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滋賀県某所 紫煙松茸水晶
「ミネラ」82号掲載 掲載写真が紫水晶に見えにくかったこちら。周りのガサつきや煙部分の濃さから、紫水晶部分が極めて写真撮影しにくい水晶です。 12cmの煙水晶というだけでも十分な存在感なのですが、それでいて紫色が見られるという特別感。 3枚目で松茸水晶なのがかろうじて分かります。その松茸の両側が紫色で、下部分はほぼ見えないため、松茸の笠部分のみ複数枚撮影しています。一度剥離したのか、周りに再結晶した白い部分や、花崗岩の欠片が見られる部分も多く、光を当てて紫色が確認できる場所は少なく、かつ確認できても深く暗い煙水晶に、その紫は隠されてしまっています。 この水晶、2022年に、紫水晶の記録が100年近く無かった場所から発見された超珍品。あまりにウルトラレア過ぎる紫煙水晶で、産地のコンディションのため割れや欠けが目立つものの、この産地の水晶で紫色が見えるだけでも希少な存在です。
水晶好きな松ちゃん
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徳島県那賀郡那賀町 透明水晶②
「ミネラ」81号掲載 全くサシがない、クリアな水晶と、両錐水晶、普通の水晶の3点。徳島県産水晶で、恐らく産地がここだ、と分かるものではありますが、確定ではないため何とも言えず。さらに産地非公開。 前掲の那賀町の水晶とは別の産地になります。 本当に何故徳島県産水晶は情報ないんでしょうか…
水晶好きな松ちゃん
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愛媛県某所 煙水晶
「ミネラ」81号掲載 白雲母がファントム状に内包された煙水晶。ミネラでは◯◯美人と名付けられそう、だなんて書いています。全く出回っていないため、実際のところ、何も名前はありません。 愛媛県の九州寄りのリアス海岸付近では、ペグマタイトが点在しているようで、その一つがこちらになります。 愛南町出身の方と話をした際、「雨が降ったあとや体育の時間の前は、小学校の校庭で大量の煙水晶が落ちていた」「転んで怪我すると大変なので、全校児童で拾って捨てていた」と話を聞きました。真偽を確かめるべく町役場に問い合わせたところ、学校関係ではない別の課の職員がその経験があったらしいです。真砂土を校庭に撒いていたかについては不明でしたが、地元の砂を使っていた可能性が高いそうです。 …と、別の場所のエピソードにはなりますが、意外に身近な煙水晶なのかもしれません。
水晶好きな松ちゃん
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愛媛県上浮穴郡久万高原町 高温石英
「ミネラ」81号掲載 一時期、学童保育のイベントで、砂の中から高温石英を見つけよう!というイベントを行っていました。その際こちらの高温石英を沢山仕入れたのですが、行方不明… これは別ルートで入手したサンプルなので数は少ないですが、当地の高温石英の特徴がそのまま分かる物です。577〜870℃の高温で冷えて固まった石英=βクォーツがこの高温石英。やや紫色を帯び、柱面がないため六角錐の形をしています。3、4枚目は丸まっているものの、六角錐の形が確認しやすいです。 火山灰由来の生成鉱物ですから、その昔、四国には火山があったのでしょう。大きいものだと、こちらでは5mm以上のサイズが採られたようです。
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愛媛県西条市市之川 市之川鉱山 輝安鉱入りカテドラル水晶
「ミネラ」81号掲載 市之川では透明な水晶も採れましたが、濁ったタイプの水晶も多く採られていました。最近でも拾われているようですが、その水晶はこのずんぐりむっくりなカテドラルタイプや、真っすぐの単結晶だが表面がざらついている、という同系統のもの。 単なるカテドラル水晶であれば、各地で報告があがっていますが、こちらは根元付近で黒い鉱物を内包しています。どうも、これが輝安鉱らしいです。前掲のものよりまだ見やすいですが、粉状のため結晶の粒は確認できず。
水晶好きな松ちゃん
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高知県安芸市 ねじれ曲がり水晶
「ミネラ」81号掲載 スパゲッティの細さ、ややねじれた曲がり。よくぞ地中で折れずに成長したな、という変わり者です。根元のみクラスターから剥離した断面が見られますが、頭はしっかり確認でき、無傷。 産地詳細を明かさない条件でミネラに公開し、それ以外でも公開を留めていました。ただ、やはり珍しさで言えば手持ちの水晶で随一ということもあり、ミネラと同じ内容で複数枚、こちらに公開することとしました。 この並び順で、反時計回りに動いています。曲がっているのが分かるでしょうか?
水晶好きな松ちゃん
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鳥取県鳥取市百谷 百谷鉱山 紫水晶
「ミネラ」80号掲載 分厚い石英脈の所々が紫石英で、一部が僅かに紫水晶の錐面となっている標本。頭部分はほぼ目立ちませんが、全体を見れば紫水晶だな、と分かります。通常の白水晶が覆い被さっている部分もあります。 緑色の部分は孔雀石になります。 鉱山は黄鉄鉱や黄銅鉱が採れた場所なので、その影響もあって色が変化し、紫水晶となったのでしょう。 ミネラ掲載文には、「平原に咲き誇るスミレ」なんて表現をしました。緑が草、紫が花、形状を丘と見てみると、そんな感じ。試しに背景を青にして、空の感じを出してみましたが、違和感が強いです…
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岡山県津山市宮部上 糘谷 貫入水晶(クォーツインクォーツ)
「ミネラ」80号掲載 ミネラ掲載写真の左側の水晶です。前掲の糘谷の水晶のように、ビンタ切ればかりで完品が少ない当地の水晶。稀に、水晶の一部が貫入しているものがあります。 その貫入の最上位、完全に水晶を取り込んだクォーツインクォーツになります。両錐の透明水晶をそのまま取り込んでいます。国産水晶という点でも完全貫入は稀ではないでしょうか? サイズは大きいわけではありませんが、そのサイズと透明感の総合で見れば、糘谷ではトップレベルです。
水晶好きな松ちゃん
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大分県豊後大野市緒方町 尾平鉱山 晶洞坑 武石に生えた水晶
ミネラ79号掲載 世にも珍しい!ダークチョコレートから生えた水晶…というのは冗談で、黄鉄鉱が褐鉄鉱に変化したもの=武石に、晶洞坑の水晶(桜構造が見られると言われる水晶)が生えている面白い標本です。 武石自体も、2つの立方体が合体した形状。水晶と武石がくっつき、生え、貫通し…表現が難しいですが、フィラデルフィア実験の状態と言えばわかるでしょうか。 尾平鉱山の黄鉄鉱は、半分褐鉄鉱になっているものもありました。現在は坑道が水没しているらしく、採取は不可とのことです。
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宮崎県児湯郡西米良村板谷 松茸水晶を伴う水晶クラスター
ミネラ79号掲載 ミネラにて、天使の羽、恐竜の首と表現したものです。何を言っているのかと分かりにくいかもしれませんが、 ・1枚目の松茸水晶部分が、ブラキオサウルス、首長竜に見える ・2枚目全体写真が、羽を広げた天使感(どこかのパチンコのCMに出ていた、デカい羽のキャラ感)がある という感じです。ジュラシックパーク1作目で、木の上からブラキオサウルスを見上げるシーン、森から出てくるブラキオサウルスの首、あれを連想したわけです。その点、3枚目が分かりやすいでしょう。 板谷の水晶といえば、高透明度、細い単結晶、異形な石英と微細な水晶のイメージで、松茸の印象はありません。松茸の横にある単結晶、これが普通の板谷の特徴。 石英部分についてもThe 板谷。表面が水晶の柱面、錐面で煌びやかになっている石英2つが、細かな水晶のおかげで接合しています。この過程で、細い単結晶の上に小粒の水晶が接合したのでしょうか? どのようにしてこの松茸が生まれたのか、不思議でならない標本です。
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鹿児島県熊毛郡屋久島町 水晶クラスター
ミネラ70号掲載 2019年の浅草石フリマ?で入手した記憶があります。 当時は超レア物として数個だけ並んでいましたが、国産水晶を扱うブースではなく、普通のパワーストーンや磨き石系を並べていた店でした。何やら人だかりができてるな、と覗いてみると、屋久島の水晶クラスターに群がる数名。負けじと突入し、当時の手持ちで買えるものを一つだけ購入したのでした。 この時はミネラルショーでせいぜい3万くらいしか使っていませんでしたから、正直良いものは手に入れられなかったのですが、それでもこれが初の屋久島産水晶となりました。 話によると、海岸に落ちていたものらしいですが、水晶の結晶の隙間に泥土が乾燥して付着しており、恐らく山で採取されたものでしょう。屋久島のどこと明言していないことも加味すると、これは鉱山に入って採取されたもの?屋久島水晶採取ツアーが問題視されて間もない頃の購入ですから、敢えて明言しなかったのでしょう。 水晶としては、普通のクリアな単結晶が入り組んでいる、しかし目立ったポイントがなくイマイチ、という感じでしょうか。
水晶好きな松ちゃん
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山口県美祢市於福町下 山上鉱山 緑水晶
「ミネラ」80号掲載 抹茶というか、やや黄緑色というか。国産水晶の色味では、バッタリ鉱山の緑色が有名ですが、その色味より濃い目な緑。撮影方法によってより良く見えるのはあるでしょうが、1枚目の画像が肉眼に近く、ベストな色合いを見せてくれています。 中国地方のコレクターはよくこの緑水晶を採取している印象があります。それでも、こちらは5cm程ですが、この大きさはそれほど見かけません。小さいものが多いです。かえって小さいと鮮やかな「黄緑色」になるものも。酸化の有無で色味が変わります。その点バッタリの水晶と同じですね。 発色理由が不明。銅由来な印象です。
水晶好きな松ちゃん
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北海道函館市弁才町 日産戸井鉱山 黄鉄鉱付き水晶
「ミネラ」77号掲載 前掲のものと同じ、日産戸井鉱山の水晶。水晶部分は少ないのですが、こちらは濁りがなくクリアな水晶。 方解石の蝕像による脆弱な石英の隙間に、黄鉄鉱が挟まっています。両方入っていた隙間で、方解石のみ溶け落ちたため、黄鉄鉱は隙間でカタカタ動きますし、小さいものは外れたり、落ちたりで扱いが難しいです。 2022年の春に撮影してから保管したままだったのですが、2025年1月、黄鉄鉱が遂に粉を吹いてしまいました。そもそも鉱山稼働時のものと考えれば、60年近く前のものですから、黄鉄鉱の酸化もやむなしでしょう。 乳白色の水晶をオークション落札したあと、おまけでこちらがついてきました。
水晶好きな松ちゃん
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北海道函館市弁才町 日産戸井鉱山 褐鉄鉱に覆われた水晶
「ミネラ」77号掲載 オレンジ色の褐鉄鉱に覆われた乳白色の水晶クラスター。単結晶は褐鉄鉱に埋まっている部分も合わせると2cmほど。北海道産水晶としては大きい方でしょうか。 単なる乳白色ではなく、よく見ると気泡による色味で、ファントム状になっています。褐鉄鉱の形状も見事な葡萄状(赤鉄鉱だと臓器状とでもいうのか)で、中には折られた水晶の断面を覆っている箇所も。 日産戸井鉱山は大正時代に硫化鉄を目的に開発された鉱山。現在でも多くの坑口跡がありますが、坑道に満たされた大量の酸性水により探索が不可能に。付近の沢にも流れているようです。 やや値が張りましたが、奮発してオークションにて入手。
水晶好きな松ちゃん
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大分県豊後大野市緒方町 尾平鉱山 尾根付近 紫水晶
情報としては噂程度にしか聞いていなかった、尾平鉱山の紫水晶。遂に本物を入手することができました。 多くの坑や採集ポイントがある尾平鉱山ですが、こちらは無名の採取ポイントとのことで、ここでは尾根付近としています。 色味が薄い紫水晶で、表面はガサついています。このガサつきは表面に付着していた白雲母が溶け落ちたことによるもので、一部の白雲母はそのまま共生しています。 尾平鉱山ならではのクーク石や角閃石の内包は無し。表面のガサつきによってはっきりと中身を見られませんが、同ポイントで採られた通常(やや緑色)ポイントには僅かに電気石(角閃石?)の内包があるので、もしかしたら微細な内包はあるのかもしれません。
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