アルバムで綴るTHE KINKS 〜初期PYE時代(その1)〜
UKロック・バンド「キンクス」の長い歴史をアルバムごとに紹介していきます。 脱退や事件etc…は無視して、単純にアルバムの内容とサウンドの変化だけに特化していく予定です(あくまでも予定なのでどうなるかわかりません)。 限られたほんのちょっと興味のある方だけ読んでください! ビートルズに遅れること2年、1964年2月にシングル「Long Tall Sally」でデビューしたザ・キンクス。 華々しく売り出したにも関わらず結果は散々なものに。 2枚目のシングル「You Still Want Me」に至っては127枚しか売れなかった(?)とういう噂。 だが8月に発売の3枚目のシングル、レイ・デイヴィスのオリジナル曲「You Really Got Me」が全英チャート1位という大ヒット。 10月にはファーストアルバム「KINKS」 KINKS / Kinks (mono) | MUUSEO (ミューゼオ) https://muuseo.com/vinyl/items/1353?theme_id=19063 vinyl をリリース(全英2位、全米29位)。 ジャケットかっこいいです! オリジナル曲とカヴァー曲がほぼ半々。 デビュー・アルバムからレイ・デイヴィスのオリジナル志向が反映されている。 メインの曲はやはり大ヒットの「You Really Got Me」。 この弟デイブ・デイヴィスによるギターリフは発明と言ってもいいでしょう! このアルバムの発売3週間後にリリースした4枚目のシングル「All Day And All Of The Night」(全英チャート3位 オリジナル・アルバム未収録)にも同じようなリフが使われているが二番煎じ的な感じはなくただひたすらかっこいい! このファーストアルバムはガレージロックの代表のような位置付けにあるが全部の曲がそうではなく、デイブ・クラーク・ファイブやサーチャーズ的な売れ線の曲もあり、なかなか楽しく聞けるのである。 そしてもう一つ重要なのは、ビートルズやストーンズもそうであったように黒人ミュージシャンのカヴァーをやっているのだが、全くブルース・フィーリングを感じさせないレイのヴォーカルである。 ジョンやミックはひたすら黒人に成り切ろうと歌っているのに対し、レイは諦めにも似た感じでサラッと歌っているのである。 こういうコンプレックスを逆手に取って逆に聴かせる作り方は今後ずっと続くのである。 「レイ・デイヴィス」のセンスとひねくれ具合、「デイブ・デイヴィス」のかっこいいギター、リンゴに匹敵するくらいの天才ドラマー「ミック・エイヴォリー」、ヴィジュアル担当(?)の「ピート・クウェイフ」。 荒削りながらも個性的なサウンドでデビューアルバムにして名盤なのである(クレジットには記載されてはいないがジミー・ペイジが2曲で12弦のアコースティック・ギターを弾いている)。 その後65年1月発売のシングル「Tired Of Waiting For You」が再びチャート1位に。 そして3月にセカンドアルバム「Kinda Kinks」 THE KINKS / Kinda Kinks (mono) | MUUSEO (ミューゼオ) https://muuseo.com/vinyl/items/1402?theme_id=19063 vinyl 発売(全英2位、全米60位)。 これまたジャケットがかっこいい! 基本的には前作の延長上な作りなのでしょうけど、製作者主導だった前作に比べカヴァー曲は2曲とオリジナリティを大事にした作りになっている。 しかもレイのアコースティック・ギターの弾き語り的な楽曲もあり早くもアーティスティックな1面を垣間見せる。 大ヒットした先行シングルもファーストの頃とは違った音楽的アプローチで大人感を出している。 サウンド面でも派手さばかりではなく、コンパクトにまとまったバンドサウンドが聴けるようになり、後のキンクスらしさも現れ、これまた名作なのである。 当時のイギリスのバンドはビートルズが切り開いたアメリカン・ビジネスに乗って、次々と大資本へと流れていった。 もちろんキンクスもアメリカへ渡った。 が、いろんな事件・事故・未熟さが祟って失敗に終わった。 しかも3年間アメリカで音楽活動をしてはいけないとの通達を受ける。 捻くれ者たちがさらに捻くれるわけである。 その後数枚のシングル盤をリリースした後、65年11月シングル「Till The End Of The Day」(全英8位)。 その1週間後にサードアルバム「The Kink Kontroversy」 THE KINKS / The Kinks Kontroversy (mono) | MUUSEO (ミューゼオ) https://muuseo.com/vinyl/items/637?theme_id=19063 vinyl 発売(全英10位、全米95位)。 これまたジャケットがカッコ良すぎる! キンクスとしては初期のガレージロック3部作の最終章である。 先行シングルに代表されるデビュー当時からのギターリフ中心の楽曲はその後一旦お休みし、よりフォーキーな感じになるが、このアルバムにもレイのフォーキー志向がふんだんに取り入れられているが、一聴するとかっこいいロックン・ロール・アルバムである。 レイとキンクスが大人のバンドへと移行するきっかけとなったアルバムではあるが単純にかっこいい名作なのです。 このアルバム前後で起こったレイの音楽的志向の急変、バンド内のいざこざ、アメリカのショー・ビジネス界との関わりetc…によりこの後キンクスは大きく変わっていくことになるのです。 続きはまた後日。