【手彫証券印紙】第5次発行1銭黒:プレートリコンストラクション[2023/9/25追記版]

初版 2022/10/30 10:12

改訂 2023/09/25 22:05

ここ数年取り組んできていた第5次発行(電胎版)1銭黒(洋紙、目打)のプレートリコンストラクションが一応完成しました。

証書貼りのマルチプルをマテリアルとして、

1) 版数は2(Plate I, Plate II)

2) 報告されているエラーはPlate II / Pos. 8の「左銭字タスキ落ち」

の2つのヒントを手掛かりに、マルチプルを組み合わせてシートを復元するという、パズルのような作業です。

各プレート共に、あと2ポジションずつを残すところとなった時点で、(株)鳴美から出版された長谷川純・著「手彫証券印紙」-月間たんぶるぽすと増刊94号、2022年8月発行-を入手したところ、期待どおりPlate I, II共に大ブロックの写真が収録されていました。

これらの写真は、過去に古屋のコレクション集やモノグラフで紹介されているものでしたが、印刷の解像度が低く、ポジショニングには残念ながら使えなかったものですが、今回の出版で、どうにか参考にできるものが公開されました。

これらのブロック画像を参考にして、主要なポジションの最終確認と、未確定であったポジションについて、手持ちの単辺(これまで確定していたポジションとは一致していなかった)を割り当てることができ、形としてPlate I, II共に全ポジションに手持ちの印紙を割り当てることができました。

ただし、ペア以上のマルチプルをパズルのように組み合わせた完全な「リコンストラクション」という点では、Plate I/Pos.1、Plate I/Pos.31、Plate II/Pos.13、Plate II/Pos.24の4枚にそれぞれ連結するペア以上のマルチプル4点を入手してようやく完成なので、まだしばらくはマテリアル探しの旅が続きそうです。

(追記:Plate II/Pos.2についても目打で再連結したペアに基づいたものなので、ちゃんとしたマルチプルを入手して置き換えたく思っています)

図示したものは、Plate Iについてはリコンストラクションに使ったマルチプルをそれぞれ色調を変えて組み合わせを示した、いわばデジタル版のリコンストラクションフルシートです。

Plate IIは各ポジションの印紙の画像を組み合わせたデジタル版フルシートで、次のステップとして、このようなデジタル版フルシートを無地紙とポーラス紙でそれぞれ作成する作業を進めています。

【追記】

Plate II / Pos.13を含む縦3連ストリップ(Pos.13/23/33)が見つかりました。青10銭印紙との混貼の証書で、青10銭のアルバムに入れていたためにこれまで気づかなかった次第です。これによってPlate IIはPos.24につながるペア以上の発見、入手が最終手になります。せっかくなので最新版のシート画像をご紹介いたします。

【追記】2023/4/22

これまでPlate I, Plate IIともにデジタル画像を組み合わせた(バーチャルな)再構築シートを展示しておりましたが、実物を組み合わせた再構築シートが一応完成しましたのでご披露いたします。

Plate I, IIともに一部でパーツ(ペア、ストリップ、ブロック等)が完全に重なっていないため、「一応完成」という表現を使っていますが、これから時間をかけて、全体が連結した完全体の完成を目指したく思います。

また、ここ数ヶ月かけて手持ちの単片やペアのポジション同定を進めた結果、単片(一部ペアを含む)を組み合わせた(通常の)再構築シートもPlate IIは完成、Plate Iは残すところあと1ポジションというところまで進めることができました。完成したPlate IIの再構築シートをご紹介いたします。

[2023/9/25追記:]

春から夏にかけていろいろご縁をいただいてマテリアルを充実させた結果、複数の再構築シートを完成させることができました!まずは4月の段階で完成していなかった、単片主体で再構築したPlate Iのシートです。

さらに、ミュージアムの方で紹介しているように、ポーラス紙/目打10のみを使った再構築シートも両版で出来上がりました。

印紙とは言え、手彫の再構築シートが複数枚手元にあるのはなかなか爽快であります:-)

さらにありがたいことに、古屋厚一氏が作成した再構築シートも入手することができました!古屋氏が米国から輸入した3万枚(!)の1銭印紙を使って作り上げた、洋紙目打1銭黒色の"Plate Y"と"Plate Z"のリコンストラクションシートの一つです。詳しくは別ジャーナルでご紹介いたしますが、手彫印紙研究の歴史の中で重要な出来事ですので、ネタバレ的にPlate Y(=Plate I)のシート画像・古屋氏のサインと、通し番号付きをご紹介いたします!

"Plate Y" (= Plate I) 古屋厚一氏作 再構築シート(通し番号7)

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unechan

子供の頃から細々と続けてきた切手収集。長年のブランクを経て10年ほど前から再開し、日本切手クラシカル、ドイツインフラなどを収集。併せて手彫証券印紙の収集を始め、現在はこちらがコレクションのメインになっています。郵趣に加えて音楽(ジャズ)、釣り、鉱石収集、昆虫採集(蛾類)など趣味多数にて家族には迷惑をかけております…

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