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Pseudophillipsia sp.
イタリア北東部、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア自治州は、東アルプス山脈を隔て北にオーストリア、東にスロベニアに国境を接します。この辺りのアルプス山脈は、石炭紀からぺルム紀の石灰岩が広がり、少数ながら三葉虫も産出する事が知られます。メキシコPest Museumの図鑑が数少ない情報ですが、P.elegans(GEMMELLARO)やP.gemmellaroi(GRECO)などが産出する事にはなっています。購入時は石炭紀となっていて事実、後期石炭紀の地層もあるのですが、Pest Museumの図鑑に合わせペルム紀で登録しています。私の所有する全三葉虫コレクションの中でも、最も入手困難な標本の一つでないかと思っています。
Lower Permian Phillipsiidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-757 Val DolceTrilobites
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Amphilichas subpuntatus
Amphilichasという種類は極めて珍しく、オクラホマのこの地での完全体は出ていないのでないかと思われます。三葉虫コレクターならオハイオ州Arnheim FormationからA.halliが知られていますが、どの程度の価値になるか分かるかと思います。頭部だけのこの標本も産出した事自体が驚くレベルであり、部分化石とはいえ、数がある訳ではありません。剖出もあのBob Carroll氏が自ら担当したとの話です。拡大してみるとリカス(Lichida)らしい細かい顆粒が残されており、この産地の細部の保存の良さが分かります。
Ordovician Lichidae,Lichioidea,Lichida TRI-263 BromideTrilobites
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Meteoraspis dis
この標本は、三葉虫コレクターのバイブルと言える「The Back to the Past Museum Guide to TRILOBITES」に掲載されている本種の世界的代表標本であります。本種の特徴は、何といっても尾部の鉤状の1対の短い突起が特徴です。下側の大きな個体は、頭鞍部の中央が埋められている補修がありますが、本種の希少さから欠点にはなりません。
Middle Cambrian Crepicephalidae,Ptychoparioidea,Ptychopariida TRI-534 WeeksTrilobites
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Lanceaspis hammondi
2013年位に突如出現し、世界のコレクターに衝撃を与えた新種です。産地は一瞬で枯渇し、完全体のレベルの高い標本は、本標本を入れて世界に数個しかないと言われます。僅かに産出した個体の多くも部分化石であり、一時期コンポジット個体まで高額で取引されていました。モロッコ産は絶産と言われても待てば、その後に少し離れたエリアから産出するパターンもあるのですが、本種はピタッと出てきません。頭部の吻ばかりが注目されますが、尾部も特徴的です。
Lower Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-614 -Trilobites
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Diacalymene schucherti
始めてこの種類の実物を見た時は、圧倒的な存在感に度肝を抜かさた事を覚えています。大きさ的にはモロッコで多産するDiacalymeneより、やや大きい程度なのかもしれませんが、本種の希少さは桁違いで、この大きさの完全体は実は世界にも数個体しかないとされます。どちらかというと三葉虫コレクターならその希少さが分かれど、一般の人が見た場合は、安価なモロッコ産Diacalymeneとの差が分からないのではと思われます。
Lower Silurian Calymenidae,Calymenina,Phacopida TRI-677 JupiterTrilobites
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Kuanyangia pustulosa
澄江の三葉虫の中でも最も入手がし難い種類の一つです。大型のレドリキアで、実物は迫力があり見とれます。全身がツブツブに覆われていて質感が高く、澄江化石の凄さが実感できる標本です。この標本には澄江の標本らしく、触覚が残されています。澄江は、2012年に「澄江のラーガーシュテッテ保護地域」という名称で世界遺産に登録され、出回る標本は古いコレクションだけになってしまい、ますます希少価値が上がっています。Negative側からも体表面全体に小さなツブツブがあるのが、良く分かります。 (中国名/丘疹关杨虫) [Left side:Positive,Right side:Negative]
Middle Cambrian Redlichiidae,-Redlichioidea,Redlichiida TRI-230 HeilinpuTrilobites
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Dicranopeltis nereus
私の安価な標本中心コレクションの中で高額な標本の一つです。採取出来た頃でも一年に1体も採掘されることが出来ない貴重な種類でしたが、Rochester Shaleが閉鎖された現在は、もう購入できない位に価値が急騰している種類です。全身が顆粒に覆われていてリカスの仲間らしい不気味さと華麗さを併せ持つ存在感がある種類で、三葉虫コレクター憧れの種類となっています。
Middle Silurian Lichidae,Lichioidea,Lichida TRI-200 Rochester ShaleTrilobites
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Acanthopyge consanguinea
この種類を保有しているコレクターは、さすがに少ないと思います。かつて「Bug X」と呼ばれ、実物を目にする機会が無い幻の三葉虫でありました。入手したくても、そもそも市場に姿を現わさず、コレクター間で取引される様な特殊な種類でした。見た目は、モロッコのAcanthopyge(Lobopyge)と大きさも変りませんが、やや華奢なのは、Dicramurusなどモロッコと共通する種類と同じ様にオクラホマ産の特徴です。この標本は、「Black Cat Mountain」ブランドでも伝説的プレパラーターのBob Carroll氏による絵入サインが底面にあります。
Lower Devonian Lichioidea,Lichida TRI-350 Bois D'ArcTrilobites
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Spathacalymene nasuta
カリメネは、時代や産出地が違っても基本的に同じ形態ですが、この種類は一目で区別できる大きな吻を持っています。吻の使い道は謎ですが、幼体ではそれ程は発達しておらず、成体となって立派な吻となる事が知られています。本種の希少性は、幼体はまだ少しは入手可能ですが、成体の完全体は産出量が極めて少なく世界にも数えるほどしかありません。当然コレクター憧れの種類で、カリメネにこれ程の金額を出せるかと思うほどの高額種として知られます。
Lower Silurian Calymenidae,Calymenoidea,Calymenina,Phacopida TRI-574 OsgoodTrilobites
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Asteropyginae gen. et sp. indet
モロッコ産を多く収集しているコレクターであれば、本種が近縁の何れの種とも同じで無い事に気付くでしょう。大きさは2cm程度と大きくはありませんが、尾部の棘がPsychopygeの様に長く、Metacanthinaの頭部を組み合わせた様な姿をしています。過去に多くのモロッコ産を見て来てはいますが、同じ種の個体は見かけず、デボン紀モロッコ産において最希少種の一つと考えます。 【標本リンク】 FFストア http://www.ffstore.net/detail/ncl_001.html
Middle Devonian Calmoniidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-646 -Trilobites
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Olenoides paraptus
カンブリア紀北米の代表種と思われているOlenoidesですが、アジアでも産出する貴重な例です。バージェスやユタ系より古い時代に当たる為、これらのOlenoidesの先祖である可能性もあります。尾部の太く鋭い棘はOlenoidesそのものですが、ユタ産の様な派手さは、まだ見られません。中国産三葉虫において最入手困難種と言ってよい程の希少種で、凱里の重要性が国際的に認識されている現在において、中国国内から持ち出すことは不可能に近いです。 (Left side:Positive/Right side:Negative)
Middle Cambrian Dorypygidae,Corynexochoidea,Corynexochina,Corynexochida TRI-701 Kaili(凱里)Trilobites