雑感二題 修復と保存

初版 2021/05/22 14:38

改訂 2021/05/22 21:46

ご無沙汰しております。

40000人御来訪記念の「いいね」ありがとうございました。

少し前ですが、映画『戦場のメリークリスマス』のポスターが盗まれたとの報道がありました。その後、騒ぎに恐れをなした本人(の関係者?)からポスターそのものは返還されましたが、ぴったりと折りたたまれた状態であったとのこと。


もともと軽い折り目はあったのですが、それに重ねるようにさらに折りたたまれていたらしく、現状が損なわれてしまったことには変わりありません。



占領下の沖縄で発売された「プリンス」。これは包装作業時の自然な折れだがそこからシワが発生

光沢紙の類は、表面の加工と芯になる紙の強さが違い、折り曲げると表面の加工が崩落し紙の地色が出現、「白い線が走ったようなシワ」となり美観を損ないます。

またその部分だけ内部の紙が表面にさらされ、湿気の影響を受けやすくなります。私の展示するパッケージも1960年代から光沢紙の使用が増え、「シワ現象」のみられる品物は少なくありません。


残念ながら修復する手立てはなく、気をつけないと傷む一方です。カード類などの紙モノコレクター諸氏もこの点には憂慮されておいでのことと思います。そうしたことを考え併せますと、このポスターを盗んだ「真犯人」は、ただ盗んだ以上に罪深いのではないかと思うのです。


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図書館の蔵書を損なった場合、市販のセロハンテープで個人修復しないでほしいという、ある司書氏のtweetが話題になりました。


破損⇒セロハンテープで(密に)修復⇒バレないように(ポストへ)返却⇒

そのまま何年か経過⇒劣化したころに誰かが発見


セロハンテープは劣化に伴い茶色に変色し、接着剤は粘る部分と油脂分らしきものに分離します。粘る部分は表面に浮き出し、油脂分らしきものは紙に沁み、その部分だけ透き通って見えます。


専売局の「朝日」(1948~1949.6)。セロハンテープは全て落とし、和紙で裏打ちし軽く「修復」

セロハンテープ劣化の修復に、溶剤で粘りのある部分を溶かし、ある装置でそれを吸引して除去する方法を試みている図書館がありますが、かなり大掛かりで素人には真似できません。


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以上、二つのトピックでお話申し上げましたが、これらが目についたのには理由があります。私がコレクションするタバコのパッケージは、「保存方法」が確立されていない頃の収集品も多く、「今から見れば残念としか言えない方法」でファイルやアルバムに収められているものが少なくないからです。

私の私見ですが、紙モノコレクションには

「修復のセンス」「保存のセンス」これらが不可欠なのではないかと思います。

傷ついたものを大事に出来るように、また無駄に傷つける結果にならないように、そう努めたいものです。



占領下の沖縄で発売された「さわやか」。おそらく、ビニール袋へ保存する際、当て紙をしたのだろうと思われる。当て紙選びに失敗して、インク移りが発生した例

#日記

#タバコ

 

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    貴方の手は何時も青い♡

    2021/05/22 - 編集済み

    お帰りなさい、又楽しませてくださいねー

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    • Tyranosaurus rex

      shirotanino

      2021/05/22

      ありがとうございます~この間、仕事もそれなりにありましたが収穫もありましたので、どうぞご期待を!!

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