奥が深いです!「塗屋造り」~重要文化財 東松(とうまつ)家住宅

初版 2024/08/30 21:09

改訂 2024/09/09 20:02

明治村2丁目、重要文化財 東松家住宅に来ました。名古屋市の中心部、堀川の近くにあった町家です。東松(とうまつ)家は明治20年(1887)代後半までは油屋を生業としており、その後は昭和のはじめまで堀川貯蓄銀行を営んでいました。創建以来、何度も増改築を繰り返しました。もともと江戸末期には平屋だった建物を、明治28年(1895)に後方へ曳いて移動させたうえ、2階の前半分を増築して現在の店構えにしました。さらに明治34年(1901)、3階より上の部分を増築したとされています。

「塗屋造り」という江戸時代から続く伝統工法を用いられているこの建物は、間口4間(7.27m)、奥行き8間半(15.4m)、切妻造りの屋根をのせた3階建て。間口が狭く奥行きの深い「京町屋」のようなお宅です。

ちなみに塗屋造りに関しては十年ほど前、輪島に行った際、輪島屋善仁さんの「塗師の家」を見せて頂きました。【日本の粋】を詰め込んだ本当に素晴らしい建物でした。日本家屋では並ぶものがないくらいの作品です。しかし、残念ながら今年1月の震災ですべて焼失してしまいました😭。輪島の方たちは今もまだ不自由な生活を送っておられるはずです。

塗師の家 | 輪島塗の老舗 輪島屋善仁 | Wajimaya Zenni

塗師の家こちらのページでご紹介しております「塗師の家(ぬしのいえ)」は、江戸後期から明治にかけて建築された町家を、1990年に弊社が復元したものです。長年多くの皆様に高く評価していただいておりましたが、2024年1月1日の能登半島地震の際に発生した大規模火災により全て焼失しました。せめて記録だけでも残してほしい、とのお声を数多くいただきましたので、こちらのページでご紹介しております。美しい漆の町家 塗師文化の結晶塗師の家(ぬしのいえ)は、輪島の塗師文化が最も華やか

https://www.wajimayazenni.co.jp/urushi/zenni-spirit/nushi-no-ie/

東松家の入口入って左手には、油屋らしく油を売っていた販売道具が並べられています。

土間の竈です。京都なら「おくどさん」。

お盆のお座敷のしつらえになっています。

お盆らしい仏壇のお飾り。

名古屋のお盆の夕食です。「ごはん、芋茎(ずいき)の酢いり、冬瓜の葛煮、かりもり雷干し」だそうです。ちなみに「かりもり」とは、ネットで調べたところ以下のような説明がありました。『明治時代から濃尾平野で栽培されている漬物用の白瓜の一種で、愛知県の伝統野菜に認定されている。 現在は清須市、丹羽郡大口町で主に生産されている。 別名・堅瓜(かたうり)の名の通り、非常にかたい瓜のため、漬物以外で食されることはほとんどない。』

《雷干し》に関しては私は初めて聞きましたが、「京料理くりた」さんのホームページに以下の説明がありました。【雷干し、聞き慣れない言葉ですが、まず、朝瓜の真ん中をくりぬいて種を出し、先の写真の通り、螺旋状に包丁を入れ、びよーんとスパイラルの状態にします。その後しばらく塩水につけた後、一日程竿などにつって、天日干し。適度に乾燥したら、細かく切って、味をからませて、完成!  雷干しの名前の由来は、干している時の様子が雷に似ているから、あるいは、食した時に歯応えがあって、ばりっと雷鳴に似た音がする、ということからきているようです。】

勉強になりました。

縁側から臨む奥の小さな庭。

入口の座敷と階段。

入口の帳簿などを付けるところ。

高い天井と吹き抜け。高窓があって大変明るいです。

明治家屋らしいダイナミックに交差する太い梁が見えます。

この住宅で個人的には一番ウケた「団扇扇風機」。結局人力で回すそうで、これでホントに涼を得られるのかな(笑)?

マジックアワーの東松家。しみじみ日本の家はいいですね。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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    fanta

    2024/09/01 - 編集済み

    団扇扇風機ww
    私もウケちゃいました😆

    でも団扇を羽にして回す…という発想が見事です👏
    まさに扇風機の原型♪
    あとは動力だけの問題ですね😁

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      グリーン参る

      2024/09/01

      現代の扇風機も基本的にはこれと同じ原理(考え方)ですよね。電動か人力かの違い(笑)。

      以下の説明がありました。
      「団扇扇風機」…団扇が4本ついた扇風機で、後方についている取っ手で2本のひもがかかった盤を回し、団扇の羽の中心を回転させる仕掛けとなっている。蒔絵まで施されており、まさに高級家具といった面持ちである。

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