのリクエストを感じていた、しかも大阪でのイベントを思い立ち、このmuuseoを見つけました。これからの試行錯誤と本の執筆を兼ねて、未だどこにもない「シドミード ミュージアム」を個人で昨日スタート。24時間経たない間にビジター数1600を超えました。皆さまの閲覧にイイネ!、そしてmuuseoオフィシャル様からやファンによるツイートをありがとうございます。


海外への渡航制限が解かれたら膨大なアーカイブを整理するため即効で渡米し、直近の希望はレゾネ(アーティストの全作品リスト)作りです。マネージャーと同レベルにヒストリーや作品歴を把握しているつもりだからです。


※「大阪 SECRET BASE(秘密基地)2020」に関して



(開催期間)

シドミードご本人も遊びに来て頂いた自宅では時々「勝手にシドミード展」なるものを気ままにやっていますがローカルの土地柄、彼や作品をご存知の者はほぼ皆無なので豚に真珠。結果、もっと交通の便が良い大阪での開催としました。時期は比較的にお手隙であろうクリスマス直後、年末最終週12/27(日)を目標に、命日である12/30(木)を最終日と設定しました。



(展示内容)

「大阪 SECRET BASE 2020」のフロアで少しづつアップデート中。当時の関連クライアントとご相談しながら可能な限り、大阪開催に必然性のある、やはり大阪のクライアントに因んだ展示を増やせるか準備中。具体的には大阪コミュニケーションアート、パソナ、タイガー魔法瓶、レイズホイール社などです。ちなみにプロダクトと外観以外の作品は、著作権、複製権により、撮影不可となります。


探し物や展示へのリクエストがあれば早めにお聞かせ下さい。できる範囲で援護射撃します。似たご趣味のコレクターさん、クリエイターさん、プロフェッショナルがいらっしゃいましたら是非シドミードに関する情報交換、シェアをお願い致します。


("秘密基地"へのアクセス)

システムはクローズドで予約制、テーマもロケーションも今回は秘密基地です。場所は駅近徒歩1分ですが極狭の間取りや経路、セキュリティ都合上、一度に2〜3名しか入場できません。三密対策として時間指定の予約優先か、或いは先着順、入替制も検討中です。当日は立て看板もポスターもありません。会場の地図や住所は個人開催の諸事情により開催直前の告知となりますこと、重ねてご了承下さい。最寄りの駅名は早めに告知します。

(入場は無料)


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(おことわり)

著作権侵害、複製権侵害を固く禁じます。

©️MATSUI COLLECTION 2020

®️SYD MEAD INC.All rights reserved

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SydMode

シド・ミード オフィシャル学芸員 
160周年 魚太商店 LLC.代表

シド・ミード社 日本エージェンシーとして
来たるGWに大阪コミコン(5/3~5)へ物販ブースを出展。
年内にオフラインでリアルなサロンを計画中。

1984:コレクション開始 
1987:シドミードと文通で交流を深める 
2004: 第一次シド・ミード・アーカイブ構築 
2017: 画集シドミードMOVIE ART翻訳監修 
2019: PROGRESSIONS シドミード展 キュレーター 
2020: 回顧展「SYD MEAD RETROSPECTIVE」@奈良蔦屋書店
2021: 第二次シド・ミード・アーカイブ構築 
2022: 回顧展「SYD MEAD RETROSPECTIVE」@日本外国特派員記者クラブ
2023: 回顧展「SYD MEAD LAB.2024」@奈良蔦屋書店
[SYD MEAD LAB.]@東京コミコン
2024: [SYD MEAD LAB.]@大阪コミコン
   

https://instagram.com/sydmode

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    TWIN−MILL

    2020/09/09

    初めまして。見応えのあるコレクション、楽しませて頂いております。氏には生前に一度はお会い出来れば。。。と考えていました。
    ミューゼオでも、たまに氏の話題で盛り上がる時があります。なので、イチファン(ニワカになるかも知れませんが😅)様々作品が観れるのは歓迎です😁👍。今後も楽しませて頂けたら幸いです。

    大阪の秘密基地、面白そうですね。ただ、遠いなぁ。。。探しに行く機会があればいいな。。。😅😅。

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      SydMode

      2020/09/09

      世界初公開が多く、150点が集結することは滅多にないので海外からのお客様もクリエイターを中心に東京会場に沢山いらっしゃいました。大阪へぜひ、という意味でなくチャンスは大概一回しかないので。
      世代的にターンエーガンダム辺りからのファンが多いのは歳を重ねたということでしょうね。
      今回はあくまで大阪での個人開催に向けての試作。早く師のアーカイブを整理に行ければ良いのですが。

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