【会報 第6号】ソフトグライダーのあれこれ (その2)
初版 2024/08/24 17:42
改訂 2025/02/09 22:20
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ソフトグライダーを
模型飛行機として眺め、
機体のバランスと
飛び方について、
考えてみました。
キットのままでも
十分に楽しいのですが、
少し 手を加えると、
さらに 見違えるほど
良く飛ぶ様になります。
● キットの特徴
・主翼が、
… 正面から見ると、平ら。
そのために、
↓
飛行中に 左右に傾くと、
傾きが直らないまま、
機首を下げて
降下してゆきます。
・水平尾翼が、
… 主翼に対して 小さ目。
… 主翼との距離が 近い。
… 後上りの角度が 大きい。
そのために、
↓
飛ぶ勢いがついている間は
前後の翼に当る気流が速く、
主翼が機体を支える浮力と、
水平尾翼が 下向きに
下がろうとする力
( = 機首を支える力 ) の
両方が 強く働く事で、
急上昇や 宙返りをします。
飛ぶ勢いが落ちてくると、
翼に当たる気流が遅くなり、
主翼に生じる 浮力と
水平尾翼が機首を支える力の
両方が 弱くなる為に、
機体は 下を向きます。
・プロペラを付ける部品(錘)が、
… 重い。
そのために、
↓
機首が下を向き、
深い角度で降下する
飛行となります。
● 飛行中のバランス
キットの重心位置と、
飛行中に 気流によって
主翼と水平尾翼に生じる
上下の力の向きと 釣り合いを、
画像で 重ねてみました。
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機体前方の 太い矢印は、
飛行速度が安定した状態での
飛行経路 ( = 翼が受ける気流の
向き ) と、飛ぶ速さを示します。
キットを、手を加えずに
説明書の通りに組立てて飛ばすと、
飛行中の気流は、
主翼には やや下側から、
水平尾翼には やや上から
あたります。
飛行中は、
主翼の前の端にある重心
( = 機体の重さの中心 ) が、
主翼に生じる 上向きの浮力と
水平尾翼に生じる 下向きの力で
支えられる事で、
釣り合いが保たれています。
釣り合いを テコに例えると、
・力 点 = 重心
・支 点 = 主翼の浮力の中心
・作用点 = 水平尾翼の力と向き
となって、
バランスが保たれています。
● キットのバランスを見直す
計算から、キットの錘は、
重さが半分程度でも足りる様です。
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錘の重さを減らせる分
機体全体が軽くなる事で、
飛行中に 機体の重さを
支えるのに必要な浮力が
少なくて済む様になり、
浮力を生じさせる為の 速度が
少し遅くても足りる事と
なります。
その結果、
飛行中に 必要な速度を得る為に
下向きに飛んでいた姿勢と
飛行コースの角度が、
どちらも それぞれ
少しだけ浅くなる事から、
飛距離が やや伸びます。
錘を減らした後の
機体のバランスと
飛行の想定コースを
ご覧ください。
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機体が 軽くなる事と併せて
重心位置が 元のキットよりも
後ろに下がります。
その結果、
水平尾翼が担う下向きの力が
小さくて済む様になります。
また、
機体の重さが減る事と、
水平尾翼が受け持つ
下向きの力が減る事により、
主翼に求められる
機体を支える浮力が
少なくても済む様になり、
無理に勢いをつけなくとも
より遠くに飛ばすことが
出来る様になります。
ただ、
水平尾翼は 相変わらず
下向きの力を生じる役割を
担っていますので、
飛ばす時に 勢いをつけすぎると、
急上昇や宙返りをしてしまいます。
ここまでは、
【会報 第2号・3号】でご紹介の、
ヘルキャットを飛ばし易くした
方法の背景です。
● 主翼と水平尾翼の配置を変える
【会報 第4号】では、
さらに手を加えた ゼロ戦を
ご紹介しました。
カーチスでも同じ事を試みると、
前後の翼の配置と、
飛行中の 釣り合いは、
画像の様になります。
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手を加える部分と その理由は
… 、
・主翼と水平尾翼の間隔を拡げる。
→ テコの原理で、
水平尾翼の効きが 効果的で
穏やかになる為、
飛び方の調整が し易くなる。
・重心を 出来るだけ後ろにする。
→ 重心を、主翼が生じる浮力の
中心よりも後ろに置く事で、
水平尾翼にも、飛行中に
下側から気流を受けて、
機体を持ち上げる役割を
持たせる事が出来る。
その結果、
前後の翼の浮力を
無駄無く 上向に
活かせる様になり、
飛行距離が伸び、さらに、
滞空時間も長くなる。
・主翼と水平尾翼の取り付けで、
角度の差をつけない。
→ ゴム飛ばし等によって
高速で飛ばした時にも、
宙返りをせず、真っ直ぐに
飛ばせる様になる。
キットに手を加える前後の
釣り合いと 飛行経路の違いを、
もう一度 較べてご覧ください。
「キットのまま」↓
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「オモリの調整後」↓
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「翼の配置と 重心の見直し後」↓
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手を加えるほど、
より安定して 遠くまで、また、
長い時間 飛ばせる様になります。
● 飛行中の傾き
お話が 前後しますが、
ヘルキャットとゼロ戦 いずれも、
主翼の左右に 上向きの角度を
つけています。
この角度によって、飛行中に
機体が左右のどちらかに傾いても、
下がった側の翼が受ける
下からの気流が増える事により、
姿勢が 水平に戻ります。
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「上反角効果」といわれる
とても 原始的な、
自動安定装置です。 ^o^
最後まで お読み頂き、
ありがとうございました。
次号【会報 第7号】では、
今回ご紹介した「カーチス」を、
ゴムパチンコで飛ばせる様に
仕上げてみます。
https://muuseo.com/ojioji0421/diaries/149
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【会報 第7号】カーチスを作る | ojioji0421 Laboratory | MUUSEO My Lab & Publishing
https://muuseo.com/ojioji0421/diaries/149
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真適当工作
2024/08/25 - 編集済み私はとーちゃんさんのこのセットアップ術をここで拝見出来るのですが、一般ユーザーの方々にも知ってもらいたいです‼️
つばめグライダーのメーカーの誰かこれを読んでキットの改良版を出してもらえるると嬉しいですね❗
12人がいいね!と言っています。
とーちゃん
2024/08/25真作さま
コメント、
ありがとうございます。
ソフトグライダー、
昨年で 発売から
50年が経過した様です。
キットの美点は、
チビっ子達にも
手に入れ易く、
その場で すぐに
遊び倒せるところだと
思います。 ^o^
私の様な
大人気ない 大人には、
1.5コインで 買えて
少し 手間を掛ける事で、
大き目のワンコインの
本格的な紙飛行機にも
ヒケを取らない飛びを
味わえる …
そんな楽しみを
残してもらえると
嬉しいです。
ヽ(^o^)
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