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オリエント・グランプリ100
※下記文章は、2012年2月に私自身が私的ブログに記載したものです。
記載後13年ほど経過し、表現及び年数的にズレが生じていますので、その点を加味してお読みください。 2023年4月
[1枚目の写真:2012年レストア完了]
[2枚目の写真:OH 前・K時計サービスで裏蓋を開けたところ]
父の形見の1964年発売の「オリエント・グランプリ100」です。
ネーミングの100とは石の数を表していて、写真のように89個のルビーと11個のサファイヤがムーブメントのいたる所にはめ込まれています。
この時代「石戦争」なるものがあり「石が多いほど偉い」と言う風潮があったようですが、この時計が発売され一気にその流れは終息したそうです。
という訳で「一つの時代を象った時計」という事になってるみたいです。
[3枚目の写真:交換したパーツ]
6年ほど前に K時計師と出会い、20年以上止まっていたこの時計を直してもらう事になりました。写真は、その時交換した部品です。
風防、秒針、巻真、かんぬき押さえなどの傷んだパーツを交換しました。
それ以来、機械式特有のチッ、チッ、チッと美しい秒針の動きと共に、ビックリするほど正確に、再び時を刻み始めました。
[4枚目の写真:ベルト&尾錠]
オリジナルの「背こぶワニ革ベルト」と「オリエント名入り尾錠」はボロボロだったので、譲り受けた時に捨ててしまいました。
今時、昭和のベルトと尾錠を探し出すのは一苦労で、オークションのアラート機能などを使っても6年間でこのデッドストックのベルト1本と、オリエント純正尾錠2個を入手するのがやっとでした。
[5枚目の写真:入手時のベルトの状態]
ベルトはすでに40年以上経過しているので、デッドストックと言えど状態は酷く、とても実用に耐えられる物ではありませんでした。
表面のワニ革は、とりあえず良さそうでしたが裏面の裏打ち部分が、ひび割れて剥がれていました。
そこでK時計師に相談し、ベルト修理できる東京の職人さんに預ける事になりました。
「成功するか保障出来ない」との事でしたが、他に手立ては無くお願いする事にしました。
[6枚目の写真:ベルト完成]
そして二ヶ月後、見事に復活して戻って来ました。
ビシッと裏が張り替えてあります。
その出来栄えに、K時計師と共に喜び、江戸職人さんの確かな技術と意地を見せてもらいました。
[7枚目の写真:尾錠 before after]
そして次の問題が尾錠です。
入手した2個の内、剣先がすんなりと入るのは1つだけです。
しかし、こちらはメッキが剥がれボロボロ・・・金色じゃなくなってます。
何とか再メッキしてくれる所を探し出し、直接頼みに行ったのですが「材質がハッキリしないと危ない」との返事。材質を読み間違えると、本体そのものが溶けてしまうらしいのです。。。
事情を説明したところ、「耐久性が落ちても良ければ、プラスチックでも大丈夫なメッキ方法が有る」と教えてくれました。
早速その方法で再メッキしてもらう事にしました。
写真はメッキ前の状態と右が再メッキ後です。
あらま~、なんて事でしょう~
新品になっちぃました。
[8枚目の写真:完成]
48年前に父が買った時計が、
26年前に動かなくなり、
6年前に、動くようにしてもらい、
昨年末にベルトと尾錠がやっと揃い、それを修理して、
今完成しました。
父の形見であるこの時計には、いろんな思い出があります。
もちろん、父がはめている姿も思い出しますし、私の高校受験の時も、この時計を借りました。
そんな思い出深いこの時計を「いつの日か、完全な形で蘇らせたい」とずっと考えていました。
それが今回、大勢の人の協力で48年前の姿に見事蘇りました。
本当に感慨深いものがあります。
[感謝]
デッドストックのベルトをオクに出品してくれた人。
オリエントの尾錠をオクに出品してくれた人。
ベルトを修理してくれた江戸職人さん。
尾錠をメッキしてくれた職人さん。
ありがとうございました。
そして本当に感謝いたします、K時計師さん。