ショートショート

初版 2024/04/05 21:32

モーツァルト/アンダンテとアレグレットハ長調 K.404

アンダンテ部分は補筆されていてモーツァルトが全てを完結した作品ではない。

2楽章形式のソナタいわゆるヴァイオリン・ソナタ第31番という分類がされているけれど、各楽章が別々の時期に作られたものだという説もある。
そういうわけかどうかわからないけれど、著名なヴァイオリニストはあまりこの曲を取り上げて録音することがないようだ。

書いている途中でミューズの声が聞こえなくなって、屑籠にポイと放り込まれた断片だったのかもしれない。

でも、ボクのくたびれた耳にはモーツアルトのレクイエムにあるラクリモーサの途中から聞こえてくる別個性の軋みは聞こえてこなくて、アンダンテはとても親密でシンプルなモーツァルトの速書きの特徴があって、憂いの転調はないけれど、閉じた瞼が開くと同時に微笑んでいるような音楽の明るさに惹かれる。

アンダンテの入りはそれまでに早い楽章が予定されていたかのような呼吸の整え方になっている。

ピアノが主体に入りながら旋律の紡ぎのわずかな隙間から無理なくヴァイオリンが滑り込んでくる。

音楽の呼吸ができあがっていて演奏家の作為を許さないような自然体の雰囲気。

かなり桁が外れた音楽的スケールをお持ちの二人のロシア人の演奏は重さは否めない。

だけど、ライブという雰囲気もあるのだろうね、音楽が自発性に溢れていて、アレグレットもピアノがリードするモーツァルト初期のソナタの形をとるけれど、モーツァルトの呼吸に合わせている。

アンコールピースだったのかも知れない。

リヒテルが好んで弾くモーツァルトとは少し雰囲気が異なるけれど、こういった演奏もあるんだね。


1974年のトゥリーナ音楽祭でのライブ。

ヴァイオリンはオレグ・カガン

ピアノをスヴィアトス・ラフリヒテル

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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