「クリムゾンキングの宮殿」のアルバムジャケットを描いた人のこと。
こんにちは、あゆとみです。 表紙がいいから買う。 レコード店に入ったはいいものの、何を買っていいかわからない。 そんな時に私はジャケ買いを繰り返してきた。 当然、ジャケ買いに当たり外れはつきものだ。 だけど、時折、たとえハズレでもいいと思わせるアルバムジャケットに出会うこともある。 もう、とにかく表紙が好き!この際、聴かなくていいの!画集として買うから! そう思わせるくらいの力のある表紙に出会うことが。 この表紙がまさにそれだった。 キングクリムゾンのアルバム、クリムゾンキングの宮殿。 https://muuseo.com/1040picks/items/19#!page-2 なんだろう。この得体の知れないど迫力は。 画力が凄まじい。 今更ながら、描いた人が気になったので調べて見た。 アーティストの名前はバリー・ゴッドバー。 名門チェルシー・アートスクールの学生で、このアルバムの曲を全て作詞したピート・シンフィールドとはのちに就職するIT会社では同僚だったらしい。 ピートの回想によると、バリーは「これまでに出会った人の中で外見も精神も一番チャーミングで綺麗で、やんちゃな魂の持ち主」だったらしい。 http://www.batguano.com/bgma/godber.html 時は1960年代後半。サイケデリックの文化に色めき立っていたロンドンで、ピートいわく女の子にもモテモテで、そのままアート街道を突っ走る道を選ぶと思いきや、一つの型に入るのも入れられるのも嫌だったのだろうか。 バリーはピートと一緒にコンピューター・プログラマーとしてとあるIT会社に就職する。だが、それも長く続かない。間も無く会社勤めに嫌気がさし始めた矢先、ピートがソングライター1本で生きて行くと決め、彼も一緒に会社をやめたらしい。 生粋の自由人だったのだろう。 やがてピートはキングクリムゾンのメンバーと出会い、アルバムジャケット用に絵が必要になったので、バリーに絵を描いてくれるように打診したのだという。 ピートから渡された楽曲を数曲聴きながら鏡に映った自分の姿を描いてできたのがこの絵だったとか。 『なんか彼ならやってくれるような気がしてた』というピートの直感は大当たり。 アルバムは大ヒットし、彼の描いたアルバムジャケットでレコード店のショーウィンドウは埋め尽くされる結果になったという。 ここまで絵のことばかり喋ってしまっているが、もちろん、アーティストの創造性を引き出す奥行きのある名曲だったからこそあの作品が生まれ得たのだと思う。 https://www.youtube.com/watch?v=MM_G0IRLEx4 彼が世に発表した作品はこの一作、「21世紀のスキッツオイド・マン」だけ。なぜって、死んでしまったからだ。 アルバムが発表された翌1970年に、21歳の若さで、心臓麻痺で。 生きていたら、さぞや絵を描くオファーが後を絶たなかったことだろう。 ただ、たった一作といえど、その一作が破壊的なパワーを持っていたために、歴史に残るアルバムジャケットを描いたアーティストとして、彼の名前は後世に語り継がれるだろう。 https://muuseo.com/natsu70.collector/items/811#!page-2 同じ表紙絵ですが、日本語の帯の字体がアルバムの世界観に合っていて魅力的だと思ったので、こちらのコレクションも載せておきます。帯もアートですね〜 https://muuseo.com/tetsuji.nishigaki/items/5#!page-2 #king_crimson #in_the_court_of_the_crimson_king #barry_godber #pete_sinfield #キングクリムゾン #クリムゾンキングの宮殿 #バリー・ゴッドバー #1960年代