鉄道模型製作記『小田急 EB1051』前編(組み立て編)
初版 2020/12/17 05:25
改訂 2020/12/18 16:05
【はじめに】
この度は製作記をご覧いただきまして、ありがとうございます。
アオシマ製のDD51のプラモデルを製作しているところだったのですが、方向性がまとまらず、延期が続いています…
そんななかで、ちょっとした気晴らしを兼ねて、ブラスモデルに挑戦しようと思います。
【今回の題材】
今回は、小田急の電気機関車にしてみました。
~実車について~
小田急EB1051は、かつて小田急電鉄が保有していた電気機関車です。また、同社最期の電気機関車でもありました。
この車両は、1950年に日立製作所で製作され、当初は日本専売公社(現在の日本たばこ産業)の足柄工場専用線で運用されていました。その後1958年に小田急が運用を受託し、1959年には正式に小田急電鉄の所属車両になります。
以降2002年に引退を迎えるまで、相武台工場·大野工場で入れ換え機関車として活躍しました。
ロマンスカーなどと比べると地味な存在ではありましたが、小さな車体で小田急の日常を陰で支えた大切な存在でした。
~模型について~
小田急EB1051はいくつかの鉄道模型メーカーから製品化されており、私が入手したのは安達製作所のキットでした。
元々は「バラキット」と呼ばれるもので、キット本体の他に各自で動力·パンタグラフ·連結器などを入手する必要があります。
今回はオークションで入手しました。出品されていたものは、すでに前のオーナーさんが入手が難しい別売のパンタグラフを購入されており、他に必要なものはどれも模型店で手に入るものばかりでした。そのため、ほとんど苦労無く完成を迎えられました。
それでは前置きはこのぐらいにさせていただき、製作記をはじめてまいります。
(もともとは1話完結にするつもりでしたが、想像以上に写真が多くなってしまいましたので、2話構成とさせていただきます。)
【車体の製作】
はじめに、すべての部品が揃っているかを確認します。あくまでも入手時点で中古品ですので、覚悟を決めて箱を開けます。
箱を開けて一安心。どうやら欠品は無いようです。
しかし生産されて相当時間が経っているようで、所々酸化が目立ちます。
~キャブの製作~
まずはキャブを研磨して酸化被膜を削り落とします。
↑研磨前
↑研磨後
真鍮モデルの磨き出しやハンダ落としには「キサゲ刷毛」という工具を使っています。私はマッハモデルの製品を愛用しています。1本3千円ぐらいしますが、10年以上活躍している工具箱の重鎮です。
続いて、キャブの手すりを取り付けます。
まず、0.5mmのドリルで穴を開けます。
キットにも真鍮線は付属していましたが、だいぶ酸化していましたので、手持ちの真鍮線を使用しました。
キットでは、手すりの隙間を0.8mmにするよう指定がありますので、程よい厚紙を用意します。
キャブと手すりとの間に厚紙を噛ませ、スペーサーにしてはんだ付けします。
次に、屋根上とドア上の雨樋をはんだ付けします。
↑屋根上にあるモールドをガイド線にしています。
はんだ付けが終わると上の写真のようになります。
余分な「はんだ」はヤスリとキサゲ刷毛で削ります。
ドア上の雨樋をはんだ付けします。
細かい作業になりますので、火傷をしないように当て木をしています。
~ボンネット周りの製作~
キャブ部分が一段落したら、次はボンネット周りの製作に移ります。
ボンネットは3枚の板で構成されています。仮合わせをすると、あまりピッタリしませんでしたので、ヤットコなどで曲げ角を調整します。
調整が終わったら、内側からはんだ付けをします。
内側にはんだをしっかり流したら、表の接合面をはんだで埋めます。
余分なはんだを削り落として箱組が完成です。
(奥が作業前、手前が作業後です)
続いて、ボンネットの手すりと雨樋をはんだ付けします。手すりは説明書の原寸通りに0.4mmの真鍮線を曲げます。
写真では完成したもののみを載せていますが、なかなか上手くいかず、倍近く失敗作も生み出しています…
出来上がった真鍮線を、先程のキャブ手すりと同じ要領ではんだ付けします。
手すりが付くと精密感が増します。
次に雨樋をはんだ付けします。前·横に付けますので、少々根気が要ります。
マスキングテープで仮止めしてはんだを流します。
はんだ付けと表面処理を終えれば、ボンネット周りの製作は完了です。
それでは、いよいよキャブとボンネットをはんだ付けします。
車体が歪まないように、仮止めをしてからはんだを流します。
はんだ付けと表面処理が完了しました。最後にパンタグラフの台座を設置しますが、ひとまず車体の組み立ては終わりです。
~車体下部の製作~
車体下部(台車部分)も真鍮板を組み合わせるようになっています。
早速はんだ付けしていきますが、まずパワートラック(動力)の固定台を付けます。
続いてカプラー(連結器)台を付けます。ここの部品は台枠の固定にも関わりますので、しっかりとはんだを流します。
写真では一度ねじ止めをして、位置がずれないようにしています。
次に側面の台枠を組んでいきます。こちらも仮合わせをして、歪み無く付けられるか確認します。
組み上がると上の写真のようになります。板から立体になっていくのはワクワクするものです。
続いて、前面台枠とステップをはんだ付けします。
ステップは裏からはんだ付けしましたが、なかなか位置が定まらず、3回ほどやり直しをしました。はんだ付けはプラモデルと違い、ある程度は失敗しても「リセット」出来るのが良いところです。
完成すると上の写真のようになります。
次はさらに小さな部品のはんだ付けです。
取り付けている部品は「解放テコ」の台座です。この部品は実車において、自動連結器(ナックルカプラー)のピンを外して連結を解くときに使用します。
取り付けてヤスリがけを終えました。後の工程でテコ部分を作ります。
ここで、ささやかなディテールアップをします。
実車は年代によって様々な改修が施されており、晩年に近い時期には「連結器置き」と思われる台が取り付けられています。
そこで、天賞堂から販売されている「スカートステッ」を用意しました。この部品は機関車の誘導などを行う作業員用のステップで、機関車の前面に取り付けられています。
本来の使用用途とは異なりますが、形状が似ていたので、これでよしとします。
早速必要な部分を切り出します。
それをはんだ付けすると…
雰囲気は良い感じになりました。
本来の製作に戻りまして、乗務員ハシゴを取り付けます。
キットは長いハシゴの状態になっており、長さを調節してカットします。
↑カットして、はんだ付けする部分を折り曲げています。
はんだ付けが終わりました。ここで気づいたのですが、実車ではハシゴが内側に傾いていましたので、モデルでも内側に折ることにしました。
組み立てもいよいよ最終段階になりました。
それでは、解放テコを製作します。
まず0.4mmの真鍮線を、前の工程で取り付けた台座に通します。
次に、中央を引っ張って尖らせます。
最後に両端を折り曲げて、不要な部分をカットします。
出来上がりました。
最後にパンタグラフの台座を組み立てます。
台座はエッチングで再現されています。
この部品を切り出して、折り曲げます。
先に足場に当たる部品をはんだ付けします。
次に、やぐら状の部品を付けます。
パンタグラフはあらかじめ組み立ててありますので、この完成品を使用します。
パンタグラフを仮合わせすると、機関車の全体像が見えてきました。
以上で「はんだ付け」は終わりです。
あとは「ホワイトメタル」の部品を付けていきます。ホワイトメタルとはスズを基にした合金で、融点が低く柔らかいのが特徴です。通常のはんだ付けでは溶けてしまいますので、基本的には接着剤を使用します。
接着する前に車体をサンポールに漬け込み、そのあとクレンザー、中性洗剤の順で洗浄しています。
思いのほか沢山ありますが、根気よくエポキシ接着剤で付けていきます。
完成しました!
中途半端ではありますが、ここで一区切りとさせていただきたいと思います。
長文駄文になりましたが、ご覧いただき誠にありがとうございました!
次回、塗装から完成までを製作記にまとめたいと思います。
よろしければ、最後までお付き合いいただければ幸いです。
#製作記
#コレクションログ
#2020
ace
2020/12/17素晴らしいですね‼️
難しい小さな部品のハンダ付けを綺麗に仕上げてて驚きです✨
塗装前でも雰囲気ありますね❗️😆続きに期待です❗️
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OER5200
2020/12/17ace様
温かいコメントをありがとうございます!😊
はんだ付けはあまり慣れていませんので、おっかなびっくりの作業でした。
ご期待に添える仕上がりかは不安ですが、お付き合いいただければ幸いです😊
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T. S
2020/12/17憧れのハンダ工作、ブラスモデルですね。
素晴らしいです。なかなかハンダの工程をひとつひとつ見られる機会がないので、とても参考になりました。
私はハンダは結線くらいで、立体のハンダ工作はどうも苦手なもので、ときどき手すりとかにチャレンジするのですが余り上手くいった試しがありません。何か基本的なところが間違ってるのかな…思っちゃいます。こて先を磨いたり、ペースト付けたりしてはいるんですが…。
ぜひ見習いたいですね。拝見して、私も諦めずまたトライしようと思いました。
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OER5200
2020/12/17T.S様
コメントをありがとうございます!😊
そうだったのですか。
私自身も偉そうに書きましたが、はんだ付けは苦手です(汗)
何両も未完成のまま手放してしまった車両もありますし、何度も物理的に手を焼きました…
…よろしければカツミ(老舗の鉄道模型メーカー)が出しているはんだ付けのDVDをご覧いただくと良いかもしれません。とても丁寧に解説されています!
ぜひぜひ!
諦めずに作った作品は、かけがえのないものになるはずです😊
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T. S
2020/12/17実は今日、昼の移動中に有楽町を通ったので、なんとタイムリーにカツミ有楽町店を覗いたところでした(笑)
部品を見てたのでDVDには気付きませんでしたので、次回また機会を見て探しにいってみますw
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OER5200
2020/12/17ビックリする偶然ですね❗
そして、ミリタリーやビール貨車といった守備範囲の広さに脱帽です😊
ぜひぜひ😊
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T. S
2020/12/18いえいえそんな、恐縮です(笑)
カツミには、ビール貨車の車輪を買いに時々行きます。メルクリンのAC車輪をDC化するのに、カツミのφ10.5mmピボット軸車輪というのがピッタリなもので。
次に行った際はハンダ指南のDVDを買ってみようと思います。
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OER5200
2020/12/18なるほど!
確かに、そのままでは日本用の線路を走れませんからね(汗)
DVDは本当に勉強になります。
T.S様のお力になると思います😊
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レイレイ
2020/12/17言葉が出てきませんね…
みなさ〜ん、凄すぎるお方、見つけましたよ〜笑!
スバラシイです!
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OER5200
2020/12/17Reirei Paint Art様
温かいコメントをありがとうございます😊
そのように仰っていただくと恐縮しきりですが、モノを作る喜び的な何かをお伝えできれば、この上なく嬉しいです😊
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レイレイ
2020/12/17長いモノ日記だな…と思わないくらい、夢中で読んでおりました。
モノを作る楽しさ、向き合う姿勢などがとても丁寧で、心に響きましたよ。
ジャンル違えど、諦めない気持ち(笑?)とか何かが私には伝わりまして、今後の私に影響大です(*^^*)!
貴重な制作過程を拝見でき幸せです。
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OER5200
2020/12/17Reirei Paint Art様
温かいお言葉をありがとうございます😊
そのように仰っていただけると、とても嬉しくありがたいです(泣)
まさか「諦めない気持ち」が伝わるとは!😊
私は自虐的に「往生際の悪さ」と読んでいますが、モノを作るときにはいつも付きまとわれます。「もういいでしょ」と考えても「それで良いんだ?」と思ってしまう何かが心にいます。
ジャンルは異なっても、どなたもお持ちなのですね☺️
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sat-2019
2020/12/17EB1051、相武台前駅や大野工場でよく見かけました。
元専売公社の電気機関車でしたね。
大変懐かしいです。
はんだ付けでここまで仕上げられるのは、手先が不器用な私だと、コテやはんだを持つ手がもつれてしまって不可能です…
羨ましいです!
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OER5200
2020/12/17sat-2019様
温かいコメントをありがとうございます😊
そうだったのですか!
実車を見たことがないので羨ましいです😳
現存する車両ではないので、資料集めに苦労しました(汗)
私も不器用で、もつれるどころか何度も「じゅっ」となりました。おかげで、はんだ付け中は絆創膏の使用が絶えません(笑)
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