Beethoven: Piano Sonata no.32, Ivo Pogorelich

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 十数年前、ドイツの田舎町の新婦も売る中古レコード店にて購入。
古楽のレコードを探していて見つからず、なにか買いたくて棚を漁っていて見つけた盤。
ジャケットのインパクトで購入の決め手。演者が男前とはいえ、写真のピントがあってない‥ ロックやジャズの世界ではありえないセンス、自主制作でなく、最大手ドイチェ・グラモフォンのリリース。なにがしかの事件性を感じた訳です。

 事件というべきはわからないが、
このレコードが演者ポゴレリチの初スタジオ録音、ショパンコンクールの「衝撃」、あるいは「スキャンダル」後、ドイチェ・グラモフォンと契約での初リリースという経緯があったのは最近知った。リリースを急ぎ、世界にアピールか。で、ピンぼけ。それにしてもコンクールからリリースまで2年もある。80年代初頭の話だが‥ 

 もう一つ。
演奏するベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタは、老境に達した名手が多く録音を残しているようで、当時20代前半の新進気鋭のピアニストが選ぶ曲としては奇をてらうところがあったのかも。この点、グールドも『ゴルトベルク』の次の録音に選び大分叩かれたようだ。これも最近気づいたこと。

 こうした話題作りが、ポゴレリチのスター性を高めたのかもしれない。今やポゴレリチは毎年来日するような重鎮となった。

 中途半端の聞き方しかしてこなかった西洋古典音楽だが、歳をとって好みも変わってきた。諸々調べながら、かつて買ったレコードを引っ張り出すのは面白い。
 最近はこのベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタが心に染みる。そんなわけで久しぶりにこのピンぼけジャケットを久しぶりに眺めてみた。

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