-
Barrandia homfrayi
イギリスの三葉虫、バランディア・ホムフライ (Barrandia homfrayi) です。 属名は、かの有名な大家ヨアヒム・バランデ (Joachim Barrande) 先生からとったものと思われます。一方homfrayiは、ソルターなどとも交友のあった、19世紀初頭の化石蒐集家のデービット・ホムフレイ (David homfray) 氏由来と思われます (その確証は見つかりませんでしたが、おそらく) 。 人名 (属名)・人名(種小名)という、ネーミングからして面白い種です。余談ですが、Paradoxides davidisの種小名は、後者のfirst name由来であるようです。 ご覧の通りfree cheekが欠損しています。本当は楕円形のフォルムを持つ種なので、頬の有る無しで見た目がガラッと変わります。ただし本種のみならず、このような頭鞍が大きな三葉虫では、頬部が欠損してこそ異形感が醸し出される気がします。頬があるにこした事はありませんが、これはこれで私には面白く思えます。 イギリスらしい、風化した色合いの母岩・標本もいい感じです。
Lower Ordovician Hope shales Llanerch dingle, shropshire, UK Barrandia homfrayitrilobite.person (orm)
-
Trinucleus fimbriatus
イギリス、ウェールズ地方のランドリンドッド・ウェルズ産のトリヌスレウス・フィンブリアトゥス (Trinucleus fimbriatus) の標本です。 属名からも分かる通り、トリヌクレウス超科 (Trinucleoidea) に属しております。この仲間は、長い頬棘、丸い外形、頭部辺縁の多数の小孔を特徴とし、特にモロッコのオンニア (Onnia superba) やデクリボリサス (Declivolithus titan) などが特に有名です。 イギリスには非常に多くのこの仲間がおりますが、頬棘がなく外殻の状態が悪い標本が大多数を占める事から、一見地味に見えてしまい、積極的に集めるコレクターは多くはありません。しかし、長い頬棘の残る保存の良い標本は、美しく、かつ面白くもある外見をしており、決して軽視できる種類ではありません。 本種もほとんどの個体で頬棘などは失われておりますが、この標本は頭胸部などが非常に立体的で、辺縁の小孔や頬棘の先までもがしっかり残っており、実に見応えがあります。
Lower Ordovician Mudstones Llandrindod Wells, Powys, Wales, UK Trinucleus fimbriatustrilobite.person (orm)
-
Asaphus intermedius
ロシア産の標本が少ない当館ですが、こちらは数少ない同産の手持ちとなります。 私は、"かたつむり"三葉虫こと、アサフス・コワレウスキイ (Asaphus kowalewskii) が好みでして、この標本を入手する前には、当初は同種を求めておりました。しかし、直前で眼軸が長いコワレウスキイを管理出来る自信がなくなり、では代替としてとのことで、そんなに眼軸が長くなく、それでいて短くもない、本種アサフス・インターメディウス (Asaphus intermedius) を入手することに決めた、と言う謎の経緯があります。 結果的には、今では本標本はかなりのお気に入りであります。 コワレウスキイに比べると控えめながらも、しっかり飛び出た眼軸、ロシア産特有の美しい見た目、カエルか何かを思わせるコミカルな風貌など、見ていて飽きません。
Lower Ordovician Asery level Vilpovitsy quarry, St.Pertersburg resion,Russia Asaphus intermediustrilobite.person (orm)
-
Pseudosphaerexochus hemicranium
シュードスファエレクソクス・ヘミクラニウム (Pseudosphaerexochus hemicranium) です。 本標本のサイズは15mm程度ですが、最大でも30mmと小型の種です。小さくはありますが、泡状頭 (Bubble head) とも評される大きな膨らんだ頭鞍、ちょこんと可愛らしい眼、フリルのような尾部など、各部位が特徴的で、全体的に奇妙さと可愛らしさを兼ね備えた種です。オルドビス紀英国で産出する、シュードスファエレクソクス・オクトロバトゥス (Pseudosphaerexochus octolobatus) という類似種がいて、サイズこそ本種の2~3倍ですが、見た目はとても良く似ています。 ロシア産三葉虫の中でも、非常に希少な種でもあり、この小ささにも関わらず高額な種でもあります。とても可愛らしいアイドル的な三葉虫であります。 本プレートは、後方に存在感強めの大きなウミリンゴが控えており、全体的な構図も素晴らしい標本です。
Lower Ordovician - Voybokalo quary, St. Peterburg, Russia Pseudospharexochus hemicraniumtrilobite.person (orm)