-
Flexicalymene retrorsa
Flexicalymeneは、モロッコ産とオハイオ産が多産したので、軽視されてしまいますが、良く見ると完成された姿をしていて、この標本を見ていると美しいなと感心してしまいます。それなりの数が出る産地ですが、完全な防御姿勢で風化が少ない個体を探してみると、コレクターが満足できる品質の標本は少ないのです。 https://muuseo.com/trilobites/items/241?theme_id=20904
Upper Ordovician Calymenidae,Calymenoidea,Calymenina,Phacopida TRI-9-2 ArnheimTrilobites
-
Anataphrus vigilans
見た目が可愛い種類は、見ていて愛おしくなってきますが、このAnataphrusという種類はカエルの様なキャラクターで、三葉虫界の癒し系代表です。オクラホマ州のHomotelus bromidensis(Esker,1964)に近縁ですが、Homotelusと比較すると体の大きさの割に眼の張り出しが大きく、モノコック形状の体にチョコンと飛び出しているのが分かります。川崎市の歯科で国内著名コレクター氏の HPにある個体と、赤字の通し番号が近く同一時期に採取されたものと分かりますが、入手できたのは2000年代前半だけだった様で、既に絶産したのでしょう、もう入手する機会が無くなっている種類です。
Upper Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-357 MaquoketaTrilobites
-
Stenopareia nexilis
スコットランドの著名産地であるガーバン(Girvan)産らしい焦げ茶色の標本です。頭部が折り曲げられてしまっていますが、全体が保存されています。姿としては、ポルトガル等で産出するEctillaenusとほぼ同じで、頭部と尾部が非常に大きく楕円形の体形をしています。
Upper Ordovician Illaenidae,Illaenoidea,Illaenina,Corynexochida TRI-361 South ThreaveTrilobites
-
Pseudogygites latimarginatus
1990年代位までは、Pseudogygites canadensisという名称で市場に出ていました。英国産のOgygiocarellaに似ていて、幅広で厚みの無い体と、良く見ると短く鋭い頬棘があるのが特徴です。この種類は群れで暮らしていたのか複数体の標本も多く見かけます。元々平坦な種ではあったと思いますが、完全にフラットな状態まで圧縮されている感じです。
Upper Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-231 WhitbyTrilobites
-
Lonchodomas suriensis
南米の三葉虫といえば、ボリビア産は少ないながらも目する機会がありますが、アルゼンチン産は入手の機会が限定的です。Lonchodomasの仲間は、アメリカ、モロッコ、イギリス、ロシアと世界各地のオルドビス紀の地層で産出しますが、産出数としてはどの産地も比較的少ない種類です。本来は頬棘や前方先端と3本の長い棘が特徴的な種類ですが、この標本には残念ながら棘は残っていません。
Upper Ordovician Raphiophoridae,Trinucleida,Asaphida TRI-190 Eastern CordilleraTrilobites
-
Hemiarges maccullochi
且つてオルドビス紀後期からシルル紀前期まで豊富な化石が産出し、古生物研究の歴史に重要な役割を果たしたスコットランドGirvan。既に閉鎖され、独特の味わいのある、この地の化石は、世界のコレクターの収集対象でもあります。この産地の完全体のリカスは、英国産を収集しているコレクターなら、如何に入手が難しいか分かると思います。同地からは、Uripes geikiei(Etheridge & Nicholson,1879)という近縁種と見分けが難しいですが、Uripesの方がモロッコのLobopygeに近い感じです。
Upper Ordovician Lichidae,Lichioidea,Lichida TRI-355 South ThreaveTrilobites
-
Eudolatites sp.
比較的大型化した初期のダルマニテスの仲間で、大きな個体ですと15cmを越える個体もあります。産地の特性上、表面が荒れた感じになってしまうことが多いのですが、この種類にしては珍しく複眼が残っています。E.maiderensisという本種より幅広で卵型をした種も確認されていますが、本種まだ記載がされていないようです。
Upper Ordovician Dalmanitidae,Dalmanitoidea,Phacopina,Phacopida TRI-105 KtaouaTrilobites
-
Triarthrus eatoni
軟体部が保存されるニューヨークのTriarthrusは、知られる全ての三葉虫産地の中で最も保存状態が良く、三葉虫研究に重要な情報をもたらして来ました。近年は、この標本でも頭部周辺に点在していますが、三葉虫の卵とされる痕跡も話題になりました。しかし、黄鉄鉱であるが故に立派な標本であっても空気中の水分を吸収し崩壊していくため、WEBや本に載っている様な高額な標本も分解して今は見る影を持たなくなっている標本も多く、購入するのに躊躇する要因でした。当標本は、購入元に寄れば採取から数年寝かせて安定した物を剖出し、腐食防止の薬品で処置した後、コート処理されています。どちらにしても水や陽の光は厳禁であります。
Upper Ordovician Olenidae,Olenoidea,Ptychopariida TRI-153-3 Lorraine ShaleTrilobites
-
Meadowtownella trentonensis
後の時代シルル紀のOdontopleuraに見えますが、オルドビス紀から産出する種類です。Meadowtownellaは、何れも小型でオルドビス紀北米の広いエリアから産出し、カナダ・オンタリオ州やケベック州やアメリカの周辺他州でも産出され、Primaspisもこの種類と同じと考えられています。三葉虫産地としては伝説的産地であるウォルコット採石場より産出しますが、産出量は極めて少なく、比較的見かけるCeraurus pleurexanthemusと比べると入手が難しい種類の一つです。
Upper Ordovician Odontopleuridae,Lichida TRI-427 RustTrilobites
-
Eccoptochile mariana
Eccoptochileは、棘が丸みを帯びている為、見た目がとても可愛らしい種類です。ポルトガルやフランスなど地中海を挟んだ欧州の対岸でも見つかりますが、数は極めて少なく立体的な姿では見つからない産状です。モロッコ産も多産する訳ではないのですが、Eccoptochileを入手するには一番手に入りやすい産地で、10㎝クラスの大型の個体も産出しました。特徴的な尾部の丸い棘だけでなく、頬棘までもが丸く尖っていません。
Upper Ordovician Cheiruridae,Cheirurina,Phacopida TRI-438 Ktaoua GroupTrilobites
-
Flexicalymene retrorsa
アメリカのカリメネの中では、比較的多く産出し有名な種類であります。カリメネというとシンプルで安価なので見逃しがちかもしれませんが、完成された美しいデザインだと思います。Flexicalymene meeki(FOERSTE,1910)とは同じ産地で違いが分からず、もしかしたら雌雄差かもしれません。ただ両者はFoersteにより同じ年に記載されていますので、別種である事は間違いないのですが、現在市場に出回る標本を幾ら比較しても差異が分からないため、同一種として扱う事にしました。
Upper Ordovician Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-9 ArnheimTrilobites
-
Ceraurus pleurexanthemus
北米オルドビス紀を代表する美しい種類です。ニューヨーク州にあるWalcott-Rust採石場は、バージェス頁岩を発見した事で有名なCharles D.Walcott(1850-1927)によって研究されていた伝説の産地であり、Walcottは、この地で最も多く産出する三葉虫である本種から、付属肢に関して研究成果を残しています。半世紀以上所在が埋もれてきましたが、1990年代になってThomas E. Whiteley氏らにより再び発見、採掘されており、市場にも姿を見せるようになりました。
Upper Ordovician Cheiruridae,Cheirurina,Phacopida TRI-315 Rust(Rust Limestone, Denley Formation, Trenton Group)Trilobites
-
Ampyxina bellatula
ミズーリ州産という珍しい産地ながら以前は安価で入手できる種類でした。本来は頬棘があったと考えますが、そこまで残っている標本は極僅かです。頬棘がある個体を見ると細くて意外と長い頬棘があった事が分かります。よく薄茶色に保護剤が塗られている標本がありますが、本来はこの標本の様に母岩と同じ色をしています。近縁の種類同様に本種も群れで暮らしていたのか、屡々複数個体の標本も見かけます。
Upper Ordovician Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-21 Ampyxina bellatulaTrilobites
-
Onnia superba
Trinucleoidea(超科)の中では、最も立体的で保存状態の良い標本が産出するモロッコ産の代表種です。鰐に大きめの孔が規則正しく並び、後頭部から鋭く短い棘が後ろにあるのが特徴です。群れで暮らしていたのか、10体以上の個体の群衆の標本が以前は良く出回っていて、それらは人気があり非常に高額で取引されていましたが、近年は見かけなくなりました。
Upper Ordovician Trinucleidae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-73 KtaouaTrilobites
-
Thaleops ovata
Iowa以外にも隣接するWisconsinからも同種は産出します。ただ、どちらも産出は非常に少なく、入手が困難な種類となっています。ロシアのIllenusに似ていますが、大きさはロシア産の様に巨大化はせずに、精々この標本の様に3㎝程度の大きさしかなりません。比率からは不自然な程に大きな頭部に、張り出した大きな頬棘が特徴的です。この標本は、頭部のシミ状に見える部分は補修されています。
Upper Ordovician Styginidae,Illaenoidea,Illaenina,Corynexochida TRI-512 MaquoketaTrilobites