2020/12/19 くいちがい礫

初版 2020/12/19 18:48

改訂 2022/09/07 12:42

公開日:2020/12/19

Natural monument 阿寺の七滝

◼️国指定天然記念物(昭和9年1月22日指定)愛知県新城市下吉田

天然記念物阿寺の七滝は、巣山礫岩層(阿寺七滝礫岩層)と呼ばれる堆積時代のよくわからない赤茶色の礫岩層を流れています。この礫岩は子供を抱くように岩が優しく礫を包んでいる様子から子抱石と呼ばれ、この石を寝室に置いておくと子供が授かる言い伝えがあります。

礫層には"くいちがい礫"という一度破断された円礫がズレたままくっ付いた石を含みます。散策路脇の崖や、崖から剥がれ落ちた石の中から見つけることができます。中央構造線や糸魚川静岡構造線といった大きな断層近くの礫岩層から見つかることが多いことから「断層運動によって剪断破断した礫がその後ズレたまま再び接着した」と説明されていますが、含まれる礫種により剛性は違うでしょうし、マトリックスの砂や粘土は流動的であろう礫層が地中深くで大きな圧力を受ければ、隣り合う礫が押し合い圧し合い割れたり凹んだりしても不思議でない感じがします。

"くいちがい礫"を見ていると、寝室の石で子供ができる神秘と、割れた石が再び接着する続成作用に不思議を感じます。

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球状岩は世界的にみても非常に珍しい石です。
その産地は大変な山奥や無人島であったり、産出範囲が極狭く採り尽くされたり、ただ1個体の報告であったり、転石で露頭が不明であったりと、実際に採取することの困難な石だったりします。
確認された露頭の多くは国や自治体の天然記念物に指定されている場合も多く、その成因は解明されていません。

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