-
Asteropyge eonia
ベルギー国境に接するヴィルー・モルハイン(Vireux-Molhain)にはデボン紀の地層があり、周辺のドイツ、ベルギー、などと共通のデボン紀の三葉虫が産出します。現在は国立自然保護区に指定され採掘はされませんが、多くの種類が確認されています。保存状態だけ見ると他のエリアには敵わないのは事実ですが、味わい深い焦げ茶の化石は、欧州の三葉虫らしい渋みを持っています。Greenopsは比較的多く産出しますが、本種を始め数が少ない種類は入手が難しい産地です。
Middle Devonian Calmoniidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-685 JemelleTrilobites
-
Hydrocephalus minor
Jince累層の独特の色合いと艶のある質感が残ります。同じ産地のParadoxides gracilisに近いですが、そこまでは大きくならず、尾部周辺に流れるような棘があり、見た目の印象は異なります。どちらかというとEccaparadoxides pusillusに近い印象があり、EccaparadoxidesとParadoxidesの中間系みたいな感じかと思います。尾部周辺の棘は、柔らかな棘を持っていたのではと推測できる質感です。
Middle Cambrian Paradoxididae,Paradoxidoidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-122 JinceTrilobites
-
Isabelinia glabrata
ポルトガルやスペインといった欧州各地のオルドビス紀の地層から見つかる種類です。フランス産としては、これでの最上の保存状態と言えます。陽の光で煌く母岩に渋い色合いですが、化石らしい風合いが気に入っている産地です。ブルターニュ地方からはオルドビス紀の化石が見つかるのですが、比較的多産するNeseuretus tristani以外の種類を入手する事は、難しい産地です。
Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-138 TraveusotTrilobites
-
Geesops sparsinodosus gallicus
ベルギーとの国境に近いVireuxからフランス産では珍しいデボン紀の三葉虫です。この地域の三葉虫は10年以上前に保護されています。産出量も少なく、保存状態も他の産地を見てしまうと決して良いとは言えませんので、三葉虫コレクターでも注目度は低いかと思います。地域的にも隣接するドイツのEifelと年代的にも近く、モロッコで一般的に産出する種類にも類似しています。
Middle Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-272 JemelleTrilobites
-
Reedops pembertoni
写真で見ると一般的なファコプスに見えますが、幾種類か所有しているファコプスと並べてみると、どこか雰囲気が違うのです。頭高が低くReedopsとPhacopsを足して2で割ったような姿をしています。よく見るReedopsは、複眼の縦列が8とか9あるのですが、この個体は5くらいしかありません。頭鞍も一般的なReedopsは、もう少し前に尖っているのですが、Reedopsの雰囲気を残しつつ丸く収まっています。
Lower Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-696 -Trilobites
-
Phacops.sp.
この標本は、購入後Boeckops stelckiだと自分で同定し保管していたのですが、手持ちのBoeckops stelckiと並べてみると雰囲気が異なり、同じ種類の様には全く思えないのです。頭鞍の鳥肌の様な粒々など特徴は備えているのですが、手持ちの幾つかの論文や図鑑、Web上で検索しても分からず、取り敢えず登録名をPhacops sp.にして保管することにしております。
Lower Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-697 Marakib,MoroccoTrilobites
-
Phacops orurensis
デボン紀ボリビアの三葉虫は、知られている種の殆どがファコプス目の仲間であり、市場に出てくる種類には偏りがあります。P.orurensisは、最も古典的なファコプスの体型をしています。この地の標本はノジュールの中に含まれているので、見つかる多くが部分化石であり、大きな個体程、全体が綺麗に残る標本は数少ないです。
Middle Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-70 BelénTrilobites
-
Metacanthina nsp.cf.munieri
記憶が正しければ2010年位だったと思います。突如として市場に現れた黄土色のMetacanthina、他にはParahomalonotusなど僅かな種類しか見られず、直ぐに市場から消えてしまいました。カサブランカ近郊で見つかるとの事ですが、モロッコに行った事があるので分かるのですが、通常三葉虫が多産するエリアは、アンチアトラス山脈東側のサハラ砂漠、大西洋沿岸のカサブランカとは車で1日は走らないとならない程の遠方の地です。何故ここだけポツンと産地があったのか分かりませんが、普通のモロッコ産と明らかに違う色合いや褶曲の影響を受けている標本は、コレクションするに当たり新鮮でした。
Devonian Calmoniidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-378 -Trilobites
-
Calycoscutellum grafi
状態の良い標本ばかり見ていると何の化石かも分からないと思いますが、スクテラムの一種です。既に絶産のドイツのGeesでは、古くから研究され近年のモロッコ産デボン紀三葉虫でお馴染みの近縁種が産出していました。状態が良くない標本が多いのですが、私の様な欧州古典産地が好みの者にとっては、モロッコ産などよりはるかに格上の産地であります。Geesにおいてもスクテラムの仲間は数は少なく、完全体はまず無いと言って良い位に希少さであります。この標本は完全な複眼と特徴的な尾板の畝がよく分かり、「化石標本」らしい渋さがあります。
Middle Devonian Styginidae,Illaenoidea,Illaenina,Corynexochida TRI-473 AhrdorfTrilobites