ファンとアンチの狭間で ~ VOL.8 ピノキオ⑤

初版 2020/05/22 15:06

改訂 2023/06/05 18:39

*なんでこんなことを綴っているのかはこちらをご覧ください

 ファンとアンチの狭間で ~ 本当の自己紹介

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●実はディズニーで一番怖い?ピノキオのお話●

通常のディズニー作品は悪役は一作品に一人(手下含まず)なのですが、ピノキオは該当する人物が複数出てきます。

*ファウルフェロ―(狐)&ギデオン(猫)

いつもピノキオを悪の道へと誘う二人組です。

狐の方がファウルフェロ―(J・ワシントン・ファウルフェロー)、猫の方がギデオンです。

劇中でフェローは自らを「正直者のジョン」と名乗っていますが、実際はとても嘘つき。

ピノキオを言葉巧みに誘っては劣悪な場所へ売り払います。

ギデオンはフェローに従う、酒にもたばこにも弱いちょっと間抜けな相棒です。

*ストロンボリ

ピノキオが最初に売られる人形一座の親方です。

世界を回りピノキオで一儲けしようと鳥かごに監禁したり、投げ銭の中に入っていた鉄くずをピノキオに"プレゼント"したりします。

*コーチマン

ピノキオが二番目に売られる馬車屋です。

(ずっとオバサンだと思ってたらオジサンだった…)

フェローたちも震えあがるほどの悪人です。

大人の言うことを聞かない街の子どもたちをフェローに集めさせ、島の遊園地で好き放題にさせます。

(酒・煙草・ケンカ・施設の破壊OK。飲食もタダ。)

詳しくは語られませんが、おそらくそこで口にしたものが原因で子供たちはロバになります。

ちゃんとロバになっているか一人ずつ自分の名前を言わせ、ロバの鳴き声だったら服をはぎ取られ箱詰めされます。

コーチマンが遣っている手下たちも怖いです。

真っ黒な大きな影で描かれていて表情も人相もわかりません。

心理的なものを狙ったのか、量産系の端役だから簡略化されたのか、面倒くさくなったのかはわかりませんが、カラー作品の中ではとても異質で恐ろしい存在です。

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こんなにもたくさんの悪役たちが出てくるピノキオですが、他の作品と違うのは悪役の数だけではありません。

悪役たちへの処遇が大きく異なります。

他のお話では、悪役は終盤に何かしらの"罰"を受けます。

白雪姫の女王やマレフィセントは"死"を迎えますし、シンデレラのトレメイン夫人やピーターパンのフック船長は"目的未完遂"という結末を迎えます。

ですが、ピノキオの悪役たちは【一切の罰を受けません】

主人公のピノキオだけでなく、端役の街の子どもたちまで手を付けたコーチマンですら劇中で特に処罰されたシーンはありません。

悪役のターゲットは主人公やその血縁のみのことが多い中、端役まで塁が及んでいるのも珍しいのに処罰もされないお話はピノキオだけだと思います。

またフェローとギデオンの存在も異質です。

ディズニー作品で人間と動物が交流するお話は数多くありますが、基本的に主人公のみと交流します。

白雪姫と森の動物、ジャスミンとラジャー(トラ)は言葉は交わしませんが、動物が言うことを聞くのは主人公のみです。

またシンデレラには多くのねずみの友達がいて会話もしますが、彼女以外の人間と会話はしません。

しかしフェローとギデオンはピノキオだけでなく、ストロンボリやコーチマンと商談を行い、彼らもまたフェローたちを対等に扱っています。

ピノキオに出てくる悪役は、誰も恐ろしい魔法を使いません。

街の人たちから忌み嫌われた存在でもなく、スルッと街に溶け込んでどんなに悪事を働いても何の罰も受けることなくのうのうと生きています。

他の作品のように「勧善懲悪」ではないし、あからさまな悪ではない「日常の悪」こそが一番怖いと気づかせてくれる作品です。

ファンとアンチの狭間で ~ VOL.4 ピノキオ①

ファンとアンチの狭間で ~ VOL.5 ピノキオ②

ファンとアンチの狭間で ~ VOL.6 ピノキオ③

ファンとアンチの狭間で ~ VOL.7 ピノキオ④

#2020年

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#ディズニーいち怖い話

学生時代にディズニーランドにある"クイーン・オブ・ハートのバンケットホール"でアルバイトをしていました。
それがきっかけで業務上必要に迫られ知識をためていったらディズニーが好きに。
ここには私が気に入って収集したディズニーアイテムを多数展示しています。

***祖父の遺品である切手のミュージアムを開設しました。
そちらもゆるゆる展示していきます。

https://muuseo.com/YMJ-StampRoom

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