今後のコレクション方針について
初版 2023/03/05 17:48
改訂 2023/03/10 00:46
改めて今後の蒐集の方針らしきものについて書き留めてみようかと思う。元々、私のコレクションの方向性など、あって無いようなものだったが、5〜6年程度それなりにコレクションを続けていると、偏りというものが生じてくる。
これまで蒐集した標本を改めて時代別に見ると、カンブリア紀、オルドビス紀、デボン紀の標本が同程度の数で、シルル紀が中間的、石炭紀は少なく、ペルム紀は極端に少ない。殆ど三様虫の繁栄の程度、及び市場に出回る各時代の標本の相対数に対応しており、どうも私は、どの時代の種が好みという偏奇はないようだ。
実際、どの紀の種が好きかと尋ねられても明言し難い。金子みすゞ氏の言葉を借りれば、”みんなちがってみんないい”としか言いようがない。
一方、産地別に見ていくと、これには偏りがあるように思う。他のコレクターの方々との、何となくの比較で見れば、比較的に英国産や北米産、次いで中国産、そして国内産が多い。モロッコ産は、絶対数としては多いが、全体の中の割合としてはモロッコ産にしては少なめだろう。ロシア産に至っては、未だ数標本しか持っていない。
英国産は、ダドリーやガルヴァンといった古典的産地の歴史的・アンティーク的要素が魅力的で、三様虫自体もそのデザインが実はユニークなものが多く、蒐集欲をくすぐる。反省点としては、これまで入手を急くあまり、質のそれほどよくない標本も集めてしまっていて、これは今後改善したい。
北米産は、私の好みの分類群が多い。USAでは特に好みのオレネルス類、カナダでは格好いいケイルルス類が充実しており、母岩にまで漂う上品な雰囲気も手伝い、つい手を出してしまう。
中国産は、他の産地より更に古い時代の産地が多い事に惹かれており、あと新種がどんどん出てくる事も楽しい。ずっと欲しかった、普遍種 (Coronocephalusなど) の良質な標本も、機会があれば手に入れたいものだ。
国内産に関しては、特に一部産地(岐阜県福地)に個人的に異常な執着があり、後世に残す意味も兼ねて、集め続けている。
対して、モロッコ産とロシア産の手持ちの少なさは何故だろうか?
モロッコ産に関しては、市場に出回る標本の多さが、逆に仇となっているのかもしれない。欲しいと思う種は多いが、選択肢が多すぎて色々迷っているうちに、結局手が出せなくなってしまった気がする。あるいは、超絶技巧クリーニングものが、どんどん登場する産地なので、たとえ欲しい種を見つけても、もう少し良い質のものがいいなぁなどと考えているうちに、延々と保留が続いてしまう事もあるだろう。奇抜なトゲトゲ種も依然魅力的なのだが、何気に今欲しいと思うモロッコ産は、一般種の高品質な標本が多い。
ロシア産については、これは、なまじっか蒐集初期に手を出さなかっただけに、理想ばかりが変に高くなり、簡単に手を出せなくなってしまった事があるのだろう。あと、他の産地ならすぐ買われてしまうような超希少種でも、超高額なので中々買い手がつかず、まあ後でいいか(というより、他の方同様高すぎて買えない)という妙な安心感もあるのだと思う。実のところ、ロシア産は代表的な種と特に好きな種以外は、ぼんやりとしか把握しておらず、まずは図鑑 (Ordovician trilobites of the St. Petersburg region) を買う事が第一なのかもしれない。
最後に欧州産については、チェコ然りドイツ、フランス然り、シックで好みの標本が多い気がするのだが、市場に出回る量が少ない事もあり、全貌が把握できていない。集中的に集めるというよりは、これまで通り、おっと思う標本があった際に、検討するという形になるのだろう。
以上を踏まえて、muuseoの他の蒐集家の方(ktrさん)の文章に倣い、今後の方針を以下に記す。
こういう戒は普通、"〜しない事"と否定文での箇条書きが一般的であると思うものの、意志薄弱な私は、即日禁を破る自信があるので、敢えて"〜したい"という形で記載してみる。
1. 英国産の種は、質の良いものを中心に極力集めたい
2. 北米産は、好みの種(オレネルス類、ケイルルス類)を中心に、機に恵まれた際に経済的余裕があれば集めたい
3. 中国産は、最古の産地、質の良い普遍種、新種に注目して集めたい
4. 国内特定産地産は、引き続き網羅を目指して集めたい
5. モロッコ産は、質の良い一般種を中心に集めたい
6. ロシア産は、標本よりまず図鑑を買う
勿論上記6箇条の前提として、それが心惹かれるワクワクする標本である、という事は言うまでもない。
などといいつつ、1年半前の私は、最後の方はそれ程心惹かれなくても、蒐集行為自体が目的化していたといいますか、網羅を目指して (三様虫化石蒐集で、そんな事出来るはずもないのだが…) 半ば盲目的に集めてしまっていた気もする。蒐集がストップする一因になったようにも思うので、今後、これには特に注意したい。
trilobite.person (orm)
化石が大好きです。現在主に集めているのは三葉虫ですが、恐竜やアンモナイトを含め化石全般が好きです。これまで買い集めた、あるいは自分で採取した標本を紹介していきます。古生物の持つ魅力の一端でも伝える事ができれば幸いです。
http://blog.livedoor.jp/smjpr672/
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ktr
2023/03/05 - 編集済みいい感じですね。
読んでるだけでわくわくしてきます。
1から6までのうち、私と重なるのは1だけなので、もっている標本に共通のものが少ない理由がわかったような気がしました。
2、3、4は従来路線の延長ないしは発展でしょうか。
5は王道ですね。
6の図鑑は、写真の質としてはいまのSPPLのオンラインのほうがずっと上です。
ただ、個々の種について詳しい記載があるので、その点では重宝しますよ。
trilobite.person (orm)
2023/03/05muuseoを始めて良かったなと思う事に、これまでブログなどで方々に散らばっていた三葉虫コレクターが一堂に会することで、コレクター同士の共通点と相違点が炙り出されて、面白く感じるという事が一つありますね。
2、3、4は確かに以前の私の方針とほぼ変わりませんね。1も"質の良い"という文言が加わっただけですし、5に至っては、これ以上モロッコトゲトゲ種まで手を伸ばす事が厳しいという、本音を隠す為の虚勢、酸っぱい葡萄のようなものなのかもしれません、、。
SPPLの図鑑、知りませんでしたが、そんな感じなんですね。情報ありがとうございます。個々の種の記載があるのは良いですが、けして安い本ではないですし、少々迷ってしまいますね。
ktr
2023/03/05がっかりさせるようなことを書いてしまったかもしれませんが、カラー写真はともかくとして、原記載論文からの写真や図版も豊富で、アサフスやイレヌスの同定ポイントも書いてあって、ものすごく読みごたえがあります。
しかし今確認したら、値段がひどく上っていますね。
これはちょっとお勧めするのをためらってしまいます。
Kindle版もあるようなので、そちらが使えるようでしたら、そのほうが安上りですね。
trilobite.person (orm)
2023/03/05追加情報をありがとうございます !
今の私には多くのロシアンアサフスやイレヌスがまだ同じにしか見えないので、それらの同定ポイントが記載されている項は貴重です。
それとkindle版もあったとは意外です。図鑑は書籍で欲しいタイプなのですが、kindle版は随分値段がお値打ちなので、経済的に抗い難い魅力がありますね。
Trilobites
2023/03/09 - 編集済み一度、標本整理されるとあったので、より質に拘って行く方針ですね。何度も買い直すのも有りとは思いますが、今の剖出レベルを超える物は、将来的にも無いと思いますから、コレクションとして見た時に結果的に良い判断かと思います。
trilobite.person (orm)
2023/03/10その通りですね。種数的な意味での量も重要かもしれませんが、今後はスペースの余裕もちょっと無くなりそうですし、昔のように自由に使える資金もだいぶ厳しくなりそうなので、量をぐっと減らしてでも、質を上げていく方針で行きたいなとは考えております。暫くは放出が購入を上回る気がしますが、気長にやっていこうと思っています。
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