-
Coronocephalus gaoluoensis
Coronocephalusは、三葉虫収集家には悩ましい存在です。中国名で王冠虫を名乗る様に美しい種類であり、顔縁の装飾や無数の棘、黄橙色の映える色合いなど、平坦な種類でありながら、孤高の存在感ある種類です。不完全な標本なら二束三文の価値しか無いのですが、ほぼ完全な個体など長年探しても出て来ませんので、ある程度の所で諦めるしかない事に気が付きます。そうは言っても何時か入手のチャンスが来るだろうと気に掛けてはいますが、20年以上収集してても変わりはありませんでした。産地情報も実は謎が多いのですが、市場に出回る個体は湖南省のものと見ています。
Lower Silurian Encrinuridae,Cheiruroidea,Cheirurina,Phacopida TRI-30 XiushanTrilobites
-
Acernaspis orestes
シルル紀カナダのJupiter累層から、圧縮の影響が少なく透明感さえある質感の良い標本が近年出回るようになってきました。出回るといっても数は多くはありません。この種は、初期のファコプスの仲間であるAcernaspisです。ファコプスの代名詞ともいえるデザインは、丈夫な殻と完全に丸くなる事のできる防御態勢、高度に発達させた複眼と棘棘とは違う防御方法を確立し、デボン紀には一時代を築きました。
Lower Silurian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-466 JupiteTrilobites
-
Calymene gamachei
カナダ東部のセントローレンス湾に浮かぶアンティコスティ島からは、シルル紀の非常に美しい三葉虫が産出します。圧縮も無く細部も細かく、世界のシルル紀三葉虫産地の中では最も保存状態が良いと思います。本種も右頬部が産出時と思われる欠損がありますが、立体的で割れや褶曲の影響のない美しいカリメネの姿を留めています。 【標本リンク】FFストア http://www.ffstore.net/detail/cly_012.html
Lower Silurian Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-520 JupiterTrilobites
-
Acernaspis quadrilineata
デボン紀では、主役と言ってよい位に栄華を極めたファコプス超科の仲間ですが、最初から繁栄した訳ではありませんでした。同じファコプス目でもチェイルルス超科は、オルドビス紀に栄華を極め、カリメネ超科がシルル紀に栄華を極めましたが、ファコプス超科の仲間は、ProchasmopsやEstoniopsなどが初期型の仲間が出現するものの、まだマイナーな存在のままでした。シルル紀にやっとファコプスらしい原型となる種類が出現するのですが、それが、この小さなAcernaspisの仲間です。この形から後のデボン紀に繁栄する基本となった種類なのです。この標本は、体にウミユリの仲間が一緒に化石となって乗っています。
Lower Silurian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-467 -Trilobites
-
Diacalymene schucherti
始めてこの種類の実物を見た時は、圧倒的な存在感に度肝を抜かさた事を覚えています。大きさ的にはモロッコで多産するDiacalymeneより、やや大きい程度なのかもしれませんが、本種の希少さは桁違いで、この大きさの完全体は実は世界にも数個体しかないとされます。どちらかというと三葉虫コレクターならその希少さが分かれど、一般の人が見た場合は、安価なモロッコ産Diacalymeneとの差が分からないのではと思われます。
Lower Silurian Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-677 JupiterTrilobites
-
Odontopleura(Sinespinaspis) markhami
古くから知られる種ですが、オーストラリアは化石の輸出が法律で禁止されている事もあり、近年は特に流通する事が無くなりました。一昔前までは、Sinespinaspisと呼ばれていた種類ですが、このデザインの代表であるOdontopleuraの属名で確定しています。チェコ等でほぼ同様のデザインの小型種も知られており、シルル紀ではどの産地でも小型のもの産出しかありません。オーストラリア産では、自在頬(free cheek)が紛失している標本が多く、ある程度納得できる標本に出会えるまで幾度か買い直した経験があります。小さい標本ですが、胸部から垂直方向に規則正しく毛の様な細かい棘が出ていた事が分かります。
Lower Silurian Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-29 Cotton HillTrilobites
-
Spathacalymene nasuta
カリメネは、時代や産出地が違っても基本的に同じ形態ですが、この種類は一目で区別できる大きな吻を持っています。吻の使い道は謎ですが、幼体ではそれ程は発達しておらず、成体となって立派な吻となる事が知られています。本種の希少性は、幼体はまだ少しは入手可能ですが、成体の完全体は産出量が極めて少なく世界にも数えるほどしかありません。当然コレクター憧れの種類で、カリメネにこれ程の金額を出せるかと思うほどの高額種として知られます。
Lower Silurian Calymenidae,Calymenoidea,Calymenina,Phacopida TRI-574 OsgoodTrilobites