ドラマ シナリオの創造と研究 1983.1

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特集・西部警察
アクションドラマにおけるクライマックスとカタストロフ
◆掲載シナリオ◆
・燃える原野!オロフレ大戦争 新井光
⭐︎作者ノート
北海道の風土を生かして
 「オロフレ峠」の場合は、北海道ロケの作品ですから、単なるアクションで終始するだけじゃなく、北海道という風土を考えて爽やかな話にしようと、取材のときから心がけていたんです。
 「 」つきのシーンはタイアップ先の実在の会社や組織。それらを取入れて、なおかつ爽やかな話にするにはどうしたらいいのか。しかも番組の基本は刑事アクション物です。派手な見せ場も必要だし……。
まあ、それをくぐり抜けて出来た作品というわけです。
 札幌・登別・函館と、あちこちてへ行くために記憶喪失の女の子を発想したり、東京では撮影不可能な目も眩む崖の上からの車の転落シーンとか、いろいろやってみました。

・別離のラストフライト 宮下潤一

⭐︎作者ノート
 本シリーズのPARTIでデビューした駆出しライターにとって正にアッと云う間の二年間、そしてPARTIIへの突入でした。共作も含めて、早いもので二十本程このシリーズを書きました。今でも一作一作が新しい勉強というつもりでやっています。
 この作品は、PARTIIを迎えて加わった新戦力三浦友和さん扮する沖田刑事の過去にまつわる云わば因縁話です。元々こういう話のタイプではないのですが、「きっちり泣かせてみせるよ」そう仰しゃった村川監督の言葉、そして三浦さんは勿論、石原、渡両大スターを始めとするキャスト並びにスタッフが誇る抜群のチームワークを信じて一気に脱稿しました。書き手としても、一ファンとしても完成を楽しみにしています。

・1000万ドルの恋人 新井光 平野靖士
⭐︎作者ノート 
新井光
 人質をとり身代金を要求する犯罪、刑事ものによく使われる。それだけに、通りいっぺんのストーリーでは視聴者の興味を持続できない。
 そこで犯人側が、人質をとる目的に一工夫加えてみた。刑事とそのガールフレンドの両方をおさえることによって、計画した別の犯罪が可能になる。バスジャックによる人質の身代金要求は、犯人のカモフラージュ。
 よく使われる設定を逆手にとったというわけだ。

平野靖士
 僕が書いた一稿では、バスジャック犯人の目的は身代金要求。人質たなった北条刑事はその受け渡しに使われる、という設定でした。
 決定稿では、もう一つ設定が作られ、ストーリーがさらに展開しているのに感心しました。

新井光さん特集のインタビュー。
「西部警察」のシナリオについて
 今、ほとんど「西部警察」を中心に書いている。それは、石原プロはスタープロですね、スタープロダクションの作品というのは、とにかくスターを描かなきゃいけない。カッコ良くしなきゃいけない。これはエンターテイメント映画の原点だと思う。僕はスタープロの台本というのがどういうものか非常に興味があったわけです。スタープロの台本が理解出来れば……というところから石原プロの作品にのめりこんだんです。スタープロの作品でスターを描ければ、どんな作品でも書けるんじゃないか、という思いがある。そういう意味では、非常に手ごたえのある仕事だと思います。
 ことさらアクションということを意識してません。ただ、このお話はアクションでいくんだぞと決った時には、初めからそういう発想をします。とにかく、車を40メートルを飛ばすんだということになれば、40メートルを飛ばす話をはじめから作るようにしてます。

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