名前をつけてやる/スピッツ

0

1991年リリース。結成30周年の2017年にリイシューされたもの。

数年前、藤井聡太さんがスピッツのフェイヴァリットに挙げて話題にもなったファンに人気の1枚ですね。そこまで詳しい訳じゃないけど小〜中の頃ぐらいはよく聴きました。あ、もちろんCDでですが。私もこのアルバムが1番好きです。レコードで聴くのがこのアルバムの柔らかさにとても合う気がします。

「ライド歌謡」なんて自称してたり、和製ネオアコ、シューゲイザーなどの文脈で近年再評価も高まってる初期スピッツですが、
改めて聴くとリズムパターンやメロディもとても多彩で、そんな狭っこいカテゴリーに収まりきらないスピッツらしさがすでに迸っています。

「鈴虫を飼う」のみギターの三輪さん作曲でめちゃくちゃ名曲なんですが、その曲がいちばんその後のスピッツのパブリックイメージに近いというか、マサムネさんの薄く靄のかかったようなハイトーンの切ない歌声をストレートに活かすブレイク前後のスピッツ必殺パターンになるようなメロディとテンポ感の曲で、それがその後のマサムネさんの作曲に影響を与えていたなら面白いなあと思います。

一瞬で空気が澄み渡るようなイントロで始まる「ウサギのバイク」。とても繊細に重ねてある2本のギターのアルペジオに、遅れてバスドラの四つ打ちと丁度いい揺らぎと倍音が含まれたエレキギターが乗り、素材の味のままどうぞと言わんばかりのスキャットがまた風景を変える。
素晴らしすぎる流れでありながら、1曲目から1分半ぐらい歌詞のないスキャットが続くという中々挑戦的な構成。

こんな調子でキリがないぐらい全曲捨て曲なしの名盤。97年に出たアナログ初版のブラウン・クリアビニール、ピクチャーレーベル盤も魅力的だけどクラシックなポリドールの渋い赤レーベルのこれはこれでいいっす。

Default