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Proetida sp.
奇妙な固有種を産出するJorfからの標本です。こちらは地味ながら見たことのない出立ちのプロエタスで、細長い楕円形の体型は石炭紀以降のフィリップシア系の三葉虫を彷彿とさせます。一方で尾板は小さく、石炭紀とは異なる特徴を持つデボン紀の三葉虫であることが分かります。 5枚目の写真のように複眼が観察できるものの、同時期のモロッコ産Proetidaに比べると薄く膜を張ったようにボヤッとしており、これは単に保存状態や産状によるものなのか、あるいは複眼が退化しているのかもしれません。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Middle Devonian #103 Morocco -xiu_trilobite
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Ceraurus pleurexanthemus
ニューヨークのWalcott-Rust Quarry産が有名な本種ですが、カナダ・ケベック州でも採取されており、同種でも化石としての質感が異なります。少し丸まった姿勢ですが、それを含めてとても可愛いらしく、正方形の母岩の真ん中という配置のバランスも良いので、気に入っている標本です。 #三葉虫 #trilobite #化石
Upper Ordovician #36 Canada Neuville Formationxiu_trilobite
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Calymene niagarensis
ロチェスター頁岩の代表的三葉虫のひとつです。比較的多産する種であることから、あまり注目はされていない感がありますが、深煎りのコーヒー豆のような質感で、数あるカリメネの中でもトップクラスに格好良いと個人的に思っています。この標本は真っ直ぐに伸びた大きめの個体です。
Middle Silurian #24 US Rochester Shalexiu_trilobite
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Geesops schlotheimi
古くから産地として知られたGeesのジーソプスです。Geesで産出する三葉虫の90%程がこの種とされていますが、1980年代には産地保護のため採取が禁止されたため貴重な標本となっています。 ジーソプスの記載年は1825年とちょうど今年(2025年)で200年となります。地層時代名であるアイフェル期(デボン紀中期)はこの地方名が由来であり、古生物学史における重要産地となります。モロコプスにもよく似たこのジーソプスを始め、当時の地理的な位置関係からモロッコ産の三葉虫に近い種が採取されています。 少し割れは目立ちますが、体長も約5cmとこの産地としては大きめで、保存状態も申し分ない良質な標本です。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Middle Devonian #104 Germany Ahrdorf Formationxiu_trilobite
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Kettneraspis aracana
レオナスピスとしても出回っていますが、尾部の中央4本の棘のうち、中央の2本が短いケトネラスピスの特徴を持ちます。 Catavi Formationはアンデス山脈に露出したシルル紀末期からデボン紀始めの地層のようですが、購入元や他の標本に倣ってシルル紀としました。 ボリビア産としては珍しいシルル紀の標本でしたが、最近まとまって標本が採取されるようになったのか比較的入手しやすい種となっており、これからボリビアの代表種となっていくのか個人的に注目しています。
Lower Silurian #68 Bolivia Catavi Formationxiu_trilobite
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Phacops tafilaltensis
非常に美しい標本です。特に複眼は少し見たことがないような透明感があり、左右とも一点の欠けもない良好な保存状態です。 種名は購入元の情報となりますが、Phacops tafilaltensisの複眼は横方向が16〜18列、縦方向が5〜6列とされています。一方、この個体の複眼は横方向に14列、縦方向が4〜5列と少し相違があります。別種かなと考えていますが、私にはファコプスの見分けはなかなか難しく同定できておりません。 ガラス質の硬そうな母岩で、Jorfの標本に近いものを感じます。Jorf以外でもこの様な質感の標本が採取できるのでしょうか? #三葉虫 #trilobite #化石
Middle Devonian #56 Morocco -xiu_trilobite
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Ceraurus plattinensis
カナダ・オンタリオ州のボブケイジョン層からのCeraurus plattinensisの標本です。この種は他のセラウルスに比較して頬棘の幅が広いのが特徴ですが、この個体はその特徴がそれほど強くは出ておりません。 現在ボブケイジョン層では化石の採取が許可された採石場がかなり限られているようですが、腕足類など様々な生物の残骸が残ったなかなか鑑賞性の高い標本が採取されます。 この個体は尾板の右側の棘はクルッと丸まったように変形しています。脱皮の失敗によるものでしょうか。 #三葉虫 #trilobite #化石
Upper Ordovician #74 Canada Bobcaygeon Formationxiu_trilobite
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Changaspis elongata
できれば希少性とか価格などを抜きにして、純粋に心惹かれた三葉虫を集めたいと思っているのですが、この種はまさにそういう存在です。非常に美しい肋棘を持っています。 中国語名は張氏虫でChangaspisという種名もここから来ていると思われます。扁平でとてと小さな尾板を持つカンブリア紀らしい姿をした三葉虫です。 #三葉虫 #trilobite #化石
Lower Cambrian #93 China Balang formationxiu_trilobite
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Elrathia kingi
このエルラシア・キンギという種は博物館のミュージアムショップなどでも販売されている三葉虫の代表的存在です。ある意味で名前の通り「三葉虫の王様」と言えるかもしれません。 ただ実態としては、Wheeler Shaleの一部でしか産出しておらず、他の種が棲息できないような低酸素環境に適応することで限定的な地域で独占的地位を獲得した種で、産出数が多いのも低酸素環境だからこそ化石としても残りやすかったためとされています。 このニッチな生存戦略を考えれば、カンブリア紀の海において現代における化石流通量ほど圧倒的な存在感があった訳ではなかったと思われます。 この標本はいわゆるRed bedからの赤みを帯びた標本で、通常の黒やグレーの標本に比べると希少価値があります。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Middle Cambrian #55 US Wheeler Shalexiu_trilobite
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Asaphus platyurus
10cm近くある大きなアサフスです。判別の難しいロシア産アサフスにあって、この種は長い頬棘が特徴的で容易に見分けがつきます。 Vipovisy Quarryは15年程前から採掘が始まった石灰石の採石場で、St. Petersburgの主要採取地のひとつとなっています。 色合いも保存状態も素晴らしいロシア産三葉虫ですが、全体的に高価格な上、昨今の政治的情勢もありなかなかコレクションを増やしずらい状況になってしまいました。 #三葉虫 #trilobite #化石
Lower Ordovician #10 Russia Asery levelxiu_trilobite
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Morocops granulops
言わずと知れたHamar Laghdadの赤い三葉虫です。有名プレパレーター・ハミー氏の標本で、この産地の特徴である深緑の複眼も非常に美しく剖出されています。Orthocerasや他の小さな生物の残骸も残したジオラマ風標本になっています。 外殻が赤くなるのはもともとの外殻組織に取って代わったシリカが周辺の鉄化合物によって赤く染色されたためです。一方、複眼の元々の組成とされる方解石はシリカへの置換が起こりにくく方解石のまま維持されたことで、体表と色の違いが生じたことが示唆されています。(三葉虫の複眼が方解石であったという説には異論もあります。) 大変ユニークで魅力的な産地ですが、残念ながら既に枯渇状態で、標本を見る機会はこの数年でも減ってきているのを実感しています。 #三葉虫 #trilobite #化石
Middle Devonian #73 Morocco Hamar Laghdadxiu_trilobite
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Bollandia globiceps kleini
購入元からの情報では産地はベルギー・エノー州・ヴォーと記載あり、この地域にあるLemay採石場の標本と思われます。 Tournai Formationの標本は、自然な露出ではなく、重機を使用して行われた大規模な露天掘りによって採取可能になっています。鉱山の休業日などに特別な許可を得て化石の採集活動が行われていたようです。 ベルギーの石炭紀三葉虫は陶磁器のような質感がとてもきれいで好みなのですが、なかなか状態の良い標本は入手できていません。この標本の左側葉部のように白い外殻が剥がれているのは典型的な状態です。 #三葉虫 #trilobite #化石
Lower Carboniferous #76 Belgium Tournai Formationxiu_trilobite
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Odontopleura (Sinespinaspis) markhami
採取地はシドニーから西に約300kmの距離にあるコットンヒル採石場(Cotton Hill Quarry)です。 Cotton formationより産出する三葉虫の圧倒的多数(99%)はこの種とされ、多くの部分化石が採取できるようですが、遊離頬まで揃った標本は貴重です。 小さいので目立ちませんが、実はなかなかのブツブツ三葉虫で、側葉の二列の突起の他にも尾板や頭部にも無数の顆粒が観察できます。 オフホワイトと黄色の母岩が特徴的な非常に綺麗な三葉虫標本です。 #三葉虫 #trilobite #化石
Lower Silurian #43 Australia Cotton Formationxiu_trilobite
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Jenkinsonia varga
くびれのある特徴的な形をした可愛らしい小型種で、成体でも1cmになりません。こうして写真を撮ると三葉虫なのは明らかですが、肉眼では石に小さな汚れが付いているくらいにしか見えません。 小さすぎるためか、このように丁寧なプレパレーションが施されたものは珍しいです。本種の中ではなかなか高品質な標本と思います。 3枚目の写真は細部が分かりやすいように水に濡らして撮影しています。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Middle Cambrian #37 US Wheeler shalexiu_trilobite
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Eodalmanitina destombesi
ポルトガルのヴァロンゴ層の中で最もメジャーな種のひとつです。ポルトガル産は圧縮や変形したものがほとんどで、この標本もご覧のように上から押されたようにぺったんこになっています。ただ長い尻尾やいかにもダルマニテス的な眼、右側葉部には欠けにある治癒痕など、全体的に保存状態は良く見所のある標本です。 胸節の数は11で、これはオルドビス紀〜デボン紀までのダルマニテス科の三葉虫に共通した特徴となっています。圧縮の影響で平たくなったことも相まって他の時代のダルマニテスとそっくりな風貌です。 この標本の母岩は色々な色味の岩石をコラージュしたようになっているのが、特に気に入っているポイントです。 #三葉虫 #trilobite #化石
Middle Ordovician #70 Portugal Valongo Formationxiu_trilobite