化石の母岩について
初版 2024/06/16 08:15
改訂 2024/06/23 11:03
最近、母岩の大きな化石標本を手に入れる機会があったので書いてみました。皆様もよくご承知だと思いますが、母岩とは化石標本の周りについている石のことです。
私は母岩が付いている標本が好みです。やはり化石の周りに石が残っていると、どのような土の中で化石になったのかが分かりますし、周りに石が付いている方が、化石が生き生きとして見えるので。
特に同じ種類や別の種類の三葉虫や、アンモナイトが複数付いている群集化石、三葉虫などメインの化石以外に、腕足類や海綿などその当時一緒に生きていた生き物が一緒についている化石が好きです。そのような化石は、まるでよく出来たジオラマのような風情を感じます。
どちら様かのSNSで、母岩は大きい方が良いという記事を見かけたことがありますが、確かに母岩が大きい方が迫力が出ます。流行りもあると思いますが、全て母岩を除去して化石単体にしたもの(一時期の三葉虫、アンモナイトは現在も)に比べ、母岩があるほうが迫力が出ると思っています。
ただ、母岩があると大きくてかさばり、そして重いです。ちょっと大きな化石になると、大きさもですが片手で持てないような重さになってしまいます。化石のコレクターの方が、家の床が抜けると言っておられたのを耳にしたことがあります。冗談だと思っていましたが、凄い量のコレクションをしている方は、本当に床が抜けるぐらいの重さになるのかも知れません。
話は変わりますが、日本産の化石は母岩付きの標本が多い気がします。母岩のクリーニングのしやすさも関係するでしょうが、日本はアマチュアの採集者が多いのと、母岩付きの標本に風情を感じる方が多い気がします。
一方、外国産の化石は、一時期の北米産の三葉虫や、アンモナイト(特にマダガスカル産のアンモナイト)は、化石単体にされています。これは流行も関係していると思いますが、商業として流通している産地の化石は、出来るだけたくさんの量を低コストで運搬しないといけないので、母岩を取り除いてしまうと聞いたことがあります。
モロッコやロシア産の、複雑で繊細な化石は、母岩を残して置かないと母岩にネジ穴を開けたり、結束バンドで止める部分が無くなるので、母岩が残っている場合がほとんどです。ただ、母岩の残し方もセンスが必要なんだと感心してしまう標本があります。石から作品を掘り出す、芸術家に近いのではないでしょうか?トッププレパレーターの方々は芸術のセンスも抜群だと思います。
と、また薄っぺらな考えを長々と書いてしまいましたが、母岩が付いている標本はカッコイイけど、大きすぎると置き場所が大変という話でした。
トリロモト
最近化石が好きになり、集め始めました。
主に三葉虫とアンモナイトを集めていますが、気になる化石も集めています。
名称、産地等の情報は手に入れた時の情報を記載しています。
化石の知識が乏しいので、読み方や間違いを指摘して頂くことは大歓迎です。
ただし、ネットリテラシーに配慮したコメントをお願いします。
当面更新頻度が多目です。フォロー頂いている方はウザいと思われるかも知れないです。申し訳ございません。
ミューゼオの流儀に慣れていないので、無言フォローをします。すみません。逆に無言フォローして頂くのは全く問題ないです。
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trilobite.person (orm)
2024/06/16興味深い話題ですね。鉱物や化石を集めてている人は、母岩の有無や、母岩をどこまで整形するかなど、自分なりの好みが出てくるようですね。一般的には、保管が大変ですが、大きな母岩付きで本体が中央あたりに鎮座する伸びた標本が好まれるような気がします。私も母岩の大きな化石が好きですし、トリロモトさん同様、他の生物が一緒に共産している標本が好みです。当時の海底ジオラマをみているようで、ワクワクしますよね。例えば、最近のハミー氏の作品などは、三葉虫まわりの微小生物も含め全て残すのがブームらしく、私的にはとてもいい感じに仕上がっていますね。いくつか手に入れてみたいものです。
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トリロモト
2024/06/16コメントありがとうございます。私も大きな母岩の真ん中に、真っ直ぐ伸びた本体がある標本が一番好きです。さらに周りに当時の生物が数種類付いている標本はずっと見ていられます。
最近のハミーさんの標本は凄いですね!三葉虫の周りに付いている微生物を、全て残す勢いで剖出されているように思えてしまいます。肉肉しい三葉虫が、さらに生きているかのように見えてしまいます。芸術作品ですね!金額と争奪戦が凄いので、なかなか手に入れられないですが。
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Trilobites
2024/06/22 - 編集済み確かに母岩は大きい方が良いのは事実ですが、数が増えてくると置き場所の問題が出て来ますので、センスある配置など全体の美的要素を優先してますね。個体自体が同じ保存状態でも、!とくる標本は母岩を含めた全体を含んだ評価になる気はしています。私がMUUSEOでも最後の写真は必ず全体が写る写真を持ってくるのは、そんな意図もあります。
複数個体や異種共存の化石は、私も魅力的と捉えていますが、三葉虫コレクターにも様々な趣向はあるので、他方のコレクション何かを見ていくと、顕著に方向性が分かり面白いなと思います。
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トリロモト
2024/06/23コメントありがとうございます。数が増えてくると置き場の問題は重要ですね。手のひらサイズや研磨済みのアンモナイトのように多少雑に扱っても破損の心配がない標本は、一つの箱に詰めて保管も出来ますが、母岩が無駄に大きいと場所も重さもありかなりかさばるということを最近知りました。
母岩のバランスで評価が変わることは納得です。一流のプレパレーターの方はやはり美術的センスを母岩にも感じます。必要最小限の母岩でもカッコ良さを感じます。全体写真はそういう意図をお持ちだったのですね。勉強になります。
コレクションを見るとそのコレクターの方の嗜好がわかるのですか。これからはその視点でも他の方のコレクションを見てみます。異種共存の化石は意外性や見た目のインパクトが大きく好きなのですが、モロッコの異種共存化石は、本物か贋物か判断に困る場合が多いです。ただ、一つの種として標本を見る場合は、複数個体や異種共存の標本は対象の印象が散ってしまうように感じています。絵なら一点物ものと、風景画のような違いを感じます。
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