螺鈿の滝 ~ 七寸四段 螺鈿蒔絵重

初版 2022/09/29 14:34

改訂 2023/06/03 22:47

螺鈿の工芸品は美しいものが多いです。私も何点か螺鈿の作品を持っていますが、その中でもこの琳派風の蒔絵重は特別美しく異彩を放っています。江戸中期の作品だと思います。結構傷みがあるのですが、出来が良いだけに迂闊に手出しできないままです。

大きさは七寸ほどの中型のものです。花と葉の種類を調べたのですが、未だに何かよく分かりません。螺鈿の葉脈が滝のように下に流れています。

琳派のような流れのある蒔絵ですね。

花の一部は切金のような銅板が貼られているようです。

写実的というより単純化された蒔絵です。

かなりの長さの貝片が使われていますが、もうアコヤガイはこの時代にもなかったでしょう。

重箱には沈金の施された箸が付属していましたが、このお重は輪島ものではないはずです。

重箱の木地はかなり薄手の部類に入ると思います。狂いもありません。

蓋も葉の大きさに変化を付けて工夫された図案になっています。

立派なものではありませんが、共箱もかなり古そうです。

ガラクタの多い私ですが、この作品だけは「美術館級」だと思います。入手するのにかなり散財しましたので、その後しばらくひもじい生活をしていました(笑)。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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