今、何時? ホールクロック型 CDラック

初版 2022/07/04 14:47

改訂 2023/08/19 23:49

自宅には気に入った掛け時計がひとつあるのですが、他に良い掛け時計がなく、いつも時間を確認するのに苦労していました。

こちらがもともとあったお気に入りの掛け時計です。十勝の工房さんが製作しているもので、スプーンの形をした12枚の板が時間の目印になります。12時、3時、6時、9時がウォールナット、その他がメープルになっています。

時間が分かりやすく、美しい掛け時計を探していたのですが、ついに気に入ったものを見つけました。

それがこのアルネ・ヤコブセンの掛け時計です。これは「ローマンクロック」と言われ、彼がオーフス市庁舎を設計した際にデザインした時計です。時計の針が指す時間の視認性がとてもよく、これならばと思い購入しました。購入はしたのですが、この時計には3種類のサイズ(49センチ、29センチ、21センチ)があり、よく確認しなかった私は一番小さなものを頼んでしまいました。「遠くからではちょっと見づらいなあ」そう思いましたが、折角注文したのでこれを何とか生かそうと考えました。

以前、アーツ&クラフツの家具の本を見ていて、ホールクロックで「いいなぁ」と思うデザインがあったのを思い出しました。ただのホールクロックでは実用性は低く、それなら溜まっていたCDをこの中に整頓できる「CDラックの機能を持つもの」にすればいいと考えました。実用性を考えてデザインを起こし、以前家具を頼んだことのある工房さんに注文することにしました。

待つこと4か月、ホールクロックが完成しました。素材は当方の指定でナラ材を使ってもらいました。

ホールクロック上部、時計部分の外観で、時間は大変見やすいです。この時計はもともと直径が21センチですが、固定の関係で文字盤の見える直径は18センチほどになっています。

扉を開けて裏からみると何ともチープな感じですが、電池を簡単に交換するために仕方ありません。四隅のネジで中央穴があいた丸板で時計を固定しています。

木部の固定に関しては釘、ネジの類は一切使わず、ホゾ組などの木組みだけで製作をお願いしました。最下段のみ、棚板の高さはブルーレイのケースがはいるようにしました。

部材の仕口はこんな感じになっています。

側面下にわずかなアールをつけて、ちょっとだけふんわりした印象にします。

実際にCD一枚を入れてみて取り出す時の余裕を確認します。この取っ手に良い形の物がなく、黒く塗装していた金具の塗装を落とし、真鍮の部分を出すことになりました。面倒でしたが、ナラの塗装に合ったものになったと思っています。この格子状の枠も板に切り込みを入れ、交互に嵌めたものになっています。

サイドから見たホールクロックです。この作品の側面はナラの一枚板になっており、木目の美しさを堪能できます。180㎝ほどの高さでかなりの迫力があります。

完成したホールクロック全体像です。とても腕の良い工房さんで、きれいな出来上がりに大満足しています。たくさんCDが入りそうで嬉しいです。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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