リミックスアルバム「Let It Be...Naked / レット・イット・ビー...ネイキッド」

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2003年11月17日発売。アルバム『Let It Be』のリミックスというか、プロデューサーのフィル・スペクターが加えたオーケストラやコーラスを取り除くという(主にポールからの)要望によって製作されたアルバム。
 単にアレンジが元に戻った、というレベルではなく、曲によっては全く違うテイクを使用しているので本当に新鮮。例えば「Let It Be」は歌も違うしギターソロも(アルバム版ともシングル版とも)違ってる。「Across The Universe」はこのシンプルなテイクがベストではないか?「Don't Let Me Down」はルーフトップ・コンサートでの録音が使用されていて、こちらもワイルドでシングル版とは違う魅力がある。
 また、スペクター独特のあの「もこもことしたサウンド」がなくなって元のマスターテープの音像に近づいてるので、テイクが同じものでもすごくかっこよくなってる。「Get Back」も「One After 909」も、音が引き締まって実にいい。
 傑作と言われる海賊盤アルバム『Get Back』には他に「Dig It」のロングバージョンや「I've Got A Feeling」の別テイクなんかも入ってて、これらが収録されてないのはやや残念ではあるけれど、正規アルバム『Get Back』が予定通り出ていたらこうなっていた、という「あり得たもう一つの作品」として十分素晴らしい内容だ。オリジナルアルバムの『Let It Be』をよく聴きこんだ後で挑戦してほしい。

 なお、ボーナストラック(?)の「Fly On The Wall」はセッション録音の断片をつなぎ合わせた20分ほどの曲。ゲット・バック・セッションの海賊盤とかを聴くと、だいたいこんな感じのものを延々と聴かされることになるんだけど、正直、1回聞けば充分です。ジョンのソロ作「Jealous Guy」の原型みたいなのをすでにやってて、そういうのは多少興味深いけど。ほんと、こんな素材からアルバムを一つでっち上げたフィル・スペクターは、なんやかんや言われるけどすごい。

【ワタクシが所有している盤】
2010年に再発売されたCD(2003年初出の日本盤は悪名高いコピーコントロールCDだったので購入を見送っていました)

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